あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2019年04月

2019年4月22日 松浦奈々 ベートーベン ヴァイオリンソナタ全曲ツィクルス 第2回 

 

ザ・フェニックスホール

1階C

 

ヴァイオリン           :松浦 奈々

ピアノ                 :須関 裕子

 

ベートーベン          ヴァイオリンソナタ第6番 イ長調

                       ヴァイオリンソナタ第7番 ハ短調

                       ヴァイオリンソナタ第8番 ト長調             

  ―  アンコール            ロマンス第2番 へ長調

 

日本センチュリー交響楽団のコンサートミストレス、松浦奈々のヴァイオリンソナタ全曲ツィクルス第2回目。ほぼ完売だった前回に比べ、今回は6割ほどの入り。ベートーベンの作品といえば日ごろコンサートでよく聞く九つの交響曲と五つのピアノ(あとヴァイオリンも…か)協奏曲くらいで、その他の作品はまず積極的に聴くことがない。こうしてヴァイオリンソナタ全曲を順に聴き通していける機会はなかなかありがたいもの。

 

松浦奈々のヴァイオリンはとても中庸で、特段に美音であったり個性的な音色ではなく、またダイナミズムや技巧的といったソロ・ヴァイオリニストのような強い個性を発散させることがない。大概、オーケストラのコンマスによるソロリサイタルを聴くとき、ここぞとばかりにヴァイオリニストとしての個性を猛烈に主張してくるものだけど、松浦奈々に関しては、前回の第1回、そして今回とほとんど感じさせない。勿論、それは好悪でなないのだけど、少なくとも演奏を聴いていて〝疲れる”ことはない。

 

日本センチュリーの定期会員として、是非応援したい気持ちも兼ねてツィクルス全3回を聴く予定。果して傑作"クロイツェル・ソナタ”の演奏はどうなのだろうか。前回、今回と通じて、共通に感じるところがあるけど、それは最終第3回の演奏を聴いてからにしようと思う。

 
松浦奈々_バッハ無伴奏_20190204

2019421日 大野和士 東京都交響楽団 大阪特別講演 フェスティバルホール

 

フェスティバルホール

2階118

 

指揮                    :大野 和士

ピアノ                 :ニコライ・ルガンスキー

オーケストラ            :東京都交響楽団

 

グリーグ               :ピアノ協奏曲 イ短調

  アンコール  メンデルスゾーン :無言歌集より“失われた幻影” OP67-2

ベルリオーズ           :幻想交響曲

 

昨日の4オケ・スペシャルを聴いた場所から、右に3つ横に移動した席。昨日のアルプスシンフォニーでの518型オケの豪勢な、でも少々一本調子の演奏に痺れた耳には、東京都交響楽団の厚みのあるまとまった音と表現力の豊かさはとても新鮮。

都響、やっぱ上手いわ。国内のプロ・オーケストラのランキング記事がよく音楽雑誌でなど特集されていて、やれどこが一番だの、あのオケは近年メキメキとランクを上げてきた…など、いったい誰がどんな基準で順次付けしてるんだろうと思う。NHK交響楽団など、間違いなく日本最高レベルなのだろうけど、まともなホールで聴いたことがないから、その実力を感じたことがない。そういえば、年3回の読響大阪定期の席もおおよそ同じあたり。やはりこうして音響の良いホールで、可能な限り同じ席位置で聴くことで、その実力を感じられる。

 

幻想交響曲は第2楽章"舞踏会”のコルネットオブリガード付き。Tp.の一番奏者がコルネット(Cr)に持ち替えて、フルートの隣に席を移動して演奏。終楽章をゴージャスに締めくくってお開き。

 
都響_フェスティバルホール_20190421

2019420日 4オケ・スペシャル ~佐渡裕&4楽団合同オーケストラ~  『大阪4大オーケストラの饗宴』特別企画

 

フェスティバルホール

2階1列15番

 

