あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2018年08月

~ ブログ4年目を迎えて ~

拙ブログ “あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日誌” にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。

 

実のところ、ブログタイトルは3年前にあれこれ思い悩んで決めたものの、いささか長ったらしい・・・・と、気恥ずかしく感じています。タイトルの中に“ほぼ”の文字を加えたのは、“大阪に限らず・・・” ではなく、“クラシック音楽に限らず” の意味を込めたつもりです。“音楽ならジャンルを問わず何でも聴くもんね”、“クラシックしか聴かない偏狭クラオタじゃないのよ” などと心のなかで声を上げながらも、ブログ3年間の記事を振り返ってみると、クラシック音楽以外では レ・ミゼラブルとビッグバンド・ジャズ(ザ・シンフォニーホール・ビックバンド)のみ。学生時代から10年ほど嗜んできた尺八や三曲(お琴、三味線、尺八)演奏会に足を向けることも無く(それでも、毎月最終日曜の夜の “古典芸能への招待” は、欠かせない)、大阪が誇る無形文化遺産である人形浄瑠璃文楽はまだ一度も観に行っていない。う~いかん!大いに反省。今シーズンは、かならず文楽を観なきゃ。

 

さて、昨年の “ブログ3年目を迎えて” でも記しましたが、改めてこのブログに関しての私なりの決め事をお伝えさせていただきます。

 

  • 演奏会は、プロ・アマ、ジャンルを問わず、ブログ対象とすること。

ただし実際に接した演奏会の記録に限定して、たとえばCDDVDBlu-ray等メディアの感想や、音楽に関係した諸事・意見は極力記さない。

 

  • 演奏者ならびに曲目の紹介・説明は記さない。

このIT社会、どんなに珍しい作品であってもその気になればインターネットを通じて誰でも入手できる。まして演奏者のプロフィールなら、ググればいつでも手に入る。

 

  • ホールのどのあたりで聴いたか、席位置についても可能な範囲で記録する。

昨年の日本経済新聞日曜版にサントリーホール設計者、永田音響設計豊田泰久氏の言葉 『ベストの席はありません、すばらしい席はあります。どんなレパートリーが、誰によって演奏されるか。さらには耳を傾ける人の好みが反映されて、その時々に最上の席が生まれる』が紹介されていました。まったくの同感です。私にとって、どの席でその演奏を聴いたのかを記録しておくことは、大変意味のあることです。

 

そして、今年さらにもう一つ

 

  • 作曲者・演奏者の名前は省略しないで記す。

ショスタコーヴィチなど、さすがに言いづらいので、会話で “ショスタコ” と略すのは致し方なしとして、ブルックナーを “ブル”、ドヴォルザークを “ドボ” となると、さすがに度が過ぎるというか、学生オケのメンバーが仲間内でクラオタ談義をしているみたいで、どうにも好きにはなれない。世間一般の感覚からみると、そもそもクラオタの会話なんてスノッブ臭プンプンだろうし、ましてや電車の中で『マラ6が好きで』なんて会話を耳にしたら、普通の人なら変態オヤジのエロ話と勘違いされそう。文学ファンが太宰治を “ダザイ” と言うことはあれ、ドストエフスキーを“ドスト” などと言わないだろうし、美大の学生がミケランジェロを “ミケラ” などと言ったりはしないでしょう(きっと)。

 

ということで、これからも “気まま” にブログを続けていきたいと思います。今後とも、“あーと屋のほぼ大阪クラシック気まま日誌” を、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

あーと屋

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201889日 ウエスト・サイド物語 佐渡裕指揮シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

 

バーンスタイン生誕100周年記念

佐渡裕指揮 ウエスト・サイド物語

シネマティック・フルオーケストラ・コンサート

 

フェスティバル・ホール

3階123

 

指揮: 佐渡 裕

東京フィルハーモニー交響楽団

 

昨今、新旧の様々な映像作品のシネマコンサートが話題だけど、恐らく2012年の『ウエスト・サイド物語』が口火を切ったのではないのだろうか。前回は大阪会場がオリックス劇場だったこともあり、まったくのスルーだった(東京は、今回と同じ東京国際フォーラム)。今回はフェスティバル・ホールを会場としていること、そしてなによりスクリーンにあわせてフルオーケストラが演奏する“シネマコンサート”なるコンテンツに対する興味が日増しに大きくなっていることもあり、大変楽しみにしていた。当然、選択した席はフルオーケストラを聴くにはベストの席、3階最前列席。ホール音響を楽しむのであれば、もう一つの選択肢として2階の左右バルコニー席があるけど、シネマコンサートに限ってはスクリーンを斜め45度から観る羽目になってしまう。

 

さて、あえて “シネマティック・フルオーケストラ・コンサート”と名乗ったこの公演、どう捕らえようか? この度、巨大スクリーンを通して鑑賞して、改めてミュージカル映画の最高傑作のひとつだと思わずにはいられない。オーケストラによる“序曲”のあと、マンハッタン空撮から始まりウエスト・サイドに暮らす人々の日常、そしてジェット団とシャーク団の対立構造までをダンスとともに見事に描ききった“プロローグ”で、完全に作品の魅力に捉われてしまった。完璧を追求するあまり途中解雇されたジェローム・ロビンズが監督した、そのプロローグでの凝りに凝った撮影時の逸話が、パンプレット内“画面に炸裂する渾身のダンス”の項に詳しく記されている。--因みに、この価格1,000円のパンフレットは非常に読み応えがある。買って良かった。

