あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2019年07月

2019730日 大阪新音フロイデ合唱団 2019年夏公演

 

フェスティバルホール

 

グリーグ       :組曲『ホルベアの時代から』作品40

モーツァルト         :レクイエム ニ短調 K626 バイヤー版

 

合唱      : 大阪新音フロイデ合唱団

 

指揮         : 三ツ橋敬子

管弦楽        : 大阪フィルハーモニー交響楽団

ソプラノ                  : 並河寿美

アルト                     : 福原寿美枝

テノール                 : 二塚直紀

バリトン                   : 三原剛

 

自身への忘備として実際に接した演奏会は、プロ・アマ、ジャンルを問わず、ブログ対象とすることにしているので(私のブログの決め事)、今回の演奏会についても、曲目と演奏者名を書き残しておかないといけない。

 

ちょうど2年前、ブルックナー“テ・デウム”聴きたさでS席を購入したものの、客席のほとんどは招待券か合唱団員のノルマチケットを譲りうけた人で、大阪フィルのやっつけ仕事も相まって、正直なところ “もういいや” と思ったもの。たとえば “金輪際、もう聴くことはない” と決め込んだ在阪の某プロオケについては、そもそもチケットを買わなければ済んでしまうのだけど、今回のように、たまたまお知り合いになった合唱団員のご厚意でいただいたチケット(S席のかなりの良席)の場合は、なかなかに悩ましいものですね。

 

ということで、この演奏会についてはここまで。

20190730_大阪新音フロイデ合唱団‗フェス


2019719日 大阪フィルハーモニー第530回定期演奏会 2日目

 

フェスティバルホール

11714

 

指揮            : ダン・エッティンガー

ピアノ          : 清水和音

 

リャードフ             : ポロネーズ 作品49

ラフマニノフ           : ピアノ協奏曲第1

  ―― アンコール  ショパン : ノクターン第5番 嬰へ長調OP15-2

チャイコフスキー       :交響曲第4

 

前日(718日)は日本センチュリー定期と大阪フィル定期初日とが今シーズンで唯一、がかぶってしまった。クラシック音楽を聴き始めるきっかけとなった“アルルの女”は聴き逃せないと、日本センチュリーと決めていたところ、なんとこの日に絶対に断れない会食がスケジュールされてしまった。やむなく日本センチュリーのチケットを知人に譲り、大阪フィル定期は事務局にリクエストして2日目に振り替えてもらった。

 

ラフマニノフのピアノ協奏曲1番は、所有のアシュケナージの全集で同時収録されている第3番とセットでたまに聴くことがあるくらい。やはり、2番、3番の2つの傑作に比べて、面白みにかなり欠ける。所謂“ラフマニノフ節″の片鱗をどこかに感じられないかと探るように聴いていたけど、残念ながら見つからず。熱演の清水和音には申し訳ないけど、聴いていて退屈な作品。

 

演奏される機会の多いオーケストラの名曲の中で、どうにも入り込めない、妙に引いてしまう2大作品が“展覧会の絵”と、この日あとプロのチャイコフスキーの4番交響曲。たとえベルリンフィルなりの演奏を聴く機会に恵まれたとしても、この2曲であれば大枚はたいて聴きたいとは正直おもわない。ダン・エッティンガーの音楽作りはとても新鮮で、例えば第1楽章第2主題、途中から一瞬のうちにギアアップしてその後の展開へのメリハリをつけるなど、とても魅力的で理にかなった解釈を聴かせてくれただけに、なおさらに、この作品に対するアンチ度を高めてしまう。大阪フィルが引き続き、好調を維持していたのがうれしい。

 
20190718_大阪フィル定期‗530回

2019717日 読売日本交響楽団 第23回大阪定期演奏会 

 

フェスティバルホール

2階 定期会員席

 

ラフマニノフ    :ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調

  ―― アンコール  シューベルト :楽興の時 第3

ホルスト        :組曲『惑星』

 

指揮            :井上道義

ピアノ          : ルカ・ドゥバルグ

女性合唱        :昭和音楽大学

 

ステージに現れた、ちょっと背中を丸めた神経質そうな風貌のルカ・ドゥバルグの姿を見て思い出した。3年前にサントリーホールでギドン・クレーメルとのデュオ・リサイタルで聴いている。その時の夜のガスパールの耽美な演奏はその日の最大の聴きものだったし、演奏会パンフレットに記載されたフランス人ピアニストの驚愕の経歴と、なによりクレーメルとのデュオでの繊細な演奏に感嘆したことを覚えている。だからというわけではないけど、ラフマニノフ2番の定番的演奏様式である、大きな体格のロシアピアニストによる重量級の演奏ではなく、なぜか気品に満ちたフレンチな雰囲気に満ちていた。特に2楽章はその美質にあった、知的で端正な美しい演奏だった。