指揮                    :佐渡 裕

オーケストラ            4楽団合同オーケストラ

                          大阪交響楽団

                          大阪フィルハーモニー管弦楽団

                          関西フィルハーモニー管弦楽団

                          日本センチュリー交響楽団

 

ホルスト               :組曲『惑星』

                         コンサートマスター 森下幸路

R・シュトラウス       :アルプス交響曲

                         コンサートマスター 田野倉雅秋

                         

プレイベンド

團伊玖磨        :大阪国際フェスティバルホール開幕式のためのファンファーレ

                  ブラス・アンサンブル

サン=サーンス  :死の舞踏(エドガー・ガーティン編)

                  森下幸路、岩谷祐之、林七奈、須山鴨大

 

4年前の第一回を聴いた以降プログラミングに魅力がなくなったこともあり、まったく興味を引かれなくなったこの大阪らしいイベントも、今年は聴き逃せない。例年この週末明けから長期出張が入るので、出張準備のための週末大阪滞在を見越して、発売早々にチケットを購入していた。フェスティバルホール2階最前列で聴く巨大オーケストラは壮観で、音圧も物凄く、演奏を十分に楽しんだ。アルプスシンフォニーの “頂上にて”直前の1番トランペットの跳躍音型や、"終末”のオルガンコーラルに重なる1番ホルン(さすが大阪フィルの高橋将純)など、金管の超難所もすべて見事に決まり、痛快な限り。

 

エンディングにしたがってホール後方に尾を引くように消えていく海王星の合唱は、てっきりPAを使っていると思って聴いていた。舞台袖ではなく客席後方のロビーで歌い、ドアの開け閉めのタイミングを調整して効果を高めたのだそうだ。お見事! 一方で、アルプスシンフォニーでバンダをステージ袖に登場させて吹かせたのは、残念。これは指定通り舞台袖から聞こえてほしい。

 

惑星もアルプスシンフォニーも弦18型。どうせなら惑星は16型でよいからアルプスシンフォニーを20型、いやいや22型でやってほしかった。18型までなら東京でも時々あるけど、さすがに22型(2220181614)となるとサントリーホールでは無理で、体育館のようなNHKホールでしかできない。“他では絶対に聴けない・大阪だからこそ”のイベントとなり、クラシック音楽文化の中心東京に向けたインパクトも強烈だっただろうのに、実にもったいないこと。実際、すでに弦は人数合わせでエキストラを加えて18型を二つ編成しているのだし、フェスティバルホールはフル編成110人でもまだまだ余裕の舞台スペース。

 

4つのオーケストラと適度な距離感を持ち、両曲が振れて、かつチケット販売につながる指揮者は佐渡裕くらいか。残念ながら佐渡裕の指揮は惑星もアルプスシンフォニーも写術性に乏しくつまらなかった。やはりこのようなスペクタクル曲なら大植英次だな、と面白みもなく進んでいく音楽を聴きながら思っていた。佐渡裕は3日後(23日火曜日)に、トヨタ・マスター・プレイヤーズ・ウィーンのメンバーと名古屋フィルの合同演奏(愛知芸術劇場)で同じアルプスシンフォニーを振るらしい。そういえば、今日、体調不良で当初予定の新井英治から急遽コンサートマスターを請け負った田野倉雅秋が終演後すぐにステージを降りたのも、名古屋にとんぼ返りしたからだろうか。

 
4オケスペシャル_20190420

20194月19日 トヨタ・マスター・プレーヤーズ・ウィーン・プレミアム・コンサート

 

大阪ザ・シンフォニーホール

120

 

トヨタ・マスター・プレーヤーズ・ウィーン

クラリネット    :グラルド・パッヒンガー

ヴィオラ        :エルマー・ランダラー

 

