あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

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2021728日 伊藤 恵 ピアノ・リサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階E3

 

ピアノ  :伊藤 恵

 

シューベルト           12のドイツ舞曲 op.171D790

                       :楽興の時 op.94D780

ベートーベン           :ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調『月光』

                       :ピアノソナタ第28番 イ長調 op.101

 ――アンコール       :エリーゼのために

 

またまた、思いっきりのビハインド。84日と7日のマイスタージンガー(上野文化会館)の直前の公演中止で一気に萎えてしまってました。両日とも、前泊で空港に向かう直前の中止連絡は堪えた~。ということで、またまたいつもの通り、薄れた記憶を頼りに

 

昨年8月、同じフェニックスホールでの白井圭(N響ゲストコンサートマスター)との共演での、柔らかく温かみのあるピアノの音を今もはっきりと覚えていて、この日のリサイタルはどうしても聴きたかった。伊藤惠のピアノの音は、とにかく絹のように滑らかで常に透明感に満ちていて、常に均整の取れた響きは特にシューベルトの音楽にはとても相合しい。後半に演奏されたベートーベンの二つのソナタとアンコールまで、一貫して心穏やかに音楽に耳を傾けることのできた素敵な時間でしたよ。

 

20210728_伊藤恵

 202178日 第20回ハイドン大學  日本センチュリー_ハイドンマラソンを楽しむための音楽講座 

 

京阪電車なにわ橋駅 アートエリアB1

 

受講料500円、定員15名の夕方7時から1時間半ほどのイベント。日本センチュリーのハイドン交響曲連続演奏会(ハイドン・マラソン)に合わせて始まったこのレクチャー(?)も最初の頃は参加費用4,000円だったはず。当初は、ちょっとアカデミックというかスノッビーな印象が無きにしも非ずだったけど、いまやワンコインで、しかもネット配信もされている。

 

受講料500円だし、ボランティア・スタッフによる手弁当感のある雰囲気の良いイベントだったけど、大半はヴィオラ・ダ・ガンバの楽器紹介とフレンチ・バロックの作曲家マラン・マレの『膀胱結石手術図』の紹介…う~ん、なんだか登壇者の趣味の延長になってない…? ハイドンマラソンを楽しむための音楽講座『ハイドン大學』として期待していたのとは、ちょっと違うんだよなぁ。

 

改めて、2年前のフェニックスホールのヴィオラ・ダ・ガンバ2丁とクラブサンによる『究極のフレンチ・バロック』と題された演奏会が、いかに貴重なものだったかを図らずしも再認識。

 

20210708_ハイドン大學



20191023_究極のフレンチバロック

202167日 ダニエル・バレンボイム ピアノリサイタル

 

フェスティバルホール

1階ボックス席A4

 

ダニエル・バレンボイム

 

ベートーベン 

ピアノソナタ 第30

ピアノソナタ 第31

ピアノソナタ 第32

 

普段はどんなに聴き馴染みのない作品であっても、所謂コンサート前の“予習聴き”はしない主義だけど、今回は例外。この2ヶ月ほど、最後の3つのソナタを徹底的に聴きこんだ。自宅にある10種類ほどあるポリーニ、グルダ、バックハウス、ケンプなど有名どころの全集CDからとっかえひっかえ繰り返しなんども。(いつか必ず聴くから…と買い集めていたボックスセットもついにその時が来たぁ)、そして特注スタンウェイによるバレンボイム5度目の最新録音CDも勿論。本来なら、さらに加えて428日に京都ムラタホールでの小山美知恵の演奏会も聴いて…のはずが、残念ながらこちらは来年に延期となってしまったけど… 

 

そして徹底した“予習聴き”を通じて感じたことは、この晩年の傑作は聴き手にも相応の人生経験が求められれるのだということ。少なくとも凡人である私は、還暦を越えてやっと平穏のなかに込められた深遠さを感じとることができるようになったみたい。まったく前掛かりになることなく、あまりにも自然なバレンボイムの演奏の素晴らしかったこと。もしこの演奏を20年前、いやほんの10年前に聴いたとしたら、自己主張のない教科書的な演奏といったあまり前向きでない感想を持ったかもしれない。アリエッタの浄化された空間に身を置く幸せを感じて、演奏会が終了した。ほんと、素敵な時間だった。

 

20210607_バレンボイム


2021515日 寺神戸亮 バロックヴァイオリン サイタル バッハ無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルディータ全曲 前編

 

ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ 小ホール

 

バイオリン 寺神戸 亮

 

J.S.バッハ     無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調BWV1001

                == 同 == パルティータ第1番    ロ短調 BWV1002

                == 同 == ソナタ第2番       イ短調 BWV1003

 

