あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

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201833日 琵琶湖ホール プロデュースオペラ ワーグナー『ワルキューレ』第1日目 

 

滋賀県立芸術劇場 琵琶湖ホール

1階 1U

 

指 揮           :沼尻 竜典

演 出           ミヒャエル・ハンペ

 

ジークムント    : アンドリュー・リチャーズ

フンディング    : 斉木健詞

ヴェータン      : ユルゲン・リン

ジークリンデ    : 森谷 真理

ブリュンヒルデ  : ステファニー・ミュター

フリッカ        : 小山 由美

ゲルヒルデ      : 小林 厚子

オルトリンデ    : 増田 のり子

ワルトラウテ    : 増田 弥生

シュヴェルトライテ: 高橋 華子

ヘルムヴェーゲ  : 佐藤 路子

ジークルーネ    : 小林 沙季子

グリムゲルデ    : 八木 寿子

ロスワイセ      : 福原 寿美枝

 

申し込みのタイミングが僅かに遅くSS席(昨年の“ラインの黄金”はH 18番という、最高な場所)を逃してしまったものの、平土間中央で舞台全体を楽しめる申し分の無い席位置。昨年と同様、二日目も鑑賞するので、演奏や演出の感想等は明日の日記でまとめて記します。

 

びわ湖ホール_ワルキューレ_20180304

2018121日 新国立劇場 J・シュトラウス『こうもり』 121日公演

 

新国立劇場

1321

 

指揮:              アルフレート・エシュヴェ

演出:              ハインツ・テェドニク

オーケストラ:      東京交響楽団

 

アイゼンシュタイン   :アドリアン・エレート

ロザリンデ           :エリーザベト・フレヒル

フランク             :ハンス・ペーター・カンマーラー

オルオフスキー公爵   :ステファニー・アタナソフ

アルフレード         :村上 公太

ファルケ博士       :クレメンス・ザンダー

アデーレ             :ジェニファー・オローリン

プリント博士         :大久保 光哉

フロッシュ           :フランツ・スラーダ

イーダ               :鵜木 絵里

 

『こうもり』は、とにかく思い入れがある。20年ほど前に東京から地方都市に転勤移動の際に所有LPをディスクユニオンにまとめて叩き売った際にも、お年玉で買ったクライバー・バイエルン国立歌劇場の2枚組LPボックスだけは手放さず、今もキャビネットの中に大事にしまって残している。(売り払った中には朝比奈隆の聖マリア大聖堂ブルッナー選集ボックスセット--- 愛蔵家番号入りなど、今思えばかなりのお宝があった)それ以来、このLP盤、そしてオットー・シェンクの名演出舞台のVHSビデオ 、そしてDVDと、いったいこれまでに何回、クライバーの演奏を鑑賞してきたことだろう。ヘルマン・プライがアイゼンシュタインを歌ったコヴェント・ガーデン王立歌劇場の上演動画も素敵だけど、やはりクライバー・バイエルン国立の上演動画は何時観ても飽きない。

 

新国で数年おきに再演されている『こうもり』も、いつか機会があれば観たいと思っていた。幸いにも週明け月曜日から東京オフィスで会議が決まったこともあり、急遽新国立劇場チケットサイトを検索したら、中央ブロックど真ん中、指揮者の真後ろ3列目という思いもかけない最良席を押さえることができた。昨年の“神々の黄昏”のときもそうだったように、公演数週間前でも運さえよければ良席チケットが手に入るなんて、新国立劇場のチケット販売システムは実にフェアで有難い。

 

ただし、本来ならオペラ特等席であるはずの自席も、残念ながらこの演出には最適ではなかったようだ。左右の字幕スーパーに目をやるのが大変で、フロッシュの台詞が見づらいのは致し方ないにして、なにより安っぽい舞台装置と少々賞味期限を越えたような演出が気になってしまう。第2幕後半の舞踏会、舞台前面の役どころの一団から離れた奥のようで“雷鳴と電光”の演奏とともに合唱団がサークルを成して踊っているところなど、どうにも間の抜けた演出に感じられてしまう。中間から後方にかけての舞台を俯瞰できる場所からの鑑賞であれば、もっと違った印象を受けたのだろうか。

 

おっと、なんだが酷評しているようだけど、この最高にハッピーなオペレッタの最高傑作、たっぷりと楽しみましたよ。ロザリンデもアデーレも上手かったし、アイゼンシュタインもフランクも演技がこなれていて、長身で舞台栄えがする。少々色あせ気味の演出と舞台装置に目をつぶれば、とっても楽しい3時間だったのは間違いない。