シューベルト                    :交響曲第5番 変ロ長調D485

ブルッフ                        :クラリネットとヴィオラのための協奏曲 ホ短調

=休憩

ヨハン・シュトラウスⅡ          :オペレッタ『ヴェネツィアの一夜』序曲

ランナー                        :ワルツ『ロマンティックな人々』

ヨーゼフ・シュトラウス          :ポルカ・マズルカ『遠方から』

ヨハン・シュトラウスⅡ          :宝石のワルツ

ヨハン・シュトラウスⅡ          :ポルカ・シュネル『急行列車』

ヨハン・シュトラウスⅡ          :入江のワルツ

  - アンコール

エドゥアルト・シュトラウスⅠ    :ポルカ・シュネル『テープは切られた』

ヨーゼフ・シュトラウス          :ポルカ・シュネル『短いことづて』

 

今年のトヨタ・マスター・プレーヤーズ・ウィーンは、後プロが本場のポルカとワルツ。しかも大好きな『ヴェネツィアの一夜』の序曲と“入江のワルツ”が聴ける、なんとも魅力的なプログラム。これはもう、期待しないわけにはいかない。席は、コンマスのフォルクハルト・シュトイデやドリアン・ジョジなどなど、珠玉の面々を間近にすることができるステージ前のC20番を選択。

 

演奏は、もちろんのこと最高の一言。奏者全員、シュトイデが弾きだすのを聞いて、ほんの一瞬後に音を出すその絶妙な間の見事さ、ワルツのリズムを刻むセカンド・ヴァイオリンやヴィオラ奏者のなんとも楽し気な様子、ブルッフでのソリストの息づかいなど、C20番は正解だった。アンコールの後、ステージ前に全員が一列に並んだ時、ウィンナ・ホルンを小脇に抱えたロナルド・ヤネツェックを見て、ミーハー的に感激してしまった。

 

トヨタマスターズプレーヤー_20190419



2019412日 大阪フィルハーモニー第527回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

定期会員席

 

指揮            : 尾高 忠明

 

藤倉 大        :レア・グラヴィティ

マーラー        :交響曲第9番 ニ長調

 

この日のマーラー演奏をどのように書き残そうかと、あれやこれやと適当な言葉を探しているうちに、気がつけば演奏会から一週間が経過してしまった。文筆家なら達意な言葉で語れることだろうし、音楽評論家であれば耳ざわりの良い提灯記事で行を埋めることもあるだろうけど、私には意味ないこと。真に感動した演奏であればあるほど、詳細を文字に置き換えて記録に残すことなどできやしない、と改めて思い知らされた。それでも、あえてこの日の演奏を記憶に刻むために思いついた言葉は“一期一会”。そう、この言葉が最も相応しい。

 

バーンスタインなみに尾高忠明が飛び上がり、オーケストラがそれに呼応するかのように猛烈なPrestoに突入した第3楽章。そして、ほんの一息の間をおいてのヴァイオリンG線の慟哭。終楽章冒頭2小節の壮絶なまでの最強奏があって故の、息絶えるかのような終結。1週間経った今でも、本当に心が震える。

 

前プロも記しておかなきゃ。元来、現代音楽はからっきしで、何が良いんだかさっぱりわからない。不快な響きをひたすら聞かされたり、精々、過去に観たSFファンタジー映画で耳にしたようなサウンドだったり。ところが藤倉大の作品は、今まで聴いたことのない不思議な音楽だった、そして実に面白い曲だった。これならまた是非聴いてみたい。

 

終演後、マーレリアンの知人とホワイエで顔を合わせた際、開口一番に“明日2日目を聴きにこられないのが残念”と語ったところ、“今日で十分、あえて明日を聴かないでいたほうが良い”と返された。確かにおっしゃる通り。この日の演奏は、まさに一期一会。

 

さてと、仕事も一区切りだし、クラシック音楽バーにいくとしましょ。


大阪フィル_527回定期

 

 

2019411日 日本センチュリー交響楽団 第234回定期

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1階定期会員席

 

指揮          :飯森 範親

 

ワーグナー      : 交響曲 ホ長調 第1楽章

ブルックナー    : 交響曲第9番 ニ短調 コールス改訂版

 