広島県も演奏会翌日の516日から緊急事態宣言となったので、裏の事情は知らないまでも、ほんとギリギリのタイミングでの演奏会決行だったのでは。さすがにこの時期、座席数300人ほどの会場の入りは寂しいけど、福山のコアなクラシック音楽ファンが集まったって感じだろうか。永田音響設計による豊潤な響きのホール(福山市は豊田泰久氏の出身地)で聴くバロックバイオリンの音色のなんとも味があること。普段、現代ヴァイオリンによる、ときに鋭角的な演奏を聴いている耳にはとても新鮮で、聴き続けるうちにだんだんと心が安らいでいく。

 

ところ関西では4月最終週に緊急事態宣言が発出されたことで、428日の京都ムラタホールでの小山美知恵のリサイタルが来年に延期、翌29日の関西フィルの定期は公演中止。特にベートーベンの最後の三つのソナタを聴くはずだった小山美知恵のピアノリサイタルは、数週間後のフェスティバルホールでのバレンボイムとの演奏比較もできて、とても楽しみだっただけに残念。

 
20210515_寺神戸亮

2021418日 福井敬 スペシャルリサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階D9

 

福井 敬

 

 =スペシャルゲスト

上田順子  ソプラノ

高橋宏奈  ソプラノ

黒田博     バリトン

 

谷池重紬子 ピアノ

 

1

        ≪ボヘミアンの祈り≫

アヴェ・マリア/ グノー                 福井敬                

アヴェ・マリア/ シューベルト           高橋宏奈

アメイジンググレイス                   上田順子

恋人か女房か/モーツァルト              黒田博

 

        ≪一本松の想い≫ ~福井敬

初恋                          石川啄木/越谷達之助           

星めぐりの歌                   宮澤賢治       

くじらのこもりうた             小野寺悦子/加藤學

死んだ男の残したものは        谷川俊太郎/武満徹

 

2 

プッチーニ 歌劇『ラ・ボエーム』ハイライト   

 

 

わぁっと、ブログタイトルの‶きままに…”どころではない。またもブログ更新、思いっきりビハインド。ブッフビンダー(いずみホール)と小山美知恵(ムラタホール)のベートーベン・ソナタリサイタルが再延期になったのは残念ながら、とりあえずコンサートが延期・中止になっているこの隙に…

 

ザ・フェニックスホールで行われた福井敬・NET主催の贅沢なコンサート。一昨年(2019年)、スペシャルゲストに清水華澄さんを迎えた《カルメン》抜粋を目の前で体験し、日本を代表するオペラ歌手の実力の極まりに圧倒された記憶はいまだに鮮烈。今年の第二部では、上田順子さん(ミミ)、黒田博さん(マルチェッロ)、そして一昨年に続いて高橋宏奈さん(ムゼッタ)をゲストに迎えての《ラ・ボエーム》。抜粋といっても、全幕の要所を押さえての70分ほどの熱演で、ことしも圧巻の一言。

 

本来なら終演後、レストランに場所を移して福井敬さんやゲスト歌手の皆さんと一緒にディナーを楽しむはずのところ、さすがにコロナ禍ではそうもいかない…終演早々にオペラ愛好家の大先輩お二人とともに難波の行きつけイタリアンに行き、8時の閉店までオペラ談義に興じながらワインを飲みすぎた。おかげでアンコールが何だったかまったく記憶がとんでしまった。

20210418_福井敬_1

20210418_福井敬_2

202133日 オーレン・シェヴリン チェロリサイタル 

 

ザ・フェニックスホール

 

ヴァイオリン           :オーレン・シェヴリン

ピアノ                 :芦川真理子

 

シューマン      :民謡風の5つの小品集 op102

ブラームス      :チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 OP38

グリーグ        :チェロ・ソナタ イ短調 OP36

ピアソラ        :ル・グラン・タンゴ

  アンコール        チャイコフスキー:ノクターン

                       フォーレ: シシリア―ノ

 

昼間の4オケスペシャルと同様、昨年7月の振替公演。本来、平日午後2時からのティータイムコンサートとして予定されていたもの。

 

ザ・フェニックスホールのティータイムコンサートって、こんなにもハイ・クオリティーな演奏会が聴けるんだ。ネットで確認してみると、昨年はディジー・ラーンキ(ピアノ)や、ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)のリサイタルがラインナップされている(どちらもコロナ禍で公演中止)。気づかなかった…これはなかなか凄い。でもなんでまたリタイア層対象の平日2時公演なの?

