あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2015年12月

20151226日 読売日本交響楽団 第13回大阪定期演奏会 

 


ザ・シンフォニーホール

2階 LD

 


ベートーベン:交響曲第9番「合唱」

 


 指 揮          上岡 敏之

ソプラノ              :イリーデ・マルティネス

メゾ・ソプラノ    :清水 華澄

テノール              吉田 浩之

バリトン              :オラフア・シグルザルソン

合唱                     :新国立劇場合唱団

 

昨年は年末最後の2週間に5回も“第九”演奏会に出かけ、いささか辟易した反省(大阪交響楽団の演奏会などは12月定期としながら地域アマチュア合唱の団員家族にA席を買わせることで席を埋めていた。)を踏まえ、今年はこの読売日本交響楽団大阪定期の1回のみ。なんといってもN響と並ぶトップオーケストラと国内唯一のプロ合唱による演奏ですものね。この今年唯一の“第九”そして年内最後のコンサートが、今年もっとも強烈なインパクトを持ったものになりました。

 


あまりにも刺激的演奏解釈で、年末多忙を理由に数日が経過してしまった今(1230日夕刻)でも演奏のディテールまでかなり鮮烈に覚えていますが、大阪に先立って行われた6回の東京での演奏会も含めすでに多くの方々がネット上で“上岡・読響の第九演奏”について発信されていますので、あえて稚拙な文章で演奏の詳細を記すことはしないでおきます。ただし、再現芸術としてこのような演奏を行った指揮者と演奏者のみなさんには一音楽愛好家として称賛の念を禁じ得ないけど、少なくとも今の私にはこの演奏解釈にまったく共感できないし年末最後の演奏演奏会として聴きたい音楽ではありませんでした。でも終生、忘れることないだろう演奏だったことは間違いない。この指揮者が次期音楽監督となる新日本フィルの来年3月の大阪特別公演でシューベルトとマーラーをどのような解釈で聴かせてくれるか、いまから心待ちです。


20151223日 関西フィルハーモニー 藤岡幸夫のクリスマス・ファンタジア

 


フェスティバルホール

3RRF 1

 


ルロイ・アンダーソン:クリスマスフェスティバル

レハール:ワルツ「金と銀」

シューベルト:アベ・マリア(オルガン伴奏)

J.S. バッハ:小フーガ(オルガン独奏)

プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より“私のお父さん”

アダン:オー・ホーリー・ナイト

エルガー:行進曲 威風堂々(オルガン付)

 


ドビュッシー:月の光

シャブリエ:狂詩曲「スペイン」

マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より“間奏曲”

ラベル:ボレロ

   ―――きよしこの夜 (アンコール)

 


指揮    :藤岡幸夫

ソプラノ:岩下晶子

オルガン:片桐聖子

 


藤岡幸夫のクリスマス・ファンタジア”とタイトルされている通り、藤岡さんプロデュース関西フィル恒例の年末コンサート。ことしは例年にも増して魅力あふれたプログラムで会場は補助席も含めて超満員。はっきり言ってしまえば、オーケストラとしての実力は今一つで、特に後半はデュメイに鍛えられている弦は別として管パートはかなり危うい演奏の連続。でも何よりオーケストラメンバー全員が、お客さんを楽しませたい、という思いが溢れんばかりのステージで、幸せな気持ちになることのできた2時間でした。

 


―閑話休題― 

当日(2314時開演)の館内温度設定は冬の真っただ中にしてはどうにも低すぎる。私の席(3階バルコニーRRF前列)から客席全体を見下ろすとほとんどの人がコートなどの厚手防寒着をクロークに預けず座席に持ち込んでいる。これではホール自慢の残響2秒が台無しで大変に残念でもったいない。ところが週末26日の読響定期(この日記、読響を同じシンフォニーホールで聴いた後の30日に書いています)を2階バルコニーLD席で聴いたときは、館内の暖房が十分に効いて実に快適。もしかして財政難の関西フィルと金満読響とではホールの温度設定まで異なるの?と勘ぐってしまった。

20151217日 大阪フィルハーモニー 494回定期演奏会 2日目

 


フェスティバルホール

2階中央ブロック 4列目

 


リヒャルト・シュトラウス:バレエ組曲「ホイップ・クリーム」より“ワルツ”

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「死と変容」

ブラームス:ピアノ協奏曲第2

 


指揮:アレクサンダー・リープラヒ

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

 


昨日の反省を踏まえ余裕をもって会場に、と思いながらまたも開演直前に会場に駆けこんだけど、幸いなるかな、寝落ちすることなく今夜は全曲を楽しんだ。

 


R・シュトラウス2曲で構成された前半、特に1曲目などは一流の機動力を持ちえぬオーケストラにはちょっと無理がある。縦の線が合わず、全体にモソモソっとしたまま。R・シュトラウスはホルンの充実が欠かせないけど、音色も厚みも乏しく合奏にハリが出ない。それでも2曲目は大阪フィルならではの弦合奏で聴きごたえがあった。曲最後の音が鳴り終わた後も拍手まで30秒近く静寂が続いた。大阪フィルを聴きに来るお客さんって、本当に素晴らしいですね。(じっと腕時計見つめながら拍手までの時間をカウントしていました。)