 

では、売物のフルオーケストラ・コンサートとしてはどうか、と言うと残念ながら、“あ~、こんなもんかぁ” といったところ。弦143管にハープや打楽器奏者6名(たしか)、さらにサックス3本とドラムス、エレキギターまで加えた巨大編成でありながら、とにかく音が飛んでこない。あえてオーケストラを聴くにはベストな3階席最前列に席を取ったのに、こんなにオーケストラの音を貧弱に感じたのは始めて。横に長いステージ背景として置かれた黒い布が音を吸収したこともマイナスだろうし、そもそも演奏自体も縦の線を合わせることのみを求められているわけで、特段に熱気をおびた演奏には聞こえない。昨今のPAが充実したシネコンで映画を観るときのような臨場感にはほど遠い。オーケストラの音量に映画のPAを合わせる必要もあったはず。もしオリジナル音声でシネマ上映をするのであれば、もっとPA音量を上げることも出来ただろう。そういえば、ばんばパークスで観るメット・ライブビューイングなど、実際の歌劇場ではありえないような大音量で、臨場感抜群だ。

 

勿論、映像とのシンクロは見事なもの。例えば、ドクの店でマリアの懇願を請けてやって来たアニタとジェット団との “あざけりのシーン” での音楽など、シーン冒頭のBGMのように流れるジャズバンドのサウンド・トラックからオーケストラの生演奏に切り替わっていくところなど、見事なほどに完璧だっただけに、あえてオーケストラの生演奏を聴く意味を考えてしまう。“生演奏” に勝るものなないだろうって?勿論、おっしゃるとおり。でも聞こえてくる生音が、オーケストラを聴くときの圧倒的な音圧、響きといった迫力を伴っていなかったら、“オリジナルサウンドでいいんじゃないの?” と思ってしまう。ましてや、再現芸術をもって評価されることを生業としているプロ奏者が、毎度定められたテンポや音量を厳格に維持しなければならない作業をわざわざ…とまで思ってしまう。東京は、フェスティバル ホールの2,800人より、さらに大きいキャパ5,000人の東京国際フォーラムでの公演だったらしい。どうだったのだろう。

 

いずれにせよ、名作『ウエスト・サイド物語』を大いに楽しんだのは、間違いない。でも、シネマコンサートなるコンテンツ、今回の経験で十分。

 

 
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201881日 ゲルギエフ指揮・PMFオーケストラ東京公演

 

サントリーホール

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指揮            : ワレリー・ゲルギエフ

フルート        : デニス・ブリアコフ

PMFオーケストラ

 

ヴェルディ      :オペラ『シチリアの夕べの祈り』序曲

バーンスタイン  :ハリル

マーラー        :交響曲第7番 ホ短調

 

マーラー7番の演奏スピードのなんとも速いこと。15分の休憩の後、演奏が始まったのが8時ちょっと前だったので、“終演は920分過ぎかぁ”と思って覚悟して聴き始めると(翌日は早朝625分羽田発の便で大阪戻り)、どの楽章もサクサクと進んでいき、終楽章が終わったのは9時を僅かに回ったくらい。 “わっ、こりゃ早いわ!”と、実際に腕時計で時間をチェックした第3、第4、第5はそれぞれ9分、10分、14分ほど。勿論、前の二つの楽章もかなりの快速だった。どうだろう、正味67分くらいの演奏だったろうか? もともと構成などあえて意識せず、少々支離滅裂気味に現れる楽想の一つ一つを楽しむ作品なのに、特に中間の三つの楽章など、このテンポでは曲の面白みが感じられない、と感じたのは私だけだろうか。それでも“超”がつくほどの快速で駆け抜けた終楽章は、その疾走感が快感を呼んだのも事実。

 

クラシック・ファンとしてパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)は、発足当時から現在に至る経緯についてある程度の知識はあるものの、関西にいると例えばオーケストラ東京公演のチラシなどを目にすることもなく、ほとんど意識の外にある。今回の演奏会もこの夏枯れ状態のシーズン・オフの最中、東京出張にあわせて聴きにいける演奏会がないか探したところ、音楽友乃社WEBコンサート・ガイドで偶然に見つけ、一週間前にチケットを購入したもの。

 

そんな急遽決めたコンサートなので、~ゲルギエフ・マーラーを振る~とのコンサートサブタイトルとともに、マーラーの7番が演奏されることのみで、他にも演奏曲があるかなどまったく意識しておらず、ホール入場時に受け取るコンサートプログラムを見るまで知らなかった。プログラムには、ヴェルディの序曲が載っていないのは何故だろう。聴かず嫌いのヴェルディなので、演奏を聴いても曲名が分からない、ホールのホワイエにも演奏曲目の掲示もない。後になって、サントリー・ホールのホームページで『シチリアの夕べの祈り』序曲だと確認できた。
=追記訂正 プログラムの差込チラシに曲目紹介がちゃんとありました。==


20180801PMFオーケストラ_東京公演_

PMFオーケストラ_東京公演1_20180801

PMFオーケストラ_東京公演2_20180801

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