 

ブラムウェル・トーヴェイの代役でバトンならぬタクトを受けたのが井上道義だったことは、私としては文句なし。コンチェルトでは、少々突っ込み気味のピアノを引きとどめるのではなく、それに応えるように破綻しないギリギリのところまでオーケストラをドライブさせる技量は見事なもの。終楽章カデンツァのあとオーケストラの第2主題のマエストーソ始まりでのティンパニの一打や、ソステヌートで朗々と歌う弦に対して厚み十分な音のホルンを際立たせるように吹かせるなど、壮麗な音楽作りは期待通り。

 

期待通りは"惑星"もしかりで、先日の佐渡裕指揮でただ巨大編成を楽しんだだけの4オケ・スペシャルとは、やはり次元が違う。どんな強奏の場面でも、すべてのセクション・パートが全く濁ることなくクリアに聞こえてくるし、音楽の運びもとても理にかなっている。このブログを始めた4年余りで〝惑星”は3度目だけど、木星中間部での歌いまわしに限り大植英次に軍配を上げるとして、全体を通じては井上道義の演奏が一番。

 

20190717 読響大阪定期1

20190717 読響大阪定期

2019712日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第303回定期演奏会

 

大阪ザ・シンフォニーホール

3LLC5

 

メンデルスゾーン :オラトリオ『エリア』作品70

 

指揮            : 飯守 泰次郎

ソプラノ        : 石橋 栄実

あると          : 福原 寿美枝

テノール        : 畑 儀文

ソプラノ        : 田中 めぐみ

アルト          : 村井 優美

テノール        : 総毛 創

バス            : 武久 竜也

合唱            : 関西フィルハーモニー合唱団

 

いつものごとく、この週末は復習を兼ねて唯一の手持ちCDであるフリューベック・ブルゴス盤(EMI1968年録音盤)を3回連続で聴いて、さらにYouTubeにアップされた複数の音源をながら聴き。とうとう“エリア”に完全にはまってしまった。途中休憩でお会いした友人が、“やっぱり冒頭の合唱(第一曲)はドイツ語Hilf, Herrよりも英語でHelp Lordと歌われたほうが迫力がありますね”とおっしゃってたけど(その時、えっ?英語テキストって誰かの翻訳版ですか?などと、今思えば頓珍漢なことを言ってしまった)、英語テキストで歌われたブルゴス盤を聴くと確かにHelp Lordのほうが、インパクトが強烈。さらにいえば、英語テキストは聴いていても何となく意味が取れる箇所が多いので、確かに聴きなじみ易い。

 

こうして週末(連休3日間)に総じて6回ほど“エリア”を聴き通した後、改めて飯守泰次郎・関西フィルの演奏を思い返すと、“実演に勝るものなし”と思いつつも…≪汗≫…というところ。如何せん、ブルゴス盤は歌手陣がゴージャスすぎる。いずれにせよ、CD20年も前に購入しながら、いつか聴くだろ…と未開封で埃をかぶったままだったのだから、やはりこうした実演の機会を得られたのが何よりありがたい。4年前の“聖パウロ”に続き大曲に挑戦した関西フィルと合唱団に喝采を送りたい。

 

関西フィルは日本人近代作曲家3名の作品で定期プログラムを組んだり(先月第302回)、秋にはハチャトゥリアンの“鐘”をラインナップしたりと、在阪プロオケでも、なかなかに尖がっている。

 

 20190712_関西フィル

201975日 エリアフ・インバル ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 三重文化会館

 

三重文化会館大ホール

1階189

 

エリアフ・インバル指揮

ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団

ピアノ : アリス=紗良・オット

 

モーツァルト    : ピアノ協奏曲第21番 ハ長調

  ―― アンコール    ショパン ワルツ 第19番イ短調 

マーラー        : 交響曲第5番 嬰ハ短調

 