 
新国立_こうもり_20180121


こうもり_クライバーLP


20171123日 メシアン 歌劇『アッシジの聖フランチェスコ』 びわ湖ホール 

 

滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール

1階 1M 25

 

またもやブログ更新をサボってしまった。しかも今回は4週間近くも。演奏後直ぐにiPhoneEvernoteに残したメモ書き(ノート)を頼りに演奏の防備録として順次、ブログに残します。

 

指 揮           :シルヴィン・カンブルラン

オーケストラ    : 読売日本交響楽団

 

天使                    : エメーケ・バラート

聖フランチェスコ        : ヴァンサン・ル・テクシエ

思い皮膚病を患う人      : ペーター・ブロンダー

兄弟レオーネ            : フィリップ・アディス

兄弟マッサオ            : エド・ライオン

兄弟エリア              : ジャン=ノエル・ブリアン

兄弟ベルナルド          : 妻屋 秀和

兄弟シルヴェストロ      : ジョン ハオ

兄弟ルフィーノ          : 畑山 茂

 

合唱    : 新国立歌劇場合唱団

          びわ湖ホール声楽アンサンブル

 

オンド・マルトノ        : ヴァレリー・アルトマン=クラヴリー

                          大矢 素子

                          小川 遥

 

昨年11月の京響定期で“トゥーランガリア交響曲”を聴いて、この曲はもうこれで十分、とブログ記事にしてしまった。また、年明け1月のサントリーホールでの東響定期のブログ記事で“メシアンは苦痛でしかない”と記してしまった。ああっ、なんということを・・・。

昨年11月の関西フィル・いずみホールシリーズVol.41 のブログ記事で、“1123日の

ディメイのフランクのソナタは聞き逃せない!“と記している。いやいや、この日の“アッシジの聖フランチェスコ”こそ、絶対に聞き逃してはならない。東京での2公演は完売だったらしい(当然!)のに、びわ湖ホールは1階席後方にまだ100席程度の空席があったようだった。このような一大イベントを関西のクラシックファンで満席にならないなんて、なんてもったいなく残念なことか。

 

それにしても、先週のサントリーホールでの二晩の演奏会ブログを何とかアップして、さて残りの演奏会も・・・とその気になったものも、この歌劇『アッシジの聖フランチェスコ』をどう、ブログ記事にしようか思いあぐねてしまい、結局、大阪フィルのソアレ演奏会の記事アップを始めとして、またもや数週間ほど挫けてしまった。

 

Evernoteのメモ冒頭に“傑作なり、名演なり”と記している。そうそう、超巨大な編成による音楽は濃密でありながら、明晰。第7幕、第8幕の奇跡の合唱、天使の神々しい歌声、鳥を表現したまったくミスの無い脅威の打楽器奏者たち。後半幕において複雑で時に怪奇な響きの果てに鳴り渡る純粋で無垢の長和音の響きの恍惚。200人近い合唱も含めて300人を超える演奏者の音と声の響きがまったく濁りもない。

 

“畢生”との形容はワーグナーの“指輪”とともに、この曲にも値するこの作品を歌劇として舞台上演は出来るのだろうか。仮に演奏者の配置を奇跡的にクリアできたとして、第5幕、第6幕の音楽をどの様なイマジネーションで舞台演出させるのだろうか。



アッシジの聖フランチェスカ_20171123

20171017日 新国立劇場 ワーグナー 楽劇 神々の黄昏 1017日公演

 

新国立劇場

110列中央ブロック

 

指揮:              飯守 泰次郎

演出:              ゲッツ・フリードリヒ

オーケストラ:      読売日本交響楽団

 

ジークフリート:    ステファン・グールド

ブリュンヒルデ:    ぺトラ・ラング

アルベリヒ:         島村 武男

グンター:           アントン・ケレミチェフ

ハーゲン:           アルベルト・ペーゼンドルファー

グートルーネ:              安藤 赴美子

ヴァルトラウテ:         ヴァルトラウト・マイヤー

ヴォークリンデ:         増田 のり子

ヴァルグンデ:              加納 悦子

フロスヒルデ:              田村 由貴絵

第一のノルン:              竹本 節子

第二のノルン:              池田 香織

第三のノルン:              橋爪 ゆか

 

