あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2018年03月

2018322日 ザ・シンフォニーホール =これぞカスタマーファースト= 

大阪フィル70周年 X ザ・シンフォニーホール35周年 特別コンサートにて

 

演奏会の記録は別ブログ記事として、以下は私が体験したザ・シンフォニーホールのすばらしき顧客対応についてです。

 

時間ぎりぎりにオフィスを出てザ・シンフォニーホールにたどり着いたのは、いつもながらの開演5分前。ところがチケットを入れているはずの長財布をまさぐっても“チケットが無い”。何度探しても“無い”。どうやら直前の東京出張もあり、平日住まいの大阪の自宅部屋に置き忘れたようだ。“チケットを忘れてきたようです”と自分のドジ加減を自嘲気味に告げたところ、受付担当の男性が、直ぐ横のチケットカウンターに私を連れて行った。

 

“どうやら、チケットを持ってくるのを忘れてしまったようです”(私)

“席はどのあたりだったか覚えていらっしゃいますか?”(カウンターの女性)

“たぶん、このあたり(座席表のいつもの平土間中央あたりを漠然と示した)”

“お名前は?”(カウンターの女性)

“○○です”

 

私の名前とおおよその席位置を聞いた後、直ちに数名のスタッフが販売伝票の控えの束をテーブルに並べて、いっせいに購入履歴の確認を始めた。(ホワイエのスピーカーからは、指揮者を迎える拍手の音が聞こえてる)

 

“あの~~う、もしかしたら、チケット・ピアで購入したかもしれません”(私)

すると早速、一人のスタッフがピアに電話をかけて購入履歴の問い合わせを始めた。==夕方7時をすぎてもピアに確認できる術があるんだぁ、と驚き==。ちなみに、私もiPadからピア・マイページにアクセスして、ピアで購入履歴がないことを確認して伝えた。(スピーカーからは、英雄交響曲の冒頭音楽が聞こえてきた)

 

“あっ、もしかしたら大阪フィルのチケットセンターから購入したかも?”(私)

すると、さらに別のスタッフが大阪フィル・チケットセンターの販売履歴一覧を持ってきて、私の名前を探し始めた。==販売一覧の控えを持ってるんだぁ、と又も驚き==。(すでに710分を経過して、スピーカーからは第1楽章が聞こえる)

 

複数のスタッフが手分けをして履歴を探している間、申し訳なく思いながらホワイエから聞こえてくる演奏に耳を傾けていた。

 

スタッフの一人が気遣って話しかけてくれる。

“チケットの色を覚えてらっしゃいますか?こちら(ザ・シンフォニーホールのチケットオフィス)でご購入ならピンク色なのですが…?”

“う~ん、覚えてないです”(私)

 

“あの~~、もし完売でなければ、改めて別のチケットを買いたいのですが。。。。。”と言ったそのとき、ホワイエ奥から別の女性が駆け足でやってきた。

“ご住所はどちらですか?”

“○○県○○市です”。(私)。

“(笑みとともに)ザ・シンフォニーホールのネットでお求めでした。確認できましたので、再発行しますね”

 

という顛末で、再発行されたチケットと、自宅部屋に置き忘れたチケットの写真がこちら。

 
大阪フィル_20180322


ザ・シンフォニーホールのオペレーションは、実にすばらしい。 “来場するすべての人に音楽を楽しんでもらいたい”という意識、そしてカスタマー・ファーストを実践するため行動規範がスタッフ全員に浸透しているからこその対応ですね。翌日、職場でこのエピソードを同僚に話したら、皆一様に“普通、ありえない”、“凄い、信じられない”の大合唱。そうですよね、私もそう思う。

 

ザ・シンフォニーホールのスタッフの皆様、ありがとうございました。英雄交響曲を途中から、そして楽しみにしていたアルプス交響曲をお気に入りの席で聴くことができました。

 
最初のザ・シンフォニーフォール詣での際に、ホール内のショップで買った ”残響2秒”。残念ながら初版ではなく、1985年の第3版。

残響2秒

2018322日 大阪フィル70周年 X ザ・シンフォニーホール35周年 特別コンサート

 

シンフォニーホール

1K29番 (後半のアルプス交響曲のみ)

 

ベートーベン: 交響曲第3番 『英雄』 Op55

リヒャルト・シュトラウス: アルプス交響曲 Op64

 

指揮                   : 大植 英次

大阪フィルハーモニー

 