 
20210303_オーエン

2021210日 高木和弘(ヴァイオリン)のサン=サーンス讃

 

ザ・フェニックスホール

 

ヴァイオリン           :高木和弘

ピアノ                 :佐藤勝重

 

オール サン=サーンス

ヴァイオリン協奏曲第1番 op20

ロマンス ハ長調 op48

ハバネーズ op83

死の舞踏 op40

序奏とロンド・カプリチオーソ op28

ヴァイオリンソナタ 第2番 変ホ長調 op102

  アンコール  子守唄

 

3月に入り、いよいよコンサートの予定がギッシリと…なのに、またまた1月末から2月の演奏会を書き溜め。とにかく、備忘メモとして…。

 

カミュ・サン=サーンス没後100周年記念 高木和弘(ヴァイオリン)のサン=サーンス讃と題された演奏会。最近、お気に入り登録したYOUTUBEチャンネル【厳選クラシックちゃんねる】で、サン=サーンスの偉人ぶりを遅ればせながらに学んだばかり。わずか2時間ほどだけど、天賦の才の一端を感じることのできた貴重な体験だった。

 

最後に『お聴きのみなさん、アンコールはきっと白鳥…だとお思いでしょう?、もっと(他にも)いい曲があります…』として、最後に子守唄を弾いて終演。

 
20210210_サンサーンス

2021年1月27日 朝日カルチャースクール 広くて深いオペラの魅力 マスネ『ウェルテル』 講師:丸山幸子 

 

朝日カルチャーセンター中之島(中之島フェスティバルタワー)

 

講師    :丸山 幸子

エットレ・バスティアニーニ研究会代表 オペラ研究家

 

3月に入り、いよいよコンサートの予定がギッシリと…なのに、またまた1月末から2月の演奏会を書き溜め。とにかく、備忘メモとして…。

 

講師の丸山先生に先日のワーグナー特別演奏会の会場でお会いした際に、まだ席に若干空きがあるとのお聞きしたので、急遽当日申し込みをして聴講させていただいた。視聴映像は、ヨナス・カウフマンがタイトルロール、ソフィー・コッシュがシャルロットを歌った2010年のパリ・バスティーユ公演をメインに、いろいろとメットに比べて…、したうえで2017年のチューリッヒオペラの公演。

 

マスネの『ウェルテル』といえば、数年前にヨナス・カウフマンがタイトルロールを歌ったメットライブビューイングで鑑賞した記憶がある程度。まして、ゲーテの小説なんて、はるか昔にたぶん読んだはず…くらいなのもの。フレンチオペラの代表作としてではなく、ドラマ性、旋律美、オーケストラの重厚な響きは、間違いなく後期ロマン派の主要作品の一つなのだ、といまさらながらに認識。このカルチャー教室での講義内容、ワーグナー楽劇一辺倒の私には、ほんと勉強になります。

 
20210127_丸山先生

2021115日石田泰尚 ヴァイオリンリサイタル2020 ザ・シンフォニーホール

 

ザ・シンフォニーホール

3RRB3

 

ヴァイオリン           石田泰尚

ピアノ                 :山中惇史

 

ドヴォルザーク               ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ

フランク                     ヴァイオリンソナタ イ長調

〜 休憩

クライスラー           :       テンポ・ディ・メヌエット

                              シンコペーション

                              ウィーンの小さな行進曲

ピアソラ                      アディオス・ノニーノ

フラカナーパ

天使のミロンガ

現代のコンサート ~タンゴの歴史より

ル・グラン・タンゴ

―アンコール   ジョン・。ウィリアムス  :映画『シンドラーのリスト』のテーマ

                シュニトケ             :タンゴ

                ロドリゲス             :ラ・クンパルシータ                  

                                                

 

あれれ~、年を跨いで7つも書き溜め。小菅優ピアノリサイタル、大フィル_チャイセレⅢ、大フィル_新春名曲、日本センチュリー_豊中名曲、石田泰尚ヴァイオリンリサイタル、日本センチュリー252定期を順次、Evernoteのメモを見ながら備忘禄として・・・

 

神奈川フィルのソロコンサートマスターで、ハマのカリスマ・ヴァイオリニストのリサイタル。ヴィジュアルとクラシック音楽(ドヴォルザークとフランク)とのギャップが受けるのか、やはり女性のお客さんが多いような(といっても、このコロナ禍で入りは2割ほどだけど)。私もサードアルバム『Pure Violin』、愛聴してます。

石田組での定番アンコール、パープルの『BURN 紫の炎』を期待してたけど~ソロではやってくんないのか、残念。

20210115_石田

20210115_石田_あ

20201125日 小菅優 ピアノリサイタル コンサートシリーズ『Four Elements』第4弾 いずみホール

 

いずみホール

1階E8

 

ベートーベン            :バレエ『森の乙女』のロシア舞曲に主題による変奏曲    

シューベルト           :幻想曲 ハ長調D760 『さすらい人』

ヤナーチェク           :ピアノソナタ『1905101日・街頭にて』

藤倉大                 AKIKO's Diary

ショパン               :ピアノソナタ 第3番ロ短調 op58

 ――アンコール  ショパン:ノクターン第5番 嬰へ長調

 

あれれ~、年を跨いで7つも書き溜め。小菅優ピアノリサイタル、大フィル_チャイセレⅢ、大フィル_新春名曲、日本センチュリー_豊中名曲、石田泰尚ヴァイオリンリサイタル、日本センチュリー252定期を順次、Evernoteのメモを見ながら備忘禄として・・・

 

