2021年3月23日 新国立劇場 ワルキューレ 3月23日公演
新国立劇場
3階1列7番
指揮: 城谷 正博
演出: ゲッツ・フリードリヒ
オーケストラ: 東京交響楽団
ジークムント: 村上 敏明 第一幕
秋谷 直之 第2幕
ジークリンデ: 小林 厚子
ヴォータン: ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ブリュンヒルデ: 池田 香織
フンディング: 長谷川 顕
フリッカ: 藤井 美穂子
不要不急の東京往来をしないで…との都知事の発言を報道で耳にしながら、地方在住ワグネリアンとして城谷正博の指揮は絶対に聴き逃すわけにはいかない…という強い自己肯定で臨んだワルキューレ千秋楽。ブログタイトル通り、‟気ままに…”というつもりはまったく無いのだけど、いつもながら実際の公演日から数週間が経過してしまった。薄れつつある記憶をEvernoteのメモを頼りに書き留めなきゃ。
2週間前の初日に比べオーケストラが非常に生き生きとして音色もヴィヴィッドで、鳴りっぷりが凄い。さすがに第3幕の後半あたりは鳴らしすぎの弊害なのか、演奏が雑になるところもあったにせよ、この千秋楽での指揮に全身全霊を注いだであろう指揮者のワーグナー音楽への情熱がオーケストラの音とともに伝わってくるようだった。
ヴォータンの別れの場で思わず涙腺が緩むのは毎度のこととして、この日は特に第2幕がとても楽しめた。いまや日本人唯一のブリュンヒルデ歌いとなった感のある池田香織、貫禄の藤村美穂子のフリッカとミヒャエル・クプファー=ラデツキーのヴォータンの三役が登場する第2幕が圧巻。ステージが360度以上(1回り以上に)回転してしまうことで、神々の世界と地上界とが寸断されてしまい、奥から現れたブリュンヒルデがジークムントとフィンディングの戦いの場に向かえない、といった装置演出は心憎い。
最後に、ジークムント役のカバーに入ったお二人の公演完遂にむけたリスク覚悟の献身に対して最大限の賛辞を贈ります。