大阪フィルの創立70周年、そしてザ・シンフォニーホール開館35周年を記念した特別コンサート。前半の英雄交響曲は情けない事情があり(別ブログ記事にするつもりです)、第1楽章を聴きそびれ、第2楽章から1階最後尾で立ち見(立ち聴き…ですね)。2階バルコニーが被さっていても、ステージからの距離が近く十分に音が飛んでくるし、音響的にはまったく不満は無い。

 

その英雄交響曲は、まさか後半にアルプス交響曲が控えているからではないだろうけど、かなりの快速。ただし演奏内容は、昨今のスマートで洗練されたスタイルにはまったく背を向けた“大植英次”の個性が色濃くでたもの。よく言えば野武士のような武骨な演奏で、もしかすると大阪フィルの持つ昔ながらの性分のようなものを結果的に引き出すことになったのかもしれない。ただし、あまりにも荒っぽくゴツゴツとしたもので、けっして立派は演奏とはいえない。第3楽章トリオでのしゃくり上げるようなメロディーラインの処理など、どうにも滑稽で白々しい。

 

後半のアルプス交響曲は前半のベートーベンと違い、とにかく聴いていて面白い。近年になって一段と、大見得を切ったような演奏効果に満ちた大曲志向への偏向が強まった感がある大植英次だけど、その個性が空回りして演奏するオーケストラとの間に絶望的な溝を感じさせるときがある一方で、ツボにはまればこの日のアルプス交響曲のように快演が生まれることもある。

 

大阪フィルは大健闘。やはりホルンの高橋トップの存在感は抜きん出ている。指定どおりの楽器編成(Hr.12本、Tr.2Tb2)のバンダによる1階左扉の外側から分厚いファンファーレも効果抜群。(休憩後、男性トイレから出て階段をあがっていくと、地下控え室から出てきたこのバンダ奏者の一団に取り囲まれて大いに圧倒されてしまった)

大阪フィル_70周年_1_20180322

大阪フィル_70周年_2_20180322



2018321日 ライナー・ホーネック指揮ザ・オーケストラ・ジャパン ファーストリサイタル ザ・シンフォニーホール

 

シンフォニーホール

1R 32

 

リムスキー=コルサコフ: 歌劇『ラムダ』より“貴族たちの行進”

モーツアルト: 交響曲第25

マーラー: 交響曲第1番“巨人”

 

指揮                   : ライナー・ホーネック

 

シンフォニーホールのホームページで知ったこの演奏会、当初は完全にスルー。“唯一無二” の定冠詞THEをつけたザ・オーケストラ・ジャパンって、いったいどんな団体なのか。平土間J列から最後列まで、何処に座っても音響的にさほど優劣の無いシンフォニーホール公演で、“より音の良い席”としてプレミアムチケットなるものを、S席のさらに倍近い値段で売りつける商法にも違和感を抱いていた。

 

メンバー表を見てもホルンのトップ奏者以外は、知らない名前ばかり。先日の “がんばろう日本スーパーオーケストラ” が読響などの主要オケのメンバーによるボランタリーな団体だったのに対し、どうやらこちらはフリーランスの寄せ集め集団なのだろうか。パンフレットの自己紹介文“この3年間、「ディズニー・オン・クラシック」をはじめとして多くの公演に参加し、=中略=、本日始めてのクラシック公演を実施 =後略” を読んでもナンジャラホイでよくワカラン。

 

それでも聴きにでかけたのは、確実に大阪にいる水曜日(春分の日で祭日)の公演であること。そして、指揮者がクラシックファンなら誰でもしっているライナー・ホーネックだから。客席は3階バルコニーまで満席。スーバーシートも完売の様子。普段のクラシック・コンサートとは違って家族ずれも多く華やかな雰囲気があって、それはとても良いことだけど、演奏の最中いたるところで飴の包み紙を開ける耳障りな音が聞こえてくるのは困ったもの。さらには、スマホでステージ写真を撮影するご婦人もいたりする始末。

 

演奏は、想像していた以上に良い。なによりライナー・ホーネックの意図がみごとに伝わっている。“巨人”第3楽章中間部の “彼女の青い目が” の旋律や終楽章第2主題の弦楽の歌わせ方など、いかにもウィーンのヴァイオリニストならでは、と思わずにいられないほどの優美さだった。

 

ところでこのオーケストラ、どこで公演前の練習をしてるのでしょう?モーツアルトの第25番交響曲など、2年前にインバルを迎えた大阪フィルの第502回定期でのヘタレ演奏より、ずっと立派。なりよりホルンのTOP奏者、山岸博氏の存在が大きい。開演が夕方5時、終演はアンコール無しで7時。明日はサントリーホールでも同じプログラムでの公演があるので、100名ほどのメンバー全員、夜の新幹線で東京へ移動なのだろう。ご苦労さまです。

