あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2015年11月

20151128日 大阪フィルハーモニー 493回定期演奏会 2日目

 


フェスティバルホール

24列目

 


ベートーベン:序曲「コリオラン」

ショスタコーヴィチ:交響曲7番「レニングラード」

 


指揮:井上 道義

 


二日続けてこの巨大で異様なシンフォニーを体験できたことを感謝したい。演奏会の備忘としていろいろと気付いたことを書き留めておきます。

 


1楽章ドイツ軍進軍の“チーチーンプイプイ”マーチでの小太鼓の音量増大の自然さは1日目のほうが完璧だった。1日目、1階席中央のボックス席真後ろで聴いていると正確に聞こえるドラムストロークが2日目の2階席だとホール間接音により少しずれて(結果的に合奏がずれてしまったように)聞える。ちなみにフェスティバルホールでフル編成オーケストラの響きをより楽しめるのは、1階ボックス席ではなく2階席だと思っている。なお3階席は学生限定で一般に販売されていないことあり、未確認。

 


ブラス別部隊(Hr 4, Tr 3, Tb 3)を舞台の上手後方上段に一列に配置したのは大正解。強大なドイツ軍に向かって調性を変えて“レジスタンスのテーマ”がその上手後方上段から鳴り渡る演出は素晴らしい。大きなステージを持つ(そして素晴らしい音響の)フェスティバルホールだからこそ可能な配置。さらに第4楽章のコーダで下手に位置した正規部隊のホルン4本と上手別働隊のホルン4本が、ベルアップしてSoliによる勝利の雄叫びを挙げる場面でのサウンドとビジュアルの相乗効果は絶大。

 


終楽章のコーダ、曲冒頭テーマの執拗な繰り返しの終着点(fff)でブラス別部隊がスダンドアップするのだけど(いままで観たいろいろな演奏動画でスタンドアップしたのを見た記憶がない。井上さんのアイディアですね)、初日は、先に出番があるHr 4名が譜面台を高くして立ち上がり、しばらくしてからTr Tb 6名が遅れてそれに続いていたけれど、2日目は終結部突入と同時に10名全員が一斉に譜面を高くしたのは正解。初日はTr Tbが譜面台を持ち上げる動作に目が行ってしまい集中をそいでしまう。ちなみにスタンドアップした後は、直立不動でいてほしい。エキストラ奏者は微動だにしないのに、トップに入った正規メンバーが無駄に動いてこちらもまた注意をそがれたのは残念。

 


定期会員として初日を毎回同じ席で聴いているけど、このホールで聴いたなかでVnの音量・音圧はいままでで最高レベル。第3楽章ラルゴに入ってすぐのカンタービレのなんとすさまじいこと。

 


両日とも素晴らしかったけど、あえて言うと初日は少し力み気味なまでの演奏だったのに対し、2日目は熱演のなかにも冷静さも持ち合わせていた。例えば第1楽章終番のFgの長いソロで593小節からのフォルテの音がひっくり返りそうなまでだったけど、二日目は無理なく演奏されていた。

 


・・・・なんだか、きりがないのでこのあたりでおしまい。


大阪フィル493回


20151127日 大阪フィルハーモニー 493回定期演奏会 1日目

 


フェスティバルホール

1階中央ブロック 中央 定期会員席

 


ベートーベン:序曲「コリオラン」

ショスタコーヴィチ:交響曲7番「レニングラード」

 


指揮:井上 道義

 


いまフェスティバルホールを出て30分ほど経過。興奮から覚めない。定期初日はゲネプロレベルなんて、今日に限っては言わせない。もしも、ありがたいことにこのブログを今、お読みになっている方がいらっしゃって、明日の定期2日目を聴きに行こうかと思いあぐねているのであれば、是非とも当日券を購入してお聴きになられるべきだ。今夜のような超名演(陳腐だけど、あえて使う)が明日また聴かれるだろうから。

 


今日のブログ記載はここまで。この週末は、来年度予算策定の大詰めの超多忙状態につき大阪に留まることこれ幸いに、明日も聴きに行く。

 


20151125日 ワレリー・ゲルギエフ指揮 ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団

 


フェスティバルホール

1階21列下手

 


ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」

      ベートーベン:ピアノソナタ「悲愴」2楽章         ― アンコール

        ショパン:エチュード作品10-12 「革命」         ― アンコール

 


チャイコフスキー:交響曲第6番 「悲愴」

 


 指 揮  : ワレリー・ゲルギエフ

ピアノ  : 辻井信行 

 


ゲルギエフさんの首席指揮者就任お披露目の日本ツアー初日公演。辻井信行さんのネームバリューもあり私のいた1階は満席状態。両壁のペアボックス席も含めて全席完売だったのではないでしょうか。間違いなく辻井信行さんは日本で最もチケットの売れるクラシックアーティストでしょう。

 