今回の新国立劇場 “神々の黄昏” は全6公演のうち、3公演を観ることができた。休憩を含めて6時間の長丁場。我ながら、よくも飽きもせず・・・である。でも、とにかく好きなのだからしょうがない。何度でも、毎週でも観たい・聴きたい。ワーグナーの毒にずっとずっと浸っていたいのだ。11日のブログに記した通り今回は、舞台左右の字幕に一切目を遣ることなく、ひたすら目と耳を舞台とピットから聞えてくる音楽に集中しきっていた。

 

3公演では歌手、オーケストラ共に千秋楽のこの日が最もクオリティーが高かったようだ。ぺトラ・ラングは、全幕を通して緩めることなく緊張感を保ったままで、最後の自己犠牲も実にドラマチックに歌いきったし、ステファン・グールドもペース配分で巧みに乗り切った感のある4日、そして第2幕までを飛ばし気味だった故か終幕で雑さを感じさせた11日に対し、今日は最後の最後まで丁寧さとスタミナを失うことなく ジークフリートを “歌って” くれた。

 

アルベルト・ペーゼンドルファーのハーゲンも4日、11日よりずっとよい。軽い気管支炎と事前通知された11日は致し方なしとして、4日も“さほどには”と感じたのは、今日思えば座った席の関係もあったようだ。4日は中央ブロック2列目の右端だったので、演出上のハーゲンの立ち位置が概ね舞台下手で、たとえば見張りの歌などは右横から歌を聞くことになり、声がまっすぐに届いてこなかったからなのだろう。今日の席は11列目ほぼ中央という最良席(友の会の会員でも特別斡旋でもないのに、チケットピアで良くぞこんな良席が取れたものだ)で聴くと、なかなかの声量と役にあった低音域の太く沈んだ声で、容姿も合わせて見事なハーゲンだった。ただし、“トンネル・リング”でのマッティ・サルミネンを“体験”してしまったものにとっては、申し訳ないがどうしても聞き劣りがしてしまう。

 

演出は、ゲッツ・フリードリヒのオリジナルをどこまで徹していたのか(徹せざるを得なかったのか)知る由もないけど、氏が他界した現在において、せめて演技については舞台監督の裁量でもっと意味のある動作(少なくとも首を傾げることの無い)に手直しできたろうに、と思うところが多々あった。その際たるのは、第2幕第4場でグートルーネの手を引いて上手から現れたジークフリートの姿をみて、それまでうな垂れていたブリュンヒルデがグンターの手を振り払ってジークフリートに飛びつき、首に手を回す場面。喜々としたブリュンヒルデの姿を目の当たりにしながら、グートルーネが能面で突っ立っているのは、明らかに不自然。ついでに不快な違和感といえば、第1幕早々のギービヒ家の大広間でグンターとグートルーネの近親相姦の関係性を想像させる接吻行為。いったい何の意図だろう。

 

運命の赤い糸が、第2幕、そして第3幕では舞台前面にまっすぐに置かれ、地上界と神々の住む天上界の境界を示しており、しかもその中央部分がノルンが引きちぎってしまった網を示唆するのかのように切断されている。そしてその切断されたところから、要所でブリュンヒルデがステージ最前部に踏み出て天上のヴォータンに呼びかけることになる。第2幕では2度ほど。1度目は “Heil’ge Gotter 天上の神々は・・・” と歌うシーン(前に進み出て、両手高く上げてと指示されたところ)。そして2度目はグンター、ハーゲンとの呪いの三重唱で、グンターと共に“罰を受けた全知の神々よ”と歌うところ。ちなみに、一度目のシーンでは、ジークフリートは上手で赤い糸を掴んだままだし、二度目のシーンでは、同じ歌詞を歌う下手のグンターは赤い糸に右足をかけているだけで、天上に向かって踏み出してはいない。 第3幕でも2度で、1度目は “Ruhe, Ruhe, du Gott!”  口に手をあてヴォータンに神々の終焉を伝えるところ(11日のブログでも書いたけど、自己犠牲の場で最も好きな箇所)、そして、最後にラインの乙女に呼びかけるシーン。

 