 
ザ・オーケストラ・ジャパン_20180321

ザ・オーケストラ・ジャパン・2_20180321

2018320日 読売日本交響楽団 第610回名曲シリーズ サントリーホール 

 

サントリーホール

11132

 

ロッシーニ: 歌劇『セビリアの理髪師』序曲

ビゼー: 『アルルの女』第2組曲

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14

―― アンコール  マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より“間奏曲”

 

 指 揮          小林 研一郎

 

『アルルの女』第2組曲の思い入れは “このブログを始めるにあたって”  に記したとおり。東京への日帰り出張の予定があったことで、一泊してなにか聴きにいけるコンサートを探したら、この読響の名曲コンサートとインバル・都響の東京文化会館での『レニングラード』の二者択一。もし『アルルの女』がプログラムに無ければ、上野にしていた。

 

品川のオフィスを610分に飛び出して、ホールに飛び込んだのが658分。毎度のこと、ぎりぎりのタイミングで前半2曲も平土間11列で聴くことができた。かつて北区王子の独身寮にいた当時、南北線の開通とともに“陸の孤島”状態ほどではなくなったにせよ、それでも溜池山王駅からサントリーホールは遠い。

 

読響は、弦も管も、ソロも合奏もさすがに上手い。でもなぜか、どの曲も少々お行儀の良い演奏で “炎のコバケン” ではなかったなぁ。新大阪朝6時始発 “のぞみ” から始まった、長い1日のお疲れモードだったためかもしれない。 すでに大震災から10日ほど経ったのですが、お亡くなりになられた方々への鎮魂として” と前置きして、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の“間奏曲”が演奏された。このアンコールが一番、心に沁みた。

 

閑話休題

入場時に頂いた読響月刊誌  “Monthly Orchestra”  に載っていた恩田陸氏の、チャイコフスキーの〔劇伴〕職人としての凄まじさを語ったエッセー  “サントラ・マエストロの職人芸”  が、読み応えが有り実に面白かった。ホテルでバスタブに浸かりながら熟読。さすが読響、こうした冊子も、なかなかに良質です。

 



2018317日 日本センチュリー交響楽団 第223定期 2日目

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1E16

 

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調

  ――アンコール  スクリャービン: 左手のためのノクターン OP9-2

ボロディン: 交響詩『中央アジアの草原にて』

ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番 変ホ長調  

  ――アンコール  チャイコフスキー 弦楽セレナーデ 第2楽章ワルツ

 

指揮               アラン・ブリバエフ

ピアノ             小山 実稚恵

 

実力ある日本センチュリーにこそ相応しいプログラムを堪能。少し癖のある解釈をしがちな、といった印象をもっていたブリバエフも、コンチェルトでは小山実稚恵とともにテンポを自在に操ったみごとなコンチェルトを、そしてショスタコーヴィチでは諧謔性やさらには秘められた狂気まで滲ませる快演を聴かせてくれた。

 

クラシック音楽のマーケットでは明らかな地方都市である大阪では、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(それとチャイコフスキーの第5交響曲)がプログラムを飾ることが、めったやらたらと多い。よりによってシーズン最終の3月定期にこの曲を、と思わないでもなかったけど、そこは日本センチュリー、これほどまでに傑出した演奏を聴かせてくれるとは。ここ最近聴いたなかでも最高のラフマニノフ2番。

 

いつもながら舞台上に見る華奢な体格の小山実稚恵の、豪胆さにして繊細、詩情性に溢れると同時にパッションに満ちたピアノが実にみごと。第2楽章の第47小節目であえてテンポと音量を落として、一瞬陰影を持たせ(その美しさに息を呑んだ)、詩情たっぷりに旋律を歌わせながら徐々に指示通りのピウ・アニマートしていくところや、終楽章での唖然とするほどのテンポアップを仕掛けていくところなどなど、ほんとに魅力満載の演奏だった。そして、アンコールのスクリャービンがこれまた凄かった。どうして腱鞘炎にならないのかと思わずにはいられない、呆れるほどの指の動きと、眼を閉じて聴けば両の手で弾いてる様にしか聞こえない旋律線と伴奏部の弾き分けのみごとなこと。

 