指揮者とオーケストラの良好な関係はその演奏に現れるものらしい。先週のザンデルリンクとドレスデン・フィルに続いて、インバルとベルリン・コンツェルトハウス管の成熟した関係が導く成果物としてのマーラー演奏を聴いて、あらためてその思いを強くした。インバルの実演をさほど聴いてきたわけではないけど、それでも幾度となく録音で聴いてきた彼のマーラーとは、やはりだいぶ違う。ディテールに徹底的にこだわりながらも極度なディナーミクやこけおどしといった虚飾がない。全曲を通して、インバルの棒にオーケストラが見事に応えている。比較的普通に感じたのは第1楽章のみ。その後は、とにかく関心したり、おおっそうくるかとニヤッとしたり、ハッとさせられたり。実に聴きごたえがあった。

 

初めて訪れた三重文化会館大ホールはシューボックス型でありながら、キャパが1,900人と大きく、天井を高くしすぎたためか意外に響きが薄い。座った平土間1階のほぼ中央列の席では低域から高域までフラットにきこえるものの、ステージから音が飛んでこない。モーツァルトのPコンを聴くには器が大きすぎる。マーラーも、さすがに芸文コベルコホールにようにステージ上の空間で鳴っている音を求めて意識して聴きにいくようなことも、京都コンサートホールのように頭上から後方に音の塊りが消えていくようなことはないにしても、フルオーケストラの大音響に身を浸す快感は得られなかった。

 


インバル_ベルリンコンツェルトハウス管_20190705
 

201974日 アンドレイ・ガヴリーロフ ピアノリサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

2AA15

 

ピアノ  : アンドレイ・ガヴリーロフ

 

シューマン              :蝶々 OP.2

シューマン             :交響的練習曲 OP.13

ムソルグスキー         :組曲『展覧会の絵』

 

―アンコール       ショパン      :ノクターン第4番 OP15-1

                   プロコフィエフ  :四つの小品 OP4 より“悪魔的暗示”

 

アンドレイ・ガヴリーロフは半世紀も前にチャイコフスキー国際コンクールを若干18歳で優勝したらしい。それ以降のキャリアは詳しくは知らないし、まったくもって興味もわかない。少なくともフェニックスホールで聴いた演奏は、あまりにも粗暴で品のない暴演(爆演ではない)。このピアニストの演奏をもう二度と聴きたいとは思わない。

 

第一曲目“蝶々”を聴いていて感じた強烈な違和感(変わった節回しや、一部の声部を強調させた不思議な響き)も、このピアノストの持つ個性だろうと肯定的に捉えていた。ところが交響的練習曲での“ピアノをぶっ壊そうとしているのではないか”とすら思えてしまうような破壊的な打鍵(エチュード第10番の最後など、信じられないことにスタンウェイを数センチも前に突き押してしまう)に唖然としながらも、演奏自体は荒っぽくむちゃくちゃだし、ペタルを踏みっぱなしのために音は濁りまくりで、大いに首を傾げてしまった。

 

ジャズアレンジでもしだしたのかと思わせるようなプロムナードで始まった“展覧会の絵"に至っては、ただ見世物として面白いだけで音楽的には完全に破綻してしまっている。“このピアニスト(かつては知らず)恐らく楽譜に忠実な演奏は(もはや)できないにちがいない…。”“彼の弾くバッハもショパンも、絶対に聴きたくはない。”と思いながら、悲しく不愉快な気分にさせられた演奏をどうにか聴き終えたところで、アンコールはなんとショパン、それもよりによって大好きなノクターン4番を弾きだした。あのショパン演奏は私の美学には全くそぐわない。

 

それでも終演後は多くのスタンディングオベーションが送られ、本人もご満悦でピースサインをしてステージを降りて行ったのだから、私の感性が他とは少し違うのだろう。

 
アンドレイ ガヴリーロフ_20190704

2019628日 ミヒャエル・ザンデルリンク ドレスデン・フィルハーモニー ザ・シンフォニーホール

 

ザ・シンフォニーホール

1階O4

 

シューベルト    :交響曲第7番 ロ短調“未完成”

ベートーベン    :交響曲第5番 ハ短調“運命”

ドヴォルザーク  :交響曲第9番 ホ短調“新世界より”

  ――アンコール     ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1集第8

 

G20大阪サミットにともなう交通規制による思わぬ余波を被って週末大阪滞在としたことで、前日の福井敬リサイタルとともに聴きにいくことにした演奏会。日曜日のマチネ、未完成・運命・新世界よりの表題付き交響曲、ドイツのオーケストラ、そして比較的リーズナブルなチケット価格ということで、ホールは家族連れも多くみられほぼ満席。

 