平日の演奏会の後は、大概オフィスに戻ってやり残しの仕事を片付けるか、将又、西成のクラシック音楽バーに直行するかなので、演奏会の当日にブログ記事を書きとめることはまずしない(できない)。時間の経過とともに演奏の詳細が記憶から徐々に薄れていくのと引き換えに、演奏に対する自分なりの捉え方が整理されていくもので、大概はそれで良いのだけど、その翌日に強烈な音楽的体験をしてしまうと少々困った事になる。

 

昨年11月の日本センチュリー230回定期が良い例で、翌日の土曜日に封切り早々のボヘミアン・ラプソディーを観たおかげで、記憶に留めておいた演奏の印象が完全に吹っ飛んでしまった。同じように翌日の尾高忠明・大阪フィルのマーラー9番のあまりに鮮烈な演奏を聴いてしまった今、前日の日本センチュリーの内容を振り返られないでいる。このブログ記事を書くにあたり当日の演奏を辿りあれこれと思い出すことにより、マーラー9番の奇跡的な演奏の記憶の詳細をかき消してしまうのではないか、と心配でたまらない。

 

ブルックナーは “完全” には至らないものの、なかなかの秀演。終楽章の最後の最後、ワーグナー・チューバがバテてしまったのが残念。得心がいかないのはプログラミング。ブルックナーの前にワーグナー未完のホ長調交響曲の第1楽章を、休憩を挟まずに連続して演奏する意図は何なんだろう? 唯一完全な形で残された第1楽章はもっとハツラツと軽快であってほしいのに、重くシンフォニックに演奏をしてしまってまで、ブルックナーの9番につなげる必然が私には感じられない。せっかくなら断章となった4分半ほどの2楽章アダージオ・カンタービレまで演奏したうえで休憩を挟み、気持ちを切り替えてからブルックナー9番を聴かせてほしかった。

 

コールス改定は、通常耳にする版と、どのような違いがあるあるのだろう。第1楽章第2主題提示直前の和音やら、第2楽章中間部での木管のパッセージなど、おやっと思ったところなど…おっと、ここまで。これ以上続けると、昨日のマーラー9番の記憶が忘却の彼方に…。



 日本センチュリー‗定期‗20190411

2019331日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第299回定期演奏会

 

大阪ザ・シンフォニーホール

2LE1

 

モーツァルト    :ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調K.219“トルコ風”

   ―アンコール プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ アンダンテと変奏曲

ブルックナー    :交響曲第9 ニ短調〈ノヴァーク版〉

 

指揮            :飯守 泰次郎

ヴァイオリン    :ヴェロニカ・エーベルレ

 

私にとってブルックナー晩年の8番と9番は特別な作品。40年以上もの長きに渡って大事に聴き続けていると、演奏に対して“こうあるべき”ものが存在していて、指揮者には“作為の無い”音楽を求めるし、オーケストラ演奏は "完全” (演奏キズの無い "完璧な"ではない) でないといけない。8番の終楽章コーダで無用なアッチェレランドなどしようものなら、それまでどんなに感動的な演奏であってもその一瞬で醒めてしまうし、未完の9番はどんな熱演も、けっして名演にはなり得ない。この2曲に関しては、私はとても頑迷でメンドクサイのです。

 

飯守泰次郎ブルックナー・ティクルス最終回としての人気はかなりのようで、チケットは当日券(補助席?)も含めて完売。ヴェロニカ・エーベルレ好演のコンチェルトが終わったあとのホワイエは、メイン曲への期待感と高揚感が入り混じったような独特な雰囲気に満ちていた。

 

シンフォニーの演奏開始からしばらくしは、そうした"期待感と高揚感”を共有できていたものの、それも第1楽章の始まりとともに少しずつ薄くなってしまい、弦がフォルティシモのトゥッティで階段を踏みしめるように上がるところ(練習番号Lの直前)あたりで完全に萎んでしまった。コンサート・サブタイトルは"彼岸の美”だけど…う~ん、それはないな。

 

関西フィル‗299回‗20190331

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