あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2016年06月

2016621 日 大阪フィル コバケン名曲セレクション オービック・スペシャル・コンサート2016

 


ザ・シンフォニーホール

オルガン席Z

 


ロッシーニ:   歌劇“セビリアの理髪師”序曲

スメタナ:      交響詩“バルタヴァ”

マスネ:         タイスの瞑想曲  *

サラサーテ:    ツィゴイネルワイゼン  *

チャイコフスキー:バレイ組曲“くるみ割り人形”より

    行進曲 / 金平糖の踊り / トレパック / あし笛の踊り / 花のワルツ

マスカーニ:   歌劇“カヴァレリア・ルスティカーナ”間奏曲

ビゼー:             『アルルの女』第12組曲より

         前奏曲 / カリヨン / メヌエット / ファランドール

              ――― アンコール     ダニーボーイ

                                                          ふるさと

 


 


指揮:  小林 研一郎

ヴァイオリン:  瀬崎 明日香 *

ナビゲーター:  浅岡 聡

 


一昨年の “展覧会の絵” や昨年の〝オルガン・シンフォニー” といった曲などは、首席クラスが抜けていたり練習もそこそこのルーティン仕事のような演奏で、実のところ 、まあこんなもんかなぁ、といった感想に終わる毎年恒例のこの冠コンサートも、今年は肩肘張らないタイトル通りの名曲コンサートで存分に楽しませていただきました。

 


先日のマチネ・シンフォニーでも感じたことですが、とにかく大阪フィルの最大の魅力は鳴りっぷりのよい弦ですね。とにかく “でかい音を出す ”DNAのようなものを感じます。“あるるの女” 前奏曲など、冒頭のホール内の空気を震わす弦のTuttiは、まさにオーケストラを聴く醍醐味を全身に感じさせてくれます。

 


アンコールはその鳴りっぷりの良い弦の魅力全開の恒例 “ダニーボーイ” につづいて、これまたお決まりの “ふるさと” でしたが、今年はオケメンバーをステージに残したまま(Tub奏者はわざわざステージに戻ってきて)フルオーケストラ伴奏での合唱でした。・・・いつもはピアノ設置時の前説のときにそっと席を立ってしまうのですが “今年は、そうはさせませんよ” ということでしょう。大阪フィル_オービック_2016年

2016617日 日本センチュリー交響楽団 第31回いずみ定期 


いずみホール

1階 定期会員席(前半のみ:1階後ろの席)


ハイドン: 交響曲第19番 二長調

モーツアルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K314

   ――アンコール 

ブリテン:オウィディウスによる6つのメタモルフォーゼOp.49より第1曲


ハイドン: 交響曲第58番 ヘ長調

ハイドン: 交響曲第7番 ハ長調『昼』


          : 飯森規親

オーボエ : ハンスイェルク・シェレンベルガー


この日は、スピノジを指揮者に迎えた大阪フィル6月定期と、日本センチュリーのいずみホール定期が重なってしまいました。大フィル定期でこれやるの、しかもこの順番で?といったラインナップの大阪フィルのチケットを会社の同僚に譲って、コアメンバーによるアンサンブルを楽しみにいずみホールに出かけたのですが、期待が大きすぎたのかもしれません。残念ながら少々物足りない一夜でした。


もちろん精緻なアンサンブルはいつも通りですが、コンチェルトグロッソの第7番の前に演奏された19番と58番は曲自体の魅力が乏しすぎます。ハイドンマラソンとして全曲演奏を目指している以上、佳作以外の落穂ひろいは致し方ないとして、それらを補完するはずの元ベルリンフィル首席奏者の名手シェレンベルガーを迎えたモーツアルトのObコンも、オケの音量が大きすぎてObソロとのバランスを欠き、楽しめずに終わってしまいました。たぶんリハーサルは音源収録を兼たハイドン演奏が中心となって、結果コンチェルトには多くの時間を割くこともなく本番に臨んだのではないでしょうか。いつもならコンチェルトの伴奏指揮ではオーケストラのニュアンス付などに創意を感じさせる飯森規親さんも、今夜はさほどでもなかった、というのが正直な感想です。


 
日本センチュリー_いずみ31回



 


 


 


 


 


 








201668日 大阪フィルハーモニー交響楽団 マチネ・シンフォニー Vol.15

 