後半の2曲は、実力を見せ付けるには持って来いの選曲だと、聴いていてつくづく思う。『中央アジアの草原にて』などアマチュア・オケ向きのとても簡単そうな曲だけど、冒頭での1st Vn  2プルト(第2プルトがフラジオレットを担当していた)の弱音に重なるように吹かれるクラリネット、そしてホルンソロの音程など、奏者は結構シビれる曲のはず。聴きながらずっと“さすが日本センチュリー”と心の声をかけてましたよ。4月からの新シーズンも定期会員を続けますからね。今後も、楽しみにしております。

 
日本センチュリ_第222回定期_Pro_20180120

2018316日 日本センチュリー交響楽団 第223定期 1日目

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1階定期会員席 (コンチェルトの第2、第3楽章のみ、1階最後列)

 

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調

  ――アンコール  ラフマニノフ: 前奏曲作品32-5

ボロディン: 交響詩『中央アジアの草原にて』

ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番 変ホ長調  

  ――アンコール  チャイコフスキー 弦楽セレナーデ 第2楽章ワルツ

 

指揮               アラン・ブリバエフ

ピアノ             小山 実稚恵

 

『申し訳ない、また2時間ほど電波の届かないところに行って来る…(“演奏会に行くけど、また戻ってくるからね…の意”)』と、週末金曜日でまだまだ臨戦態勢の同僚に言い残してオフィスを出たのが650分。さすがに歩いては間に合わないとタクシーに乗ったものの、工事渋滞でいつもなら5分の距離に15分も要してしまい前半コンチェルトの第1楽章を聞き逃した。先日の小菅優・オラモBBC響との演奏をあまり楽しめなかったこともあり、小山実稚恵のラフマニノフを大変楽しみにしていただけにちょっと残念なことになった。ということで、途中休憩で翌日2日目公演を半額で聞ける“おか割”チケットを購入したので、聞いた感想は第2日目のブログ記事に回します。

 

ところで遅れて会場入りした私に対する対応が実にオーガナイズされており、いたく感心。私を含めて開演に遅れた人に対するエントランスから入場扉までの案内、途中入場についての説明、タイミングを見計らってのホール内への誘導、といった一連のオペレーションは、(恥ずかしながら、ちょくちょく開演に遅れてしまうので、それなりの経験から言うと)、東京のサントリーホールと並んで最高レベルのクオリティー。聴きに出かけることに価値のある本当に良いホールだ。

 

 日本センチュリ_第222回定期_20171117

20183日9日 大阪フィルハーモニー第516回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

1階定期会員席

 

指揮            : 井上 道義

ピアノ          : アレクサンデル・ガジェブ

合唱            : 大阪フィルハーモニー合唱団

 

バーバー : ピアノ協奏曲 作品38

  アンコール  ラフマニノフ :エチュード『音の絵』Op39 第5曲“アパッショナート”

ショスタコーヴィチ :交響曲第2番 ロ短調 『十月革命に捧げる』

ショスタコーヴィチ :交響曲第3番 変ホ長調 『メーデー』

 

日本センチュリーのハイドン・マラソンと被ってしまったが、そちらのチケットは知人にお譲りして、躊躇無く大阪フィルの定期を聴きにフェスティバルホールへ。4月からの来シーズン定期ラインナップには井上道義の名前が無いので、彼が定期を振るのはもしかしたらこれが最後になるかもしれない。そんな彼が選んだ曲は、東京でもまず演奏されることのないだろうショスタコーヴィチの第2番と第3番、しかも前半にバーバーのピアノ協奏曲を持ってきた。昨年2月定期で第11番と第12番を同時に演奏するという超重量級のプログラムも凄いが、今夜も聴き手に一切媚を振ることの無いプログラミング。全曲を破綻無く演奏しきった大阪フィルの集中力がすばらしい。

 

後半開始前に井上道義本人による前説あり…休憩の後なので“中説”になる。日頃から聴く前に余分なバイアスを持たされたり無駄話に終始するプレトークは無用、とブログで記しているけど、この日だけは大変興味深い内容で、面白くまたありがたい。“10代のころバーバーの『弦楽のためのアダージョ』をアメリカで聴いた(そのとき作曲家本人も会場にいた)、今日のピアニストは23歳、これから演奏するショスタコーヴィチは第2番を作曲したのが20歳、そして第3番が22歳”との前置きから、第2番、第3番についての説明あり。1920代のほんの一時期、ソビエト国内でアヴァンギャルドな芸術が許された時代に書かれた作品で、二十歳そこそこの天才ゆえの破天荒な作品だと思って聴いてほしい、といった内容。