 


後半は、オピッツさんの円熟の演奏を昨夜に続き堪能。オーケストラは昨夜と同様、ブラームスらしい深みのある演奏を聴かてくれた。音の響きと分離が最適な状態で聴ける2階席で聴くと、首席の高橋さんと蒲生さんのホルンが太く渋い音でアンサンブルを支えていたのがよく解る。

 


ブラームスのピアノ協奏曲第2番は、かつてレコード芸術誌上で某音楽評論家がバックハウス・ベーム指揮・ウィーンフィルの演奏をして“この演奏に心動かされぬ者は木石に等しい”と評していた。高校生のころDECCA盤を買ったものの一度もこの長大な曲を聴き通すことなく、以来30代までの20年間、苦手なブラームスの象徴的な作品になってしまった。不思議なもので年齢を重ねた今、いつの間にか最も好きなピアノ協奏曲となり、いつか実演に接したいと思っていたけど、あまりに大曲すぎて東京以外の地方都市ではなかなかプログラムに乗ることがない。このたび定期のメインに置いてくれたことに感謝。

 


大阪フィル494回定期

20151216日 大阪フィルハーモニー 494回定期演奏会 1日目


フェスティバルホール

1階中央ブロック 中央 定期会員席


リヒャルト・シュトラウス:バレエ組曲「ホイップ・クリーム」より“ワルツ”

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「死と変容」

ブラームス:ピアノ協奏曲第2


指揮:アレクサンダー・リープラヒ

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ


自分のための鑑賞記録としてまず記しておくと、前半のリヒャルト・シュトラウス2曲はどちらもまったく聴いていない。連日の会議と会食続きで睡眠不足の上に、ぎりぎりまでオフィスで仕事をしてから会場に向かったので、前半は“いびき”をかかないことだけを願いながら、開きなおって覚悟の寝落ちとなった。休憩時間にいつものグラスワインをやめコーヒーを飲んでからブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴く。


中庸なテンポ設定で繰り広げられる重厚なピアノと管弦楽の響きが素晴らしい。リープラヒさんは16型の弦楽アンサンブルを無理にピアノに張りあわせることなく、柔らかくも深みを持たせて鳴らす。印象としてはザンデルリンク・ベルリンSOのシンフォニーのような響き。オピッツさんは激しすぎることのない打鍵と行き過ぎないリリシズムもあり、特に第三楽章のチェロソロとの場面の素敵なこと。


今日の第2日目を楽しみにしたい。

 


 


 


 


 


 







20151211日 NHK交響楽団 1824回定期演奏会 1日目


NHKホール

2R 215


マーラー:交響曲3


指揮:シャルル・デュトワ

アルト: ビルギット・レンメルト

女声合唱:東京音楽大学

児童合唱:NHK東京児童合唱団


NHK交響楽団は平日にサントリーホールで行われるB定期が常に完売なので、東京出張に合わせて聴きに行けるほぼ唯一の機会は週末に行われるC定期初日しかないけど、このたびタイミングよくデュトワの指揮でマーラー第3番を聴くことができた。NHKホールは1986年のウィーン国立歌劇場来日公演の“トリスタンとイゾルデ”を聴きに訪れたことがあるだけで、実に30年ぶり2度目であり、オーケストラ公演は今回が初めて。


どこの席を選ぶかで悩みに悩んで2R 2列をネットで事前購入したけど、どうやら正解だったみたい。1列目が空席だったので、ステージ全体を俯瞰でき、音量もそれなりに届く。とはいえ、巷での共通認識のとおりオーケストラコンサートにはあまりにも不向きな会場。ホールトーンからはほど遠く、自宅寝室のオーディオ装置で聴く音像に似て聞こえる。日本で一番のオーケストラが演奏しているのだから、と思って聴き始めていても、どうにも伝わってくるものがない。本来、唯一無二の再現芸術であるべき音楽がデッドな空間に投げ出され消えてしまう感じ。いろいろと語られている事情は承知しているつもりでも、あまりに残念でもったいない。


ビルギット・レンメルトを聴いて、改めて大阪フィルの本年9月第491回定期の同曲で聴いたナタリー・シュトゥッツマンが偉大なコントラルトであるかに気付かされた。第4楽章歌い出しのところでの神々の終末を予言するエルダを聴くような身震いすら覚えたシュトゥッツマンの歌唱が耳に強く残っており、つい比較をしながら聴いていたのだけれど、これもこのデッドな空間でオーケストラの音を聞いてしまっているからなのでしょう。


演奏は、オーケストラも合唱も本当にうまい。首席の菊本さんがステージ上手裏に下がって吹いた第3楽章のポストホルンソロは完璧。曲最終のツインティンパニの見事にシンクロした連打など、最高のパフォーマンス。もしこの演奏をフェスティバルホールで聴けたら最高だっただろうに。。。。


 


 


 


 


 


 


 








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