ザ・シンフォニーホール

 


リムスキー=コルサコフ: スペイン奇想曲

マルコーニ: バンドネオン協奏曲

             ――アンコール ピアソラ:アディオス・ノニーノ

 


ハチャトリアン: バレエ組曲『ガイーヌ』より

                絨毯の刺繍 / レスギンカ / 間奏曲 / バラの乙女たちの踊り

 ヌーネとカレンの踊り / アイシャとガイーヌの情景 / アルメンの不幸

 ガイーヌとアルメンの情景 / ガイーヌとアルメンの愛のデュエット

 山の若者たちの踊り / 剣の舞

 


   ――アンコール バレエ組曲『ガイーヌ』より 収穫祭の踊り

 


指揮:                   井上道義

バンドネオン:  ネストル・マルコーニ

 


朝、横浜で早朝の会議を済ませた後、新幹線で東京に移動して開演直前にホールに飛び込みました。マチネーコンサートは特にここ数年、一流ソロ奏者を迎えての挑戦的なプログラムで楽しませてもらっています。午後2時の開演にむけて私のように時間調整をして聴きに来る(来ることができる)現役世代は稀で(あたりまえですね)シニアの御夫婦をたくさん見かけます。平日の午後に、このような良質のフルオーケストラ・コンサートを三千円で聴くことができるのは本当に素晴らしいことです。大阪在住の方々がうらやましい。

 


やはり『ガイーヌ』は、コンサートのメインには向かないキワモノですね。聴きなじんだ(というより一度聴いたら忘れられない)チェクナヴォリアン・アルメニアフィルの爆演CDを思い比べると、今日のような節度をわきまえた大変にまっとうな演奏では、かえって曲自体の深みの無さが際立って感じられてしまいます。いっそのことならアンコールの“収穫祭の踊り”くらいは超ハイテンションの爆裂演奏をしてくれたら面白かったろうのに。

 


ネストル・マルコーニさんのバンドネオンは楽器左右から鳴る音がそれぞれホール下手、上手の空間に伝わって、一階席中央の自席からはステージ両翼いっぱいに広がった巨大な楽器のようです。てっきりPAを使っているものと思い込んでしまうほどの音量と響きで、たとえば昨年のマチネーでのロドリーゴのギター協奏曲のようにソロ楽器がオケに埋もれることも全くありません。ただし残念ながら、演奏者自作の協奏曲自体は決して面白味のあるものではありませんでした。


大阪フィル_マチネー第15回


201667日 ギドン・クレーメル ルカ・ドゥバルグ デュオ・リサイタル

 


サントリーホール

P

 


ラベル: ヴァイオリン・ソナタ ト長調

ラベル: 夜のガスパール 

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5

フランク:ヴァイオリン・ソナタイ長調

  ――アンコール  イザイ:子供の夢

 


ヴァイオリン:ギドン・クレーメル

ピアノ: ルカ・ドゥバルグ

 


地下鉄乗継を誤り マタイ受難曲の開演に間に合わなかった今年3月の経験を踏まえ、早々にサントリーホールに到着し自席についてホールを見渡してみると、精々半分程度の席が埋まっている程度です。バッハの“無伴奏ソナタとパルティータ”(Philipsの旧録音盤)やら、アルゲリッチ・マイスキーとの世紀の共演と話題になったチャイコフスキーのPトリオやら、シュニトケ版カデンツァ付のベートーベンの協奏曲などなど、新録音がリリースされるたびに欠かさず買い求めていた地方在住の私にとって、クレーメルの演奏はジャケット写真の神経質そうな風貌とともに当代一流のヴァイオリニストの一人として鮮烈にイメージされており、当然のごとく今夜の演奏会は満席に違いないと思い込んでいただけに大いに拍子抜けです。クレーメルはクラシック音楽マーケットではすでに過去の人になりつつあるのか、と妙にさみしさを感じてしまいます。

 


ステージ背面のP席最上段で聴くアンサンブルは、間接音中心のふくよかなホールトーンで、かつて盛んに買い集めたERATO盤を聴いているような感じがして、それはそれで心地良かったのですが、いつしか“ダイナミズムや技巧に満ちた”などという表現からは離れた、それこそ無伴奏ソナタとパルティータのジャケット写真そのままの神経質そうな風貌そのままの演奏であることに気付かされます。とくにフランクのソナタの、決して朗々と旋律を歌い上げるようなことの無い、無慈悲さを漂わせた演奏は、まさに私が今までレコードで聴いてきたクレーメルのヴァイオリンでした。