 

いやはや、実に受け止めずらい作品だ。聴き終えた後、曲がまったく記憶に残らない。第2番、第3番を連続で演奏するから、なおさらのことだろう。福山の自宅に戻り、全音のポケットスコアを片手にCDで両曲を聴きなおしても “あれっ、こんな曲だったっけかぁ?”と思ってしまう。第12番終楽章の“勝利のファンファーレ”に似たフレーズが耳に残っているけど、ハイティンク、バルシャイの演奏を立て続けに聴いても、同じイメージで聴き出せない。プレトークで井上道義が、マーラーの“大地の歌”や“第9番”のフレーズが隠れて聞えるといった第3番も、何処の箇所ことを言っていたのか、結局わからずじまい。

 

なお前半ソロを務めたアレクサンデル・ガジェブのテクニックのすさまじいこと。バーバーよりもアンコールで演奏したラフマニノフに驚嘆。分散和音の濁流のなかで情熱的なメロディーを巧みに浮かび上がらせた、みごとな演奏だった。今度、ラフマニノフの第3番コンチェルトを大阪フィルの定期で聴かせてもらえないだろうか。

 

 
大阪フィル_第516回定期_20180309


201837日 サカリ・オラモ指揮 BBC交響楽団 フェスティバルホール 

 

フェスティバルホール

3622

 

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番 ハ短調

 ―― アンコール  ショパン : 練習曲Op25-1

マーラー : 交響曲第5番 嬰ハ短調

 ―― アンコール  シベリウス : アンダンテ・フェスティーボ

 

 指 揮          : サカリ・オラモ

ヴァイオリン       : 小菅 優

 

品川始発の“のぞみ99号”で大阪に移動。開演直前の夕方645分まで仕事をして、フェスティバルホールに向かう。席はチケットピアのプラチナパスを使った先行抽選予約で購入した36列目。フェスの3階席は音が良いことを知っている関西のクラシックファンは多く、普通にネットで購入を試みてもこのあたりの席は、なかなか買えない“裏”プラチナ席。前列の方が終始、頭を下げて寝入っていたおかげで左右に大きく広がるステージを俯瞰できたし、なにより音が減衰するどころか、巨大なホールスピーカーの中に頭を突っ込んだような豊潤でふくよかな響きを堪能した。

 

弦は16型。ただしVc2本少ない16+14+12+8+8。そのVcは対抗配置を取った1st Vnの奥に位置し、上手奥に並んだCbと左右に分かれた珍しい配置を取っていた。間接音が豊富な3階席では、こうした配置の功罪はまったくと言っていいほど感じられなかったけど、果たしていつもの大阪フィル定期会員席では、どのようなバランスで聞こえたことだろう。

 

ラフマニノフのコンチェルトは、ここ数年ロシア系の大柄なピアニストによる、全体重を乗せてピアノの躯体をうならせるようなダイナミズムに満ちた演奏に聴き慣れたこともあり、線の細い小菅優のピアノは、あまり共感を受けなかった。終楽章カデンツァの後の圧倒的な盛り上がりの箇所でのピアニスティックな見せ場では、指が回っているようには見えない(あくまで、そう感じただけなのだろうか)。なお、BBC響の管楽器群、とくに木管はあまり上手いとは思えないけど、実際の実力はどの程度なのだろう。

 

BBC交響楽団は特段に高機能オケではないし、この日の演奏に限っては、欧州大陸のドイツ・フランスといった歴史あるオケが持つ“香り”や“味”のようなものを特段に感じない。ウィーン20世紀末の退廃的な趣をまったく漂わせないマーラー第3楽章のワルツ風の箇所など、イギリスのオーケストラだからだろうか、それともフィンランド指揮者サカリ・オラモの作り出す音楽によるものだったのだろうか。

 

アンコールで“アンダンテ・フェスティーボ”が聴けたのがうれしい。もうずいぶん前に府中シティーオーケストラが定期演奏会のアンコールで演奏した際に、手持ちのCD音源はどれもエンディングにティンパニのトレモロが入らないものだったので、メンバーの方にお尋ねしたことがある。そのとき教えていただいたのは、楽譜指定にトレモロ有り・無しの2バージョンがあるということ。この日のアンコール演奏は、ティンパニ・トレモロ入り。やはりこの曲はティンパニのトレモロで最後を飾ったほうがより壮麗になっていい。

 

マーラーの5番が終了したのが925分、アンコール演奏を終えて席を立ったときは935分になっていた。長い演奏会、そして長い一日だった。

 