ミヒャエル・ザンデルリンクとドレスデン・フィルハーモニーは、2年前の来日公演時も諸事情により東京芸術劇場で聴く機会を得たことを思えば、ちょっとした縁があるかもしれない。ただ、そのときのブログ記事を読み返しても、いつもながらにたいしたことも書いてなくて、どんな演奏だったか思い出せない。特段に惹きつけられた演奏でなかったみたい。

 

というわけで、あまり期待をしていなかった今回のコンサート、3曲ともルーティンワークなどではない、8年間にわたって首席指揮者を務めてきたミヒャエル・ザンデルリンクとこのオーケストラのとの関係性の良さが成熟した形で見事に演奏表現として発揮された、なかなかに聴きごたえのある演奏会だった。前半のシューベルトとベートーベンは、Vn両翼配置で指揮者は指揮棒なしの手振り、休憩後のドヴォルザークでは弦の配置を現代式に変えてタクトを持っての指揮。乾坤一撃のごとくの一発振り下ろしで“運命”の出だしを決めてしまうのなど、さすがの一言。

 

一曲目“未完成”が演奏解釈の際立ちとしては、一番の聴きものだった。アタッカで連続して演奏された第2楽章での木管群や弦の響きはまさに旧東ドイツからの伝統の響きなのだろう。一方で、後半ドヴォルザークで金管がかなり奔放に吹きならすので弦や木管群の響きとのミスマッチが気になったのと、ティンパニの音が時に大きくズレたり(頻繁なマレットの持ち替え作業に一所懸命すぎか?)だったのが残念。

ドレスデンフィル_20190630

2019627日 福井敬 スペシャルリサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階A6

 

福井 敬

 

 =スペシャルゲスト

清水華澄  メゾ・ソプラノ

高橋宏奈  ソプラノ

 

谷池重紬子 ピアノ

 

1

セレナーデ      福井敬          リヒャルト・シュトラウス      

愛を抱いて       福井敬            ≎同上≎

万霊節                清水華澄          ≎同上≎

献呈                  清水華澄          ≎同上≎

 

ほおずき              福井敬          三善晃/荻原                   

悲しくなったときは    福井敬          大中恩/寺山修司

悲しくなったときは  清水華澄        中田喜直/寺山修司

歌をください      清水華澄        中田喜直/渡辺達生

 

2 

ビゼー 歌劇『カルメン』より  

 

1

ハバネラ〝恋は野の鳥”         清水華澄(カルメン)

母の便りを                     高橋宏奈(ミカエラ)、福井敬(ドン・ホセ)

行きましょうセギディーリャへ   清水華澄、福井敬

2

酒場で~〝花の歌”             清水華澄、福井敬

3

何を恐れることがありましょう   高橋宏奈

4

闘牛場の前で                   清水華澄、福井敬

 

 ――アンコール 

                からまつ        福井敬

                乾杯の歌        福井敬、清水華澄、高橋宏奈

 

福井敬氏承認の非営利ファンサイト 福井敬. net主催のスペシャル・リサイタル。第5回目の今回は日本を代表するメゾ・ソプラノ清水華澄さんと若手ソプラノ高橋宏奈さんを呼んで、前半にリート、後半にカルメン抜粋という贅沢なプログラム。この団体のお世話役のお1人で日ごろお世話になっている知人ご厚意で、なんと最前列かぶりつきの席で聴かせていただいた。

 

前半リートでの細やかな息づかいと技巧の何たるすばらしさ。特に日本語の歌を聴くと、言葉の一つひとつをいかに丁寧に扱っているかがはっきりと感じ取れる。寺山修司の〝悲しくなったときは”を、二人の作曲家がそれぞれ歌にしたものを福井敬さんと清水華澄さんとで続けて歌うという、凝った選曲もすばらしい。

 

2部カルメン抜粋では、福井敬さんがデュトワ・大阪フィル〝サロメ”でヘロデを歌っていた、その同じ時間に東京での二期会〝サロメ”で清水華澄さんがヘロディアスを歌っていた、その二人が目の前で歌い演じるカルメンとドン・ホセをわずか1メートルほどの至近で観るという、これまたなんとも贅沢の極み。日本を代表するテノールとカルメンがはまり役のメゾ・ソプラノなのだから、魅せられないわけがない。それにしてもお二人とも何たる声量だこと。華麗なミカエラの高橋宏奈さんも加わり、とにかく魅力満載のリサイタルだった。

 

終演後、福井敬さん、清水華澄さん、高橋宏奈さんも参加してのオフ会で、楽しいひと時を過ごした。

 

福井敬_リサイタル_20190629

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