それにしても演出については、どうにもピンと来ないことがいくつかある。その最たるのは“最後の7小節”のところでブリュンヒルデを登場させたこと。“トンネル・リング“ も白い布が舞台一面を覆うことで、“ラインの黄金” 冒頭シーンへの輪廻転生が示されていたけど、今回、“白い布の下から現れたブリュンヒルデが遠い彼方をじっと見つめる”ことにどんな意味があるのだろう。今日は、ヴァルハラ城崩壊後に群集がステージから掃けていくなか、どのように白い布を手に取り被るのかを見定めようと、ずーっとぺトラ・ラングの動きを目で追っていた。

 

あまり好みではない“せかせかハイスピードなリング”とは無縁の飯守泰次郎の指揮による読売交響楽団の演奏も、やはり千秋楽の今日が最も良い。とにかく安定している。場面転換での “何もしない、なにも起きない” つまらない演出のおかげで、“ジークフリートのラインへの旅” や “ジークフリートの葬送行進曲” など、フルオーケストラの演奏を堪能できた。

 
神々の黄昏_2


ベルリン・ドイツ・オペラ日本公演から30年。東京文化会館のロビーで買ったポスターをフレームに入れてクローゼット奥に仕舞っていたのを思い出した。先日、新居引越以来10数年ぶりに引っ張り出して、写真をパチリ。“壮大なスケールと膨大な費用、さらに名歌手と名指揮者が必要なゆえに、日本では実現不可能なワーグナー不朽の名作!”  そして"陶酔の四夜、堂々15時間を超える空前のオペラ体験 " とある。ジークフルート・イエルゼレムにルネ・コロ、カタリーナ・リゲンツァ、そしてマッテイ・サルミネンなどなど。ほんとに凄い公演だったなあ。当時の勤務先の広島の独身寮から、夜行で東京3往復したことが忘れられない。ああ、思い出したぞ。寮の部屋に戻ってTVつけたら、ニュースステーションで“歴史的公演”として久米宏が、確かワルキューレ終幕の炎のシーンを“特別に許可を得て” とか言って放送していたことを・・・。そうだ、たしかステージで本物の炎を燃やすことは消防法違反で許可が得られず、その規制をクリアするためにかなりの苦労をしたらしい、といった逸話があったことを・・・。懐かしいなあ。

 
神々の黄昏_1

20171011日 新国立劇場 ワーグナー 楽劇 神々の黄昏 1011日公演

 

新国立劇場

116列左ブロック

 

指揮:              飯守 泰次郎

演出:              ゲッツ・フリードリヒ

オーケストラ:      読売日本交響楽団

 

ジークフリート:    ステファン・グールド

ブリュンヒルデ:    ぺトラ・ラング

アルベリヒ:         島村 武男

グンター:           アントン・ケレミチェフ

ハーゲン:           アルベルト・ペーゼンドルファー

グートルーネ:              安藤 赴美子

ヴァルトラウテ:            ヴァルトラウト・マイヤー

ヴォークリンデ:            増田 のり子

ヴァルグンデ:              加納 悦子

フロスヒルデ:              田村 由貴絵

第一のノルン:              竹本 節子

第二のノルン:              池田 香織

第三のノルン:              橋爪 ゆか

 

先週4日の公演ブログで記したとおり、とにかく今回の新国立劇場“神々の黄昏”は何が何でも観たかった。週末公演に向けて広島の自宅から時間とコストをかけて東京往復するよりも、何とか平日公演を東京出張に合わせて・・・ということで、実は4日、11日、そして17日の平日3公演のチケットを購入済み。業務を上手く遣り繰りすれば最悪でもどれか1公演には臨めるだろうとの、かなりやけっぱち気味の覚悟でいたら今回の11日も、そして来週17日も都合がつけられそうだ。ということで飯守泰次郎の音楽作りやらゲッツ・フリードリヒ演出やらといった“神々の黄昏”公演の全体的な感想は17日公演のブログに記することにして、以下は11日の公演についてのみ。

 

開演前にチーフプロデューサーから、『ハーゲン役のアルベルト・ペーゼンドルファーが軽い気管支炎を患っているが予定通り出演する』との説明あり。たしかに特に低域の張りがなかったようだが、そもそも4日公演でもあまり感心するほどではなかったので、17日公演で再度実力のほどを確認しておきたい。

 

4日公演では長丁場のペース配分が上手くいき第3幕での見事なヘルデン・テノールを聴かせてくれたステファン・グールドは、この日は第2幕で少しオーバーペース気味だったのか、結果第3幕は少し無理を押した雑さを感じた。一方で、ぺトラ・ラングは全幕を通じてテンションを落とすことなく上手く乗り切った。Ruhe, Ruhe, du Gott! (自己犠牲で一番好きなところ)など、4日よりずっとよい。あとラインの乙女のコーラスは4日に比べ格段にまとまっていた。