 
BBC交響楽団_20180307

201836日 がんばろう日本!スーパーオーケストラ サントリーホール 

 

サントリーホール

LA 210

 

メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

リスト    : ピアノ協奏曲第1番 変歩長調

ベートーベン : 交響曲第7番 イ長調

  ――アンコール      “ふるさと”

 

指揮                   : 海老原 光

ヴァイオリン       : 小林 美樹

ピアノ                  : 金子 三勇士 

 

いやぁ、普通じゃ聴けない面白い演奏会だった。毎日希望奨学金チャリティーコンサートとして、趣旨に賛同した仙台フィル、在京オーケストラ、そして郡響、神奈川フィルなど日本各地のプロオケ(残念ながら関西のオケからの参加は無し)、そしてフリーランスの奏者を加えた一夜だけのオーケストラ。コンサートマスターは読響のソロコンサートマスター小森谷巧。パンフレットに載ったメンバー表を眺めると首席、副首席奏者の名前がずらりと並んでいる。

 

そんなメンバー構成、海老原光の指揮、そして“がんばろう日本!”と題された演奏会となれば、なるほどこうなるか。メンデルスゾーンのコンチェルトは“序”にすぎず、リストはピアノがキレッキレだし、15分の休憩を挟んでのベートーベンの7番は、海老原光の指揮も煽るし、奏者も普通のステージ演奏なら絶対にしないだろうまでに、グイグイ前のめり。終楽章コーダーは、さしものフルトヴェングラーもここまでは、と思うほどの怒涛のアッチェレランド。チャリティー演奏会という意義に深く賛同し、心ばかりの篤志を示したうえで、最高に音楽を楽しませていただきました。

 

 
がんばろう日本スーパーオーケストラ_20180306

201834日 琵琶湖ホール プロデュースオペラ ワーグナー『ワルキューレ』第2日目 

 

滋賀県立芸術劇場 琵琶湖ホール

1階 1U14

 

指 揮           :沼尻 竜典

演 出           ミヒャエル・ハンペ

 

ジークムント    : 望月 哲也

フンディング    : 山下 浩司

ヴェータン      : 青山 貢

ジークリンデ    : 田崎 尚美

ブリュンヒルデ  : 池田 香織

フリッカ        : 中島 郁子

ゲルヒルデ      : 基村 昌代

オルトリンデ    : 小川 里美

ワルトラウテ    : 澤村 翔子

シュヴェルトライテ: 小林 昌代

ヘルムヴェーゲ  : 岩川 亮子

ジークルーネ    : 小野 和歌子

グリムゲルデ    : 森 季子

ロスワイセ      : 平舘 直子

 

終演後そのまま京都から新幹線で東京まで移動して、今日月曜日は、朝から東京のオフィスで仕事。メール処理をしていても、ミーティングをしていても、めくるめく押し寄せる壮大な終幕の音楽が頭の中で鳴っている。“冬の嵐は過ぎ去りて”のところ、紗幕いっぱいに映し出された春風にゆれるトネリコの大木の新緑のシーンを何度も思い出してしまう。う~ん、またワーグナーの毒に犯されたようだ。ただし、今回は昨年の新国“神々の黄昏”のときほど重症ではない。その最大の理由は、初日の不完全燃焼によることが大きい。恐らく土曜日だけの観劇であれば、毒に犯されることは無かったのでは。

 

ピットでは、下手端にハープ2台、上手にティンパニ2セット、さらにHr8Tr 4といった指定どおりの管楽器の陣容に、12型の弦がところ狭し。新国は舞台に潜り込むようにもう一列ほどのスペースがあり、“神々の黄昏”ではハープが4台ほど並んで置かれていたのに比べると、びわ湖ホールはオペラ専用劇場でありながらワーグナーの楽劇を上演するにはピットが小さすぎる。故にだろうか、初日はとにかく京響の演奏が抑え気味。それが2日目になると、金管は吹っ切れたように吹きまくるし、弦も合奏精度を気にせず、といった感じで、熱気に満ちた演奏に打って変わった。やはり“楽劇”はこうでなくっちゃと、ここまで書いて、ふっと思い出した。昨年も“ラインの黄金”二日目でもまったく同じ感想を書いてる。

 