小菅優のピアノ演奏、これまでオーケストラとのコンチェルト演奏ばかりで、今回が初めてのソロリサイタル。最初のベートーベン開始早々から、正確で緻密、みずみずしさすら感じるタッチに魅了される。壮大で、まるでオーケストラを聴いているかのようにシンフォニックでいろいろな音色が聴こえてきそうなシューベルトのさすらい人幻想曲、そして圧巻のショパンのロ短調ソナタ。もう小菅優の魅力に完全に虜になってしまった。近年聴いた日本人プロピアニストの演奏の記憶が一気に色褪せてしまう。たとえ遠方に足を運んででもリサイタルを聴いてみたい、そう心底から思ったピアニスト。


20201125_小菅優

20201124日 鶴澤寛太郎 文楽三味線の世界 〜大阪倶楽部公開文化サロン 

 

大阪倶楽部ホール

 

三味線  鶴澤 寛太郎  

太夫   竹本 太夫 

 

 

1 ★トーク『文楽三味線の魅力を語りつくす』

ナビゲーター: 藤川貴央(ラジオ大阪アナウンサー)

 

2 ★ 素浄瑠璃『日吉丸稚桜 駒木山城中の間』

 

19歳から10年ほど琴古流尺八を習っていたので、琴や三味線には馴染みがある。だたのクラオタじゃないんだぞ~、って言うか、そもそも日本人たるもの西洋音楽をスノビッシュに語る前に、自国の古典芸術にもっと親しまないと…なんてね。

 

この度の大阪倶楽部4階ホールでの素浄瑠璃は、クラシック音楽でいえば、フェニックスホールで国内トップ・オケのコンマスによるヴァイオリンとピアノの重量級ソナタを聴いたような体験…といったらいいだろうか。徐々に熱を帯びていく太夫に沿うように、始め淡々と合いの手をいれていた三味線のバチ捌きが、どんどんテンションを高めていって、終盤にかけて息詰まるほどの緊張感に至る様は、もう圧巻の一言。

 

なお素浄瑠璃上演に先立って、関西人らしい爆笑のなかにも高いプロ意識を感じさせる素敵なトークも楽しませていただいた。

 

すでに一月以上経過したけど、速記メモを頼りに・・・

 

光があたる太夫に対して、三味線は影の存在でなかなか目立たないが、物語の進行や雰囲気を決定づける鍵を握っている。

太夫の描いた絵に色を付けるのが三味線の役割。水墨画のような濃淡を表現するのか、極彩色にするか…三味線奏者ならではの醍醐味が味わえる。

ジャズ好きの人から文楽三味線は、音の並びがジャズに似てると言われる(邦楽器の音階は、いわゆるヨナ抜き音階で、洋楽のペンタトニック・スケールですね)。また太夫とのコンマ数秒のやり取りにジャズの即興性を感じるのだと思う。

太夫と三味線がお互いに自分の芸をもって主張しながら作品を作り上げている。太夫の語りを聴きそれに沿うように演奏するが、太夫の芸が成立することを大前提に自分の意思を通す場合もある。
それでも、真に芸を極めた太夫の伴奏では、ある定まった一瞬しか音を出すタイミングが存在せず、自分は弾かされている、と感じることがある。

 

 

≪閑話休題≫

終演後に大阪倶楽部の館内見学をさせていただいた。大正元年に創立された本格的な英国風建造物で、普段は会員しか入れないにもかかわらず、なんと写真撮影OKでした。

 

 
20201124_文楽_大阪倶楽部

20201124_文楽_大阪倶楽部_2

20201124_文楽_パンフ

20201124_文楽_パンフ_2

20201124_文楽_パンフ_1


大阪倶楽部の館内見学会にて
20201124_大阪倶楽部_1

20201124_大阪倶楽部_2

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20201124_大阪倶楽部_6?

20201111日 横山幸雄ピアノリサイタル 京都コンサート

 

京都コンサートホール ムラタホール

11427

 

ピアノ          :横山幸雄

 

ベートーヴェン        ピアノソナタ 第17番『テンペスト』

                        ピアノソナタ 第32番 ハ短調

ショパン              アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 変ホ長調

                       バラード第1番 ト短調

                       ノクターン第20番 嬰ハ短調

                       幻想即興曲 嬰ハ短調

                       スケルツォ 第3番 嬰ハ短調

                       子守歌 変ニ長調

                       ポロネーズ 第6番『英雄』 変イ長調

  ――アンコール     子犬のワルツ

 

〜 相変わらずの東奔西走状態が続いており、またもや2週間6公演(ソアレ、ウィーンフィル、横山幸雄、日本センチュリー定期、大阪フィル定期)を書き溜め。先週の関西フィル定期はやむなく行けずじまい。とにかく、備忘メモとしてせめて演奏会の場所・日時と曲名だけは書き留めとかないといけない。あと、散文的にでもなんか書き留めておけば、後々、思い出すことができる…ということで、ほんとザックリと…