 

もう40年あまりの付き合いでテキストは大体のところ覚えてしまっているし、先週、今週の2回で演出は大体のところ把握した。次回17日は、一切字幕には目を遣らないことに決めた。舞台の歌とピットのオーケストラに耳目を傾けて、ワーグナー畢生の大作を存分に堪能します。

 

 
神々の黄昏_20171011


2017104日 新国立劇場 ワーグナー 楽劇神々の黄昏 104日公演

 

新国立劇場

1階中央ブロック2列目

 

指揮:              飯守 泰次郎

オーケストラ:      読売日本交響楽団


演出:              ゲッツ・フリードリヒ

ジークフリート:    ステファン・グールド

ブリュンヒルデ:    ぺトラ・ラング

アルベリヒ:         島村 武男

グンター:           アントン・ケレミチェフ

ハーゲン:           アルベルト・ペーゼンドルファー

グートルーネ:      安藤 赴美子

ヴァルトラウテ:     ヴァルトラウト・マイヤー

ヴォークリンデ:     増田のり子

ヴァルグンデ:       加納 悦子

フロスヒルデ:       田村 由貴絵

第一のノルン:       竹本 節子

第二のノルン:       池田 香織

第三のノルン:       橋爪 ゆか

 

今年1月から予定されていた明日の東京オフィス会議にドンピシャ照準を合わせて有給休暇を取得。チケットピアで購入できたのが、なんと中央ブロック第2列目。バイロイト主役級のワーグナー歌手の歌を、そしてワーグナー指定どおりの巨大編成の読売日本交響楽団の音を、休憩を挟んで6時間、じっくりと堪能。(開演45分、終演105分)そして終幕、強烈なカタルシスに浸った。

 

とにかくワーグナー作品の中で、いや全オペラ作品の中で、いやいやすべてのクラシック音楽の中で“神々の黄昏が最も好き。とにかく好きで好きでたまらない。にもかかわらず実演は3回だけ。1987年のベルリン・ドイツ・オペラ、2006年のマリンスキー・オペラの指輪4部作上演、それと1991年の二期会による単独上演。キース・ウォーナーの東京リングは、地方在住のサラリーマンにはどうにもならなかった。だから、この新国での上演は万難を排して観たかった。

 

ステファン・グールドもぺトラ・ラングも特に最終幕の歌唱がすばらしい。ステファン・グールドはグンターの知略から徐々に英雄的性格をとりもどし、最後に背中を刺されるまでの叙事語りは、これぞ“ヘルデン・テノール”だったし、ぺトラ・ラングも最終場での自己犠牲での深く沈んだ低域での絶望から張り詰めた高域まで、大変見事。

 

見事といえば、読響の演奏もすばらしい。中央ブロック第2列目の上手側だったので、ピット壁越しとはいえ、ズンズンと聞こえてくる金管の響きの分厚いこと。左右バルコニーのシュティーアホルンも自席からはちょうど真左・真右から聞こえて迫力満点。

 

東京非在住の現役サラリーマンゆえ、どのような突発理由で観れなくなるかわからない。そういうことで、“万が一”に備えて別の日のチケットも購入というリスクマネージメント実施ずみ。11日水曜日公演、うまく都合がつけば(いやいや、なんとか都合をつけて・・)もう一度。演出や飯守泰次郎の指揮やら、あれこれ書こうかな。それとも、今日と同様、強烈なカタルシスに浸って“良かった”“凄い”に終始するかも。

 
新国_神々のたそがれ_20171004

2017712日 関西二期会サロンオペラ 第15回公演 『カルメン』

 

ザ・フェニックスホール

 

ビゼー 『カルメン』

 

指揮:金 正奉

演出:高木 愛

ピアノ演奏:蜷川 千佳

 

またも演奏会記録の書き溜めをしてしまった。大阪フィル509回定期、読響第17回大阪定期、ザ・タローシンガーズ第22回定期、ドレスデン・フィル芸術劇場演奏会、関西二期会のサロンオペラ“カルメン”、シンフォニーホール・ビックバンドVol.6について、順次アップします。昨日聴いた、バーンスタイン“ミサ”は、後日あらためて時間を置いて記します(あまりに衝撃が大きすぎた)。