 


しかしなによりも新進気鋭の天才ピアニスト、ルカ・ドゥバルグの演奏を聴くことができたことが今夜の一番の収穫かもしれません。プログラムに記されたプロフィールには驚かされます。世の中には彼のようにgiftetnessを得た人物がいるのですね。


クレーメル_ドゥバルグ


2016531日 シャルル・リシャール=アムラン オール・ショパン・ピアノ・リサイタル

 


シンフォニーホール

1階 中央ブロックL

 


ノクターン ロ長調 作品62-1

バラード第3番 変イ長調 作品47

幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61

序奏とロンド 変ホ長調 作品16

4つのマズルカ 作品33

ソナタ第3番 ロ短調 作品58

――アンコール

ポロネーズ 第6番 『英雄』

エネスク: バヴァーヌ 作品102

 


シャルル・リシャール=アムラン

 


集客目的もあってか、主だった作品ジャンルを網羅するように選曲されたプログラムは、とくに休憩をはさんでのマズルカまで、特に個性が際立った歌い回しをすることもなく面白味の乏しい“上手いピアノ弾きのショパン”演奏ですが、終曲のソナタとなるとその姿が一変します。

 


おそらくこのピアニストはショパンよりも、厳格な様式で構成された作品に対する指向が強いのではないでしょうか。とにかくとても聴きごたえのあるソナタでした。ショパンコンクール第2位の看板を掲げてのリサイタル・ツアーが一段落した後もこのまま“ショパン弾き”として活躍を続けるピアニストではないようです。本来なら、アンコール曲もすべてショパンとすべきところを、一曲目で豪快に英雄ポロネーズを弾いて見せた次には、あえてショパンの曲を選ばなかったところにも彼の指向性が現れているような気がしてなりません。

 


ところでアンコール2曲目のジョルジュ・エネスクの名に触れ、自宅CD棚にこの作曲者の作品を収めたArte Nova CDを何枚も未聴のまま置いていることを思い出した。――いま、コンサートから1週間近く経過した週末にこれらCDを一気に聴いています。ー

アムラン_ピアノリサイタル

2016521日 大阪フィルハーモニー第498回定期演奏会 2日目

 


フェスティバルホール

2階 中央ブロック5列目

 


チャイコフスキー: 幻想序曲『ロメオとジュリエット』

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2

  -アンコール  チャイコフスキー:『四季』April. The Snow-drop

ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲

 


指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ

ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ

 


今、まさにメジャーへの階段を駆け上がり始めた若手指揮者ウルバンスキを聞き逃したら、後々に大変後悔しそうな気がして、公演日前日に急遽チケットを購入して聴きに出掛けました。どうやら12階席ともほぼ完売に近かったようです。ウルバンスキの知名度がある程度貢献したかもしれないにせよ、フェステバル・ホールに会場を移して3シーズン目の今年、毎定期かなりの席が埋まるようになってきましたね。

 


3年前、まだ31歳だったこの指揮者が大阪フィルの定期で『春の祭典』を指揮した姿をいまだ鮮烈に記憶しています。さらにその1年前の20122月定期で、当時の音楽監督を務めていた大植さんのいつもながらの自己主張ごり押しの指揮のもと、特に2日目で一瞬演奏が破たんするのではと思うほど危うい演奏をしたこのオーケストラを、この才能あふれる若者は見事にコントロールし均整のとれた『春の祭典』を聞かせてくれました。

 


今夜の演奏も暗譜で振る指揮姿は前回と同じですが、見た目にもスマートな指揮ぶりは一層洗練された様子で、大阪フィルから引き出す音楽もまた、まったく奇を衒うことがなくオーケストラを全く混沌とさせることがありません。本当にいい指揮者ですね。これから40歳、50歳と年を重ねていくことで、どのような指揮者になっていくことでしょう。いずれ関西では迎えることのできないマエストロに成長しているかもしれませんが、もし再び大阪フィルが定期でブッキングすることができるのなら、ドイツ古典派・ロマン派の交響曲作品を聴いてみたいものです。


大阪フィル_第498定期


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