 

鉄人的ピアニスト、横山幸雄の面目躍如というべきか、すべてをあっさりと弾ききっちゃう。そういえば、今この記事を書いている今この時(12/519時)、東京でソナタ32全曲連続演奏会の終盤を迎えているころのはず。丁寧に仕上げられたベートーヴェンのソナタ2曲に対して、後半のショパンはどれも足早で、勿論ぞんざいに…などではまったくないけれど、最初と最後に置かれた2曲のポロネーズや、幻想即興曲など、あっさりした塩ラーメンを食べたような感じ。

 
20201111_横山幸雄

20201029日 土井 緑 ピアノリサイタル ~パリで煌めく作曲家達 Vol.6

 

ザ・フェニックスホール

 

ピアノ          :土井 緑

 

アルベニス      :カディス 『スペイン組曲』第1集 0p46より

プーランク      :バディナージュ ト長調

大澤壽人        :『小デッサン集』

リスト          :悲しみのゴンドラ第1番 変イ長調

リスト          :オーベルマンの谷 『巡礼の年第1年スイスより』

  休憩

セヴラック      :水の精と不謹慎な牧神

ラヴェル        :『夜のガスパール』

――アンコール

                        知らない曲

        ショパン        :幻想即興曲

               

 

ー読響大阪定期、日本センチュリーハイドンマラソン、土井緑ピアノリサイタル、大阪フィルマチネと、いつものようにため込んでしまった。時間作ってサクッと書きます。-

 

このブログ、実際に接した演奏会は自分でお金を払って聴く以上は、プロ・アマを問わず、たとえ辛口になってでも感じたことを率直な言葉で書き留めることにしている。ただ、この演奏会は、演奏者ご本人(土井緑さん)から同じワーグナー協会員としてのご厚意でいただいた招待券で聴いたので、感想等の記載は一切無し、です。

〜昨年と同じですね…そういえば開催日も1129日で同じ〜

 

と言いながら、一言だけ…

難曲『夜のガスパール』、作曲者ラベルの作品に込められた内容は別にして、私はこの曲を聴くたびにベトナムやタイの高温多湿な街に滞在した時のネットリとした夜を思い出すのだけど、この日の演奏はまさにこのイメージ通りだったなあ。

 

20201029_土井緑_1


2020831日 白井圭 & 伊藤恵のシューベルト&シューマン

 

ザ・フェニックスホール

1階B15

 

ヴァイオリン           :白井 圭

ピアノ                 :伊藤 恵

 

シューベルト           :ソナティネ 第1番 ニ長調

シューマン             :ヴァイオリンソナタ 第2番 ニ短調

  ~休憩~

シューマン             :ヴァイオリンソナタ 第1番 イ短調

シューベルト           :幻想曲 ハ長調

 

いや~、よかったなあ。こんなにも幸福な気持ちに浸らせてくれるなんて、ほんと久方ぶり。シューマンとシューベルトの歌に満ちた4曲を通して、すべての音符に、そして音の鳴っていない休止符までも血の通った、心地よい緊張の連続。

 

白井圭の濁りのない、そして一音も緩むことなく一貫して完璧にコントロールされたヴァイオリンの音は、N響ゲストコンサートマスターの実力通り。そして繊細なタッチで統一された伊藤恵のピアノがまた、素晴らしいの一言。ほんと、このザ・フェニックスホールで室内楽伴奏のピアノを聴くと、ピアニストの実力が(残酷なまでに)はっきり判ってしまうのだけど、う~ん、唸るほどに上手がった。

 

20200831_白井圭

2020827日 松浦奈々 ブラームス ヴァイオリンソナタ全曲演奏会

 

ザ・フェニックスホール

1階B9

 

ヴァイオリン           :松浦 奈々

ピアノ                 :須関 裕子

 

ブラームス            ヴァイオリンソナタ第1番 ト長調 『雨の歌』

                       ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調

                       ヴァイオリンソナタ第3番 ニ短調             

  ―  アンコール            曲名不明

 

昨年2月から6月にかけて行われたベートーベンソナタ全曲演奏会の時と同じピアニスト。たしかツィクルスの何回目かの時に、『お互い桐朋の同窓生で…』と紹介していたのを思い出した。日本センチュリーのコンサートミストレス、松浦奈々の安定感はいつもの通り ----- と、ここまで書いたことろでブログ原稿書きを中断して、白井圭&伊藤恵のシューベルトとシューマンの演奏会(同じフェニックホールでの〝ヴァイオリンによるドイツ・ロマンティシズム”と題された2公演セットのコンサート)を聴きに行った(9/1

 

いや~、ヴァイオリニストもピアニストも格が違うわ。この二人でブラームスを聴きたい、って正直思った。ということで、この日の演奏会“楽しみました”と感想一言だけにとどめておきます。

 
20200827_松浦奈々

2020327日 片桐仁美・堅田京子ジョイントリサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階B7