初日の演奏は特に第1幕が低調で不完全燃焼。ジークムントもジークリンデも2日目のほうがヴェルズング族としての英雄的声質に適していたし、沼尻竜典の指揮も明らかに2日目のほうがよりオーケストラをドライブしていた。京響が手馴れてきたのだろうか、それとも指揮者とジークムント・ジークリンデ役との息の合い方の問題なのだろうか。わずか2日間の公演でありながら全役をダブルキャスト(限られた機会しか得られない歌手への配慮なのだろうか、まったく知る由もないし興味もないけど)にすることで、やはり公演のクオリティーに影を落とすのは、聴く者としては残念なところ。あの役は初日で、この役は二日目で聴いたら・・・と、あれこれ思ってしまうのも、ワーグナー好き故かな。あ~ぁ、なんのかのと言っても、ワーグナーの音楽が好き。もっと毒に浸っていたい。

 

昨年“ラインの黄金”での、上階席から“新国に負けるな~っ!”との猛烈な声援まで聞えてきたほどの熱狂まではないにしろ、演出へのブーが飛んだり、それをかき消すほどのブラボーがかかったりと、ワグネリアンにとってはたまらない2日間だったことは間違いない。

 

閑話休題

4月最終週のスイス出張のついでにウィーンに足を伸ばすことにして国立歌劇場のチケットを代理店にお願いしたら、なっなっなんとアンドレア・シェニエ、セヴィリアの理髪師、アイーダと3日連続で平土間席3列目、4列目の中央席が取れてしまったぁ。カウフマン様、お願いだからドタキャンしないで!。

 
びわ湖ホール_ワルキューレ_20180304



201833日 琵琶湖ホール プロデュースオペラ ワーグナー『ワルキューレ』第1日目 

 

滋賀県立芸術劇場 琵琶湖ホール

1階 1U

 

指 揮           :沼尻 竜典

演 出           ミヒャエル・ハンペ

 

ジークムント    : アンドリュー・リチャーズ

フンディング    : 斉木健詞

ヴェータン      : ユルゲン・リン

ジークリンデ    : 森谷 真理

ブリュンヒルデ  : ステファニー・ミュター

フリッカ        : 小山 由美

ゲルヒルデ      : 小林 厚子

オルトリンデ    : 増田 のり子

ワルトラウテ    : 増田 弥生

シュヴェルトライテ: 高橋 華子

ヘルムヴェーゲ  : 佐藤 路子

ジークルーネ    : 小林 沙季子

グリムゲルデ    : 八木 寿子

ロスワイセ      : 福原 寿美枝

 

申し込みのタイミングが僅かに遅くSS席(昨年の“ラインの黄金”はH 18番という、最高な場所)を逃してしまったものの、平土間中央で舞台全体を楽しめる申し分の無い席位置。昨年と同様、二日目も鑑賞するので、演奏や演出の感想等は明日の日記でまとめて記します。

 

びわ湖ホール_ワルキューレ_20180304

201831日 ザ・シンフォニーホール・ストリング・クインテット Vol.3

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1H13

 

ボッケリーニ: 弦楽5重奏曲 ホ長調

ピアソラ : ヴァイオリンとコントラバスのための5つのタンゴ

シューベルト :弦楽3重奏曲第1番 変ロ長調

オンスロウ :弦楽5重奏曲第15番 ハ短調 作品38『弾丸』

 

  アンコール  モーツアルト:ディヴェルティメント 変ロ長調K1372楽章

 

クインテットメンバー

1stVn  田野倉 雅秋  大阪フィル首席コンマス

2ndVn  岡本 伸一郎  大阪交響楽団アソシエイトコンマス

Va     木下 雄介     大阪フィル首席奏者

Vc     北口 大輔     日本センチュリー首席奏者

Cb     村田 和幸   日本センチュリー首席奏者

 

前回Vol.2会場での先行発売でC列を購入済みだったことをみごとに失念しており、昨年末にH列の席も買ってしまった。ということで、C列席を知人に譲って、私はH列に。

 

3楽章“メヌエット”(20代のころ、勤務先事業所工場の始業前のBGMだった)が“次回曲目告知”として前回アンコール演奏されたボッケリーニが、なかなかの佳作。しかも原曲Vc2丁のところを、VcCbとしたことで面白みが増した。ボッケリーニといえば、その“メヌエット”を別とすればギターとの弦楽5重奏を知るのみで、今回Wikipediaで調べてみるとかなりの多作であることにちょっと驚き。

 

Vn2Va+Vc+Cbの編成による埋もれた作品を聴かせてくれる、という意味でオンスロウを紹介してくれたことに感謝。この作曲家もWikipediaによればかなりの多作家らしい。ただし、作品に纏わるエピソードを演奏前に紹介してくれたので面白く聴けたにしても、作品自体は“歴史の埋もれること、然もありなん”ですね。