 

サロンオペラとして群集の場面などを割愛した2時間ほどのバージョン。こういった趣向の演奏会は歌手一人ひとりの実力云々など無粋。小さな舞台での小粋な演出も交えた歌のアンサンブルを楽しんだ。タイトルロールが第1幕から役になりきって演技をしていたのに比べ、男性陣は第2幕あたりまでどうしても吹っ切れなかったように感じたのか気のせいか。それでも最終幕のドン・ホセ役は表情も演技もぐっと深みが増していった。大いに楽しんだ一夜だった。

 
二期会_サロンオペラ_カルメン_20170712

201735日 琵琶湖ホール プロデュースオペラ ワーグナー『ラインの黄金』第2日目 

 

滋賀県立芸術劇場 琵琶湖ホール

1階 1H 18

 

指 揮           :沼尻 竜典

演 出           ミヒャエル・ハンペ

 

ヴェータン      :青山 貴

フリッカ        :谷口 睦美

ローゲ          :清水 徹太郎

アルベリヒ      :志村 文彦

ミーメ          :高橋 淳

エルダ          :池田 香織

ドンナー        :黒田 博

フロー          :福井 敬

ファゾルト      :片桐 直樹

ファーフナー    :ジョン・ハオ

ヴォークリンデ  :小川 里美

ヴェルグンデ    :森 季子

フロスヒルデ    :中島 郁子

 

オーケストラ、歌、演技、プロジェクションマッピングとのシンクロなど、あらゆる点で昨日よりずっと出来がよい。初日に比べ劣っていたのは、ほんの些細なことだけどエルダ登場のシーン・・舞台の景色が宇宙空間(?)に一瞬にして変わる最もイマジネーションにとんだ演出箇所・・・で、今日は地面が数秒早く開き始めたことくらい。

 

京響の演奏は実にすばらしく、ラインの乙女が登場するまでの序奏で早くも涙が出てしまった。安全運転に終始した昨日と打って変わって、完全に吹っ切れたように開始早々から最後まで“楽劇”を聴かせてくれた。ハープ3台、ティンパニ2セットなど、ところ狭しと配置された狭いピットにどうにか納まった12型弦は高弦からベースまでよく鳴っていたし、昨日は遠慮がちだった金管もかなり音量をあげて吹き鳴らしていた。たとえば第4場でアルベリヒが指輪を突き刺すのに合わせて小人役が悲鳴をあげてニーベルハイムに逃げ去るシーンで、初日は子供たちの悲鳴が耳に大きく届いたのに、今日は金管の強奏が悲鳴をかき消すほど。やはり“楽劇”はこうでなくちゃ。

1日目は女性歌手に力負けした感の男性は、今日は声量でも演技でもまったく互角。なにより全員のレベルが一定だったことは、登場人物が多いこの楽劇にとってはかなり重要な要素。昨日は棒立ち気味だったフローも今日はしっかり演技していたし、アルベリヒも音程は少々目を瞑ってでも役になりきった歌唱と演技だった今日のほうがずっと良い。

 

演出は限られた予算で最大の効果を得ることに成功していたと思う。前述したとおりエルダ登場の場で、音楽の変化に合わせて舞台最前面の透明スクリーンに宇宙空間(?)が映る幻想的なシーンはとてもとても素敵だった。エルダがヴェータンを諭す重要な場面なのだから、あらかじめフローは他の歌手と同じように舞台奥に立たせて置いて、背景に姿を沈ませればなお良かったのに。

 

ほとんど台本に沿った分かりやすい演出だった。ただ、エルダが去ったあと剣が地面に突き刺さっている、という演出は何を意味しているのだろう?エルダが剣をヴェータンに授けたのだろうか?(実は初日の演奏を聴いたときから、今にいたるまでずっとその演出意図を考えている。私も一端のワグネリアンのようだ)。これから“びわ湖リング”を見続けていくと演出の中に解が示されるのだろうか?いまからもう来年3月のワルキューレが楽しみでたまらない。

 
琵琶湖ホール_ラインの黄金

201734日 びわ湖ホール プロデュースオペラ ワーグナー『ラインの黄金』第1日目 

 

滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール

1階 1H 18

 

指 揮           :沼尻 竜典

演 出           ミヒャエル・ハンペ

 