 

アルト                  :片桐 仁美

ピアノ                  :堅田 京子

ギター                  :増井 一友

 

リスト                  :楽に寄す D547

                              死と乙女 D531

                              夜 WoO

                              さすらい人の夜の歌 D768

 

リスト                  :ピアノ・ソナタ第18番 ト長調『幻想』 D894

 

       ~ 休憩

ブラームス              :ピアノのための4つの小品集

 

ヨーゼフ・マルクス     :風車

                                         窓辺にて

                                         煙

                                        雨

フーゴ・ヴォルフ       :ミニヨンの4つの歌

  ――アンコール

        ピチカート・ポルカ J・シュトラウスⅡ  ※ 堅田京子

        ウィーン・我が夢の街  ※ 片桐仁美、堅田京子、増井一友

 

今年は日本国内のワーグナー楽劇上演の当たり年だと思っていたら、主要公演は“神々の黄昏”(びわ湖ホール)に続いて“トリスタンとイゾルデ”(東京音楽祭・春)も中止となり、6月の“マイスターマイスタージンガー”だけとなってしまった。こうなってくるとワーグナーというワードに飢えてくる。この日の演奏会はクブファー演出バレンボイム指揮のバイロイト公演でジークルーネを歌った実績を持つ片桐仁美が、音大同級生の堅田京子とのジョイント・リサイタル。

 

都度に書いているとおり、このブログは作品説明は一切しないことをルールとしているけど、最初にシューベルトの有名リート3曲とともに歌われた“夜”(WoO:作品番号なし)については、ネット検索しても情報が得られなかったので、プログラム記事を以下に抜粋。

 

==QUOTE

今回取り上げる曲は、~略~、そして全く無名な「夜」です。この「夜」は長い間プライベートに所属されていたもので、初演は1989年です。ギター伴奏で書かれていて、ピアノ伴奏の楽譜は1990年に作らえて出版されています。今日は増井さん(今日の伴奏者:アート屋)所有の、19世紀前半の三大ギター名工の一人、ルイ・パノルモが1839年に作ったギターで演奏いたします。

==UNQUOTE

 

最初のシューベルトのリート4曲は、もともとピッチの曖昧さが魅力のギター伴奏ということもあったのだろうか、なんだか歌いにくそうで、また中域音程が時に喉に引っかかるようなころとがあって、少々不調気味。それでも後半は持ち直して、最後のヴォルフ“ミニヨンの4つの歌”は、感情をたっぷりとのせた貫禄の歌唱だった。

 

シューマンが形式的にも精神的にも完璧と絶賛したとされるシューベルトの幻想ソナタは、私には冗長に過ぎて、あまりに長すぎる。ワーグナー楽劇の5時間を全く長いなんて感じないのに、幻想ソナタの40分を聴きとおすのは結構キツイ。これを暗譜で弾くなんてプロは凄い。ブラームスのラプソディー“ピアノのための4つの小品集の4曲目”が一番聴いていて面白かった。やはり、ピアノ独奏曲は全般に聴きなれていない。

 
20200328_ジョイントリサイタル_フェニックスホール

 

2020316日 "東京・春・音楽祭2020" ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽  ~ピアノ四重奏の夕べ ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階B18

 

ヴァイオリン    : ガイ・ブラウンシュタイン

ヴィオラ        : アミハイ・グロス

チェロ          : オラフ・マニンガー

ピアノ          : オハッド・ベン=アリ

 

モーツァルト    :ピアノ四重奏曲 第1番ト短調K478

フォーレ        :ピアノ四重奏曲 第1番ハ短調

ドボルジャーク  :ピアノ四重奏曲 第2番変ホ長調

 

"東京・春・音楽祭2020"HP上で、この“いずみホール公演”は実施予定と継続してアナウンスされてはいたものの、直前まで中止発表を覚悟していた。演奏会当日の夜(ちょうど演奏会が行われている頃)、ついにEUの欧州委員会がシェンゲン協定加盟国に対してEU域外から域内への不要不急の移動制限案を提示しており、この公演の決行はメンバー帰国手配を進めながらのギリギリの判断のなかでのことだったのでは、と思う。よくぞ実施してくれたものだ。いちクラシックファンとして感謝の言葉しかない。

 

昨年と同様、演奏に大変感銘を受けた。おそらく大阪で聴くことのできる最も優れた室内楽演奏ではないだろうか。完全な調和の上で、ダイナミックに個を主張していく弦楽器とピアノ。演奏に対する感想は昨年と全く同じ。あれこれ字面をならべるより、昨年のブログ記事を一部再掲。なお、昨年の同団体のいずみホール公演メンバーからヴァイオリンが、ノア・ベンディックス=バルグリーからガイ・ブラウンシュタインに変更となっている。

 