 

次回のメインはなんと、クロイツェル・ソナタの弦楽5重奏版とのこと。これは聴かなきゃならない。

 
シンフォニーホール弦楽5重奏_20180301

2018221日 読売日本交響楽団 第19回大阪定期演奏会 

 

フェスティバルホール

2階 1列目 定期会員席

 

グリンカ: 歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲

プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲第2

 ―― アンコール  ファリャ: スペイン民謡組曲第2曲“ナナ”

ドヴォルザーク: 交響曲第9番 『新世界から』

 ―― アンコール  ブラームス: ハンガリー舞曲第1

 

 指 揮          ユーリ・テミルカーノフ

ヴァイオリン       : レティシア・モレノ

 

耳に聞えた音を言葉で表すことは、よほど語彙豊かな方でもなかなか難しいことではないだろうか。プロの評論家(演奏評を記事にして収入を得ている方々、という意味です)が書かれた演奏評を拝見していると、頻繁に目にする特有な表現・言い回しが数々あり、少々偏屈なところがある私など、“あれ、また同じことを”と思ってしまう。

 

そんなよく目にする表現の一つに、“強靭な弦”があるけど、ルスランとリュドミラ序曲が始まったとたん、16型の弦の厚みと迫力に、まさにこの“強靭な”という言葉が思い浮かんだ。ポスターにある“日本のトップレベルのオーケストラ、読響の大阪公演”との言葉にまったく異議はございません。東京に住んでいると、こんなハイレベルな演奏が日頃から聴けるのかぁ、と本当に羨ましくなる。もっとも、チケット代は関西がかなりお安いですけどね。

 

ドヴォルザークのあとは、期待通りのハンガリー舞曲のアンコールで、最後の最後まで最高の弦を堪能しました。最後にもう一度、“読響は、ほんとに上手い。”

 
読響_大阪定期_20180221

2018218日 広島交響楽団 福山第24回定期演奏会

 

福山リーデンローズ

1階R251

 

グリーグ: ピアノ協奏曲 

-----アンコール---- ムソルグスキー: 『展覧会の絵』から“卵の殻を付けた雛の踊り”

シベリウス: 交響曲第2

-----アンコール---- グリーグの作品?

 

 

指揮                     : 円光寺 雅彦

ヴァイオリン       : 児玉 桃

 

今年の広響福山定期にも“府中シティー・オーケストラ”の春待ちコンサートの案内チラシあり。誠に残念ながら1週間後の日曜日は実家に帰省しなければならず、聴きに行けない。サポーターとして是非とも駆けつけなければならないところ、申し訳なし。事務局長様にはメールでお詫びの旨をお伝えしておきました。

 

さて最近になって妻から“クラシック演奏会なら、どうぞ一人で行って頂戴”と、厳しくきっぱりと宣言されているので、今年は一人で出かけた広島福山定期。どうやら、昨年11月にザ・シンフォニーホールで聴いたロシア国立交響楽団の爆音攻めに懲りたようだ。それにしても、せっかくの演奏会の備忘録なのに交響曲の後のアンコール曲名を控えなかった。演奏会から2週間たった今となっては(相変わらずの、書き残し状態継続中)、なんとなくグリーグのような北欧作品だった、程度の記憶しかない。

 

ぴあで購入した席位置は発売開始初日に購入したにも関わらず、平土間中央よりもかなり後ろ目で、2階席が被らないぎりぎりの場所。ただし音は十分に飛んでくるし、なにより芳醇なホールトーンがすばらしい。当然、解像度は劣るものの中央あたりより、ずっとこのホールの響きの良さを堪能できる。

 

初めて実演を聴く円光寺雅彦は、愚直というか、Eテレでよく目にする不器用そうな指揮姿そのままで、そのタクトから引きだされる演奏も杓子定規的で面白みがない。もしかすると、オーケストラともソリストとも当日顔合わせをしただけだろうか。奏者にあれこれ自分の主張を求めないで演奏会を無事こなすことに徹した、ということかもしれない。特に協奏曲は、ピアニストの求める音楽の方向性に気を払うことなくオーケストラが演奏を続けている感じで、終楽章エンディングなど、前のめりになって突っ込んでいくピアノからオーケストラが悲惨なほどに乖離していってしまう。

 

福山定期と称して演奏会を行うなら、是非とも下野達也と一緒に本所地の定期プログラムを福山でも聴かせてくださいな。

広響_福山_第24回

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