ヴェータン      :ロッド・ギルフリー

フリッカ        :小山 由美

ローゲ          :西村 悟

アルベリヒ      :カルステン・メーヴェス

ミーメ          :与儀 功

エルダ          :竹本 節子

ドンナー        :ヴィタリ・ユシュマノフ

フロー          :村上 敏明

ファゾルト      :デニス・ビシュニャ

ファーフナー    :斉木 健詞

ヴォークリンデ  :小川 里美

ヴェルグンデ    :小野 和歌子

フロスヒルデ    :梅津 貴子

 

明日も同じ席(H 18番)で鑑賞するので、演奏や演出の感想等は明日の日記でまとめて・・・と記しながらも、オケについて一言だけ。ピットに入った京響はかなり控えめな安全運転でいささか物足りなかった。第3場から最終場になってある程度までギアを上げてきたけど、それでもまだまだ京響本来のパワーではない。明日にはどの程度までギアアップしてくるだろうか?

 

終演後、日本ワーグナー協会の懇親会に参加して楽しい時間を過ごすことができた。ベルリン・ドイツ・オペラによるトンネル・リングの公演会場で入会申し込みして以来、すでに30年も経過したことになる。たしか入会当初900番前後だった会員番号もだんだんと繰り上がり今は300番ほどにまでなったけど、つまりは協会発足当初からのワグネリアンが私の前に300人以上もいらっしゃるということ。今日の懇親会にも40人ほどが参加され、その多くが東京からいらっしゃったはず。皆さんのお話を聞くにつけ、つくづく思う。『やっぱ筋金入りの“ワグネリアン”はすごいわ』

琵琶湖ホール_ラインの黄金


2016
1106日 備後オペラ団体 “ムジカ・アヴァンティ” ドニゼッティ『愛の妙薬』

 

福山 福山芸術ホール リーデンローズ

1L87番(ピットから2列目)

 

ドニゼッティ: 歌劇『愛の妙薬』

 

指揮: 山上 純司

演出:  豊田 千晶

管弦楽:  府中シティオーケストラ

合唱:  アヴァンティ合唱団

 

アディーナ: 土井 範江

ネモリーノ:    松本 敏雄

ベルコーレ:   山岸 玲音

ドゥルカマーラ: 西田 昭広

ジャンエッタ: 福永 真弓

 

“ブラボー”の一言です。

 

これまで福山市は文化不毛の地と思っていました。芸術・文化に対する意識と熱意が行政から民間まで広く行きわたり根付いている隣県の倉敷市(イオンモール内のMOVIX倉敷でメットライブビューイングを見られる)に対して、同じ瀬戸内工業地域でありながら、大手製鉄所を中心として栄えた福山市には文化の成熟度を全く感じられない、というのが正直なところでした。でも、今日の公演を観て、猛省です。

 

よくぞここまでの舞台を作り上げたものです。恐らく相当に低予算での公演だったのでしょう。舞台装置(いやいや、そもそも装置などないか)は徹底的にお金をかけていない。左右の反響板のデザインをそのままに、ホームセンターで売っているラティスフェンスを左右と舞台奥に並べて、見事にステージを第一幕“村の広場”と第二幕“婚礼の場”にしてしまった。“なるほど、よくぞ考え付きましたねぇ!”と、知恵を絞った演出に唸ってしまいました。

 

アマチュアの合唱は演技も歌もなかなか見事なもの。恐らくステージパフォーマンスをしたことなどないだろうのに、実に“それらしく”演技をしていて、見ていて本当に楽しい舞台になっている。舞台慣れしたように大きな身振りの一部の女性メンバーがいる一方で、多少堅い表情と動作の男性メンバーがいたりで、逆に群集の自然な雰囲気を感じさせた。一人ひとりが考え抜かれたプロフェショナルな演技をする一流歌劇場を見たときの“芸”としての高度な見栄えとは全く違う、群集の“普通さ”が表現できていたのでしょう。

 

府中シティオーケストラの演奏もたいしたもの。開演1時間以上前に会場に行き当日券を買い求めたピットから2列目で聴いたオーケストラの音は、弦も管もピッチが安定していて、音が痩せることなくドニゼッティらしい音楽を楽しく聴かせてくれました。

 

いやあ、とにかく面白かった。合間で拍手したり、2幕のネモリーノのアリアでブラボーかけたりといたしました(普段のコンサートでブラボーかけることなど、まったくない)。やはりイタリアオペラを楽しむには“ノリ”が大事ですからね。

愛の妙薬_20161106

 

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