昨年の同団体の演奏会のブログ記事の一部を再掲

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ピアニストのオハッド・ベン=アリがまた素晴らしかった。同じフェニックスホールのスタンウェイが、過去に聴いてきた室内楽演奏のピアノの音と全く違う。あのような固すぎず音の芯のしっかりした音は、いったいどうやったら出せるのだろう。ピアノの左手がオラフ・マニンガーの弾くチェロと同じ旋律線を奏でるとき、発音の仕組みが全く異なる二つの楽器がどうしてこんなにも調和するのだろうか。ピアノのタッチ、チェロのピッチ、そして奏者の息が完全に一致している。
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欧州委員会による渡航禁止が発表された時点である程度覚悟はしていたものの、今週半ばに、ついにトリスタンとイゾルデの公演も中止となってしまった。指揮者や歌手が来日できなのではどうにもならない。2日と5日の両方のチケットを押さえていたのに…。

 

 

 

 
20200316_ベルリンフィルのメンバーによる室内楽

20200316_ベルリンフィルのメンバーによる室内楽_1

2020313日 日本・リヒテンシュタイン公国友好101周年記念コンサート 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

 

京都コンサートホール

アンサンブルホールムラタ

 

ピアノ        津田理子

マティス・べロイター

 

ベートーヴェン  :ピアノソナタ 第14番 ハ短調『月光』 マティス・ベロイター

                 ピアノソナタ  30  ホ長調                -同上―

休憩

                 ピアノソナタ第3番 ハ長調            津田 理子

                 ピアノソナタ第18番 変ホ長調           -同上―

 

スイス在住の日本人篤志家を中心に若手音楽家育成と国際文化交流の促進支援活動を続けている“若手音楽家育成アヤメ基金”が主催し、日本企業3社とともに日本リヒテンシュタイン友好協会が友好101周年記念として協賛、そして在日スイス大使館と関西日本・スイス協会が2020年第17回SWISS WEEKの一環として後援された演奏会。開演に先立って、主催者(アヤメ基金理事長)が舞台に立ち“京都コンサートホールの理解を得て、仮に無観客になっても実施する覚悟で今日を迎えた。どうか演奏を聴いて、コロナに打ち勝ちましょう!皆さん、音楽を楽しんでください!”との挨拶があった。

 

500名収容のホールの中にまばらに散った観客は、私を含めてざっと40人ほど。それに対して京都コンサートホール側は、まったくの通常オペレーションで対応しており、ホール案内からクローク、さらにはビュッフェも通常メニューで営業された。せめての貢献を…と、夕食を兼ねてサンドイッチとアイスコーヒーを途中休憩でいただいた。サンドイッチは2パックがカウンターに置かれていたけど、もう一つは売れ残ったのだろうか。もし廃棄となったのなら、そちらも買って食べちゃえばよかった。

 

前半プロで、ハイドンの7番ソナタとスクリャービンの4番ソナタがベートーヴェンの30番ソナタの前後に予定されていたものを、直前に(当日に?)月光ソナタに変更。結果的にコンサート・サブタイトル“L.V.ベートーヴェン生誕250周年”に沿ったオールベートーヴェンプロとなった。音響の良いホールの同じ席位置で、作品こそ違えど同じベートーヴェンのソナタを、二人の達者なピアニストで聴くことができるという、なんとも贅沢な時間だった。

特に津田理子さんの、一音一音完璧に統一された音と響き、そして隅々にまでコントロールされた音楽に驚いた。やはり、いい響きのホールで上手いピアノストの演奏を聴くのはとても良いものだ。
どちらのピアニストもプログラム曲の後、アンコールを演奏。津田理子さんが演奏したショパンのエチュード2曲が、とても知的で端正な演奏だった。

終演後、主催者が演奏者二人とともに再度ステージ上がり、次回9月18日に世界でわずか2台、オランダとバーゼルにしかない貴重なチェンバロをもってきての演奏会を実施する、とアナウンスした後“コロナに勝ったぞ”と声をあてげてコンサートがお開きとなった。


 20200313_マティス ベロイター

20200313_マティス ベロイター_1

2020215日 イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノリサイタル ザ・シンフォニーホール 

 

ザ・シンフォニーホール

1G21

 

ピアノ: イーヴォ・ポゴレリッチ

 

J.S.バッハ      :イギリス組曲 第3

ベートーベン    :ピアノソナタ第11

ショパン        :舟歌 嬰へ長調 OP60

                    :前奏曲 嬰ハ短調 OP45

ラヴェル        :夜のガスパール

 

バッハの組曲、ベートーベンのソナタ、ショパンの後期作品、そして超絶技巧のラヴェルと、ピアノ音楽史を一串にしたような魅力的なプログラム。ほんの五日ほど前、この日の大阪滞在が決まったことで半ばあきらめ気味にチケットサイトを覗いたら、なんとG21列目というピアノを聴くには最高の席がポッコリと空いているではないか! こりゃラッキー。ちなみに明日の東京新国オペラパレス “セビリアの理髪師” も、これまた平土間前方ど真ん中のチケットが偶然にも買えた。こりゃついているぞ。この調子でロトも当たんないかな。

