2017331日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第281回定期演奏会

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1階R

 

モーツアルト    :ピアノ協奏曲第25番 K.503

ブルックナー    :交響曲第7番 ホ長調

 

指揮      :飯守 泰次郎

ピアノ  :若林 顕

 

モーツアルトのピアノ協奏曲は易くない。その演奏が“笑いながら泣いている”と表現される優美さのなかの翳りとか、微妙な変化が織り成す綾をどれほど感じさせてくれるかは、もちろん聴く時の精神バランスの度合いも大きな要素のはず。少なくとも、この日の若林顕と関西フィルの演奏は、私にとっては心動かされることのない凡庸な演奏だった。

 

たとえば昨年秋の内田光子とマーラー・チェンバー・オーケストラによる徹底的に磨きこまれたニュアンスに満ちた演奏だったり、日本センチュリー定期でのファジル・サイの個性極まる歌いまわしだったり、はたまた昨年4月のトヨタ・マスター・プレーヤーズ、ウィーンと競演した山本貴志の天才ピアニスト・シュローダー君(漫画スヌーピー)のような鍵盤を華麗に転がりまわるような演奏だったりと、ここ一年でもいろいろな演奏に触れ、大いに楽しませてもらった。(ありがたいもので、演奏会日記として書き留めておくことで、そのときの演奏を振り返ることができる)翻って今日の演奏を思うと、モーツアルトには似合わない硬質な弦と透明感とニュアンスに乏しい管、そして少々賑やかしいままの印象しかないピアノソロといった印象しかない。

 

後半のブルックナーは先日の読響の演奏を聴いた後では、正直厳しいものがある。木管はモーツアルトのとき以上に透明性を欠いているし、14型にベースを一本追加した弦セクションは8本のチェロが埋もれてしまい、全体の音色も相変わらず厚みやふくよかさが乏しくてブルックナーを聴くには相応しくない。デュメイの指揮で中規模の作品を聴くとかなり好い線をいく関西フィルも、多くのエキストラを加えた飯守泰次郎指揮の大曲プログラムでは、残念ながらいつもオーケストラとしてのクオリティーが落ちる。

 

演奏されたのは普段聴く機会のすくないノーヴァク版。最も盛り上がる練習番号Wの前から(記憶の通りであれば、たぶん練習番号Vから)ティンパニがトレモロを叩いていた。自宅にて書棚から“金子建志著:こだわり派のための名曲徹底分析《ブルックナーの交響曲》”をひっぱり出してみると、“第2章:朝比奈隆との対話”(頁8081)にこのティンパニのトレモロの開始について記述がある。どうやらブルックナーのスコアに例の書いたり消したり“が存在し、複数の解釈余地があるようだけど、ブルオタでないので分からずじまい。......おっと、この本の初版を持っているくらいだからブルオタの一年生くらいか。

 
関西フィル_20170331_第281回定期