 

クラシック音楽ファンといってもオーケストラ作品中心で、マーラーだのリヒャルトシュトラウスだの、さらにはワーグナーの楽劇だのを日ごろ好き好んで聴きまくっている一方で、ピアニストにもピアノソロ作品にもめっぽう疎い。膨大なピアノ作品群、そして大家と称されるピアニストから新進気鋭まで、それらを隈なく追っかけていたら、それだけで人生が終わってしまいそうなくらい。それでもショパンコンクールでの逸話、そして精神面での苦境からの復活といったストーリーとともに記憶されるポゴレリッチは、是非とも聴いておきたい。

 

そのポゴレリッチ、やはり聴いてよかった。他の著名なピアニストとは明らかに違う、とても突き抜けた存在ではないだろうか。ピアノ(一つの躯体)から、こんなにも多様な音が鳴らせるものなのだと、実のところ初めて知った。そしてその単音一つひとつがここまで研ぎ澄まされているなんて、ほんと奇跡のよう。かつてはとてもスローテンポな演奏スタイルだったらしいけど、今日の演奏はバッハもベートーベンも実直で真っ向勝負で、特異さ、異様さは一切なし。ショパンは、櫂でゆっくりと小舟を漕ぐというより、腕っ節に自信のある船頭によりグイグイ進んでいくような演奏で、また次の前奏曲も全く病んだショパンじゃなかった。そしてショパン2曲演奏の後、袖に一度引っ込むことなく演奏を始めた夜のガスパールも圧巻の一言。いや~、凄かった。すべてが記憶に残る演奏だった。

 

 
20200215_ポゴレリッチ_1


ザ・シンフォニーホールの男性トイレにある、いつもの手書きボード ~スタッフさん、日付が間違ってますよ~
20200215_ポゴレリッチ

 

202029日 長崎 出島 カピタン部屋 コンサート 長崎県オペラ協会 

 

長崎 出島 カピタン部屋 2

 

冬のメドレー

長崎の歌メドレー

ドゥ-ニ:音楽劇『二人の猟師とミルク売り娘』より“ペレットの歌”

マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲“アヴェマリア”

J・シュトラウスⅡ:『こうもり』よりアデーレの笑いのアリア“私の侯爵様”

見上げてごらん夜の星を

J・シュトラウスⅡ:『こうもり』より“シャンパンの歌”

 

妻との長崎市内観光で訪れた長崎出島で、たまたま聴くことができたカピタン部屋の2階での30分ほどのミニ・コンサート。“カピタン部屋”といっても、鎖国時代にオランダから日本の出島に赴任してきた商館長の住居兼事務所で、出島で最も大きく、日本側の役人との接待・社交の場としての役割を担っていた、2階建ての大きな建物。その2階にある豪華なダイニングスペースに続く、南側に面した20畳(?)ほどの大広間に電子ピアノを置き、畳のうえに赤い毛氈を敷いてコンサートスペースとしたもの。

 

観光中にこのコンサートのチラシや案内を見かけたわけでもなく、たまたまボランティアによる約一時間の出島紹介ツアーの後、ダイニングスペースをじっくり鑑賞したい、という妻の求めでカピタン部屋に立ち寄ったことで出会えたコンサート。観客は私たち夫婦の他にあと10名ほど。歌い手は、長崎県オペラ協会の女性歌手3名。歌手名のアナウンスもプログラム配布もない、とてもささやかなコンサート。それでも観光で訪れた地で、こうした暖かく優しい雰囲気の演奏会に出会えることは本当にうれしいものだ。


演奏された作品やその作曲者については、一切書かないことをこのブログ上でのルールにしているけど、『二人の猟師とミルク売り娘』に限っては備忘として記しておきます。

曲名だけは携帯メモに控えたものの、後で調べてみると江戸時代文政の1820年に出島で初めて、つまり日本で初めて、当時の商館長の愉しみとして、ここカピタン部屋の広間で上演されたオペレッタなのだそうだ。イタリア人 エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニによるフランス語オペラ・コミックが、オランダ人によって上演されたらしい。それが大変うけて長崎奉行を迎えて再演されたとのことなど、クラシック音楽ファンとしては、なんとも興味深い歴史が垣間見えてきた。こうした珍しくも貴重な作品を歌って聴かせてくれた、長崎県オペラ協会の歌手の皆さんに感謝!

ちなみに、イタリア人によるフランス語オペラ・コミックがオランダ人により日本で上演…ということなのだけど、今、知人に紹介されて読んでいる石井宏著“クラシック音楽意外史”でのクラシック音楽におけるイタリアオペラの位置づけに重ねると大変興味深い。

演奏会の終了後に、ブログ掲載の許可を頂いて撮った写真がこちら。ピアニスト(左)と長崎県オペラ協会所属の歌手の方々。
20200209_出島コンサート


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