今回初めて辻井信行さんの演奏を聴いたのだけど、このピアニストに対する評価はどうやらお預けとする必要がありそう。長大なコンチェルトをほとんど完璧に(数回ほどのミスタッチに気付いた程度)こなした後、アンコールに悲愴ソナタ2楽章と革命のエチュードを弾いてしまう、テクニックとスタミナそして素晴らしい集中力をお持ちであることは間違いない。でも私にはアンコールも含め、どうにも一本調子というか練り上げられた深みに乏しく感じられる。ほんの一例だけど第1楽章第2主題が初めに短調で現れるところなど、もっとニュアンスと微細な強弱を持たせれば良いと思うのに、無機的とまでは言わないけど、期待に反して淡々と音楽が流れていく。演奏後は熱狂的なまでの拍手に包まれていたので、私の感性が少し他の方々と異なるのかもしれない。いずれにせよ、今後コンチェルトではなくソロ演奏を多く聴くことで確かめていきたい。

 


チャイコフスキーは、このオーケストラの非常に高い合奏力を見せつけられた。特に後半2楽章の見事なこと。例えば終楽章最強奏のVnトゥッティの頭音がギュゥィーンと鳴る(文字で表現することなどまったく不可能)のを聴いたときには鳥肌が立った。ところで第3楽章最終音の後、指揮者があまり間を置かず終楽章に突入しようするそのタイミングで1階上手側からブラボーとそれにつられた拍手で静寂が中断。さらに終曲でコンバス重低音の持続音とピチカートで曲が閉じられたあと、ゲルギエフさんがまだタクトを下していないなか、同じ方向からまたもブラボーの声とそれにつられた拍手が起こった。さすがにこちらは56秒ほどで静まったけど、せっかくの余韻が台無しになったのは残念なかぎり。

20151121日 読売日本交響楽団 第12回大阪定期演奏会 


ザ・シンフォニーホール

2階 LD


シベリウス:交響詩 [フィンランディア] 

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2

     ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女  -アンコール

シベリウス:交響曲第2番 ニ長調

     シベリウス:悲しきワルツ    - アンコール


 指 揮     : オスモ・ヴァンスカ

ピアノ     : リーズ・ドゥ・ラ・サール

 

読響の強靭なまでの合奏力を堪能した一夜でした。コンマスの日下紗矢加さんとフォワシュピーラーに座った一昨年まで大阪フィルコンマスだった長原幸太さんが弦セクション全員を統率しているのが、まじかのLD席から見ていて大変良くわかる。またブラスセクションは1,704名定員の比較的小さな空間に向かって臆することなく鳴らしまくる。一方で真に感嘆したことは、静かな曲想において例えば2nd Flが絶妙の音量とニュアンスで1stを引き立てるといった木管のアンサンブル力で、在阪オーケストラでは聴けない楽音でした。


オスモ・ヴァンスカさんはラフマニノフのコンチェルトでも16型編成のまま豪快なまでにオーケストラを鳴らしまくり、ピアニストもリリシズムとは無縁な、時に強烈なまでの打鍵で対峙する、私のラフマニノフの2のイメージとは正反対の演奏。でも、とても爽快で実に面白かった。実はこの曲、ちょっと苦手で全曲集中して聴き通すことがなかなかできないのです。 一方でアンコールの亜麻色の乙女は、真逆に柔らかなタッチに終始した演奏で、特にエンディングの微弱音に至るまでの音量の絶妙なコントロールは驚嘆の一言。


ところでヴァンスカさんのシベリウス交響曲はラハティSOとのBIS全集をかつてよく聴いたものだけど、今夜のようなオケの機能を前面に出すのではなく豪快さより精緻なアンサンブルを追及する演奏だったように記憶している。時とともに解釈が変わるのか、それとも振るオーケストラにもよるのか、大変興味深い。自宅に戻るのは再来週になるけど、改めてCDを聞き直してみることにしようと思う。


NHK交響楽団とならぶトップの実力を持つ読売日本交響楽団の大阪定期は毎回の完売公演で、今期は妻を誘って聴きに行くつもりで年間チケットを2席分(といっても年3回ほどだけど)購入している。フィスティバルホールに移行しての来期の年間チケット予約開始が翌日で、殺人的な人波にもまれた京都紅葉観光の合間にチケットセンターに電話をして、なんとか良席を確保できた。来期は3公演とも木曜日なので週末大阪不在の私としてありがたい。


読売12回大阪定期


 


 


 


 


 


 









20151120日 日本センチュリー交響楽団 第29回いずみ定期 

 


いずみホール

1階 後方席

 


ハイドン: 交響曲第30番 ハ長調『アレルヤ』

ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調

   ショパン:マズルカ第14番 ト短調 -アンコール

ハイドン: 交響曲第99番 変ホ長調

 


        飯森規親

ピアノ : クシシュトフ・ヤブウォンスキ

 

週前半の東京出張と海外からの来客対応(おかげでチケット購入済みの火曜日の大阪フィルのソアレに行けず、METライブビューイングの“オテロ”を見逃した)で疲労困憊の一週間だったけど、今日の演奏会が週末を一気に充実したものにしてくれました。演奏の素晴らしさは前2回のハイドンマラソン(第26回、27回いずみ定期)と同様だけど、今日は全曲通じて同じ中型編成(10+10+8+4+3)だったことで、小編成で演奏される初期作品の時のホルンの音量が大きく聞こえすぎるといったアンバランスがないのが良い。

 


前回いずみ定期は“NHKの録画”というイベントがあった故か、とにかく盛況だったのに、今夜は定期会員席が埋まっている程度(ざっと6割程度のお客さんの入り)で何ともさみしい限り。今日公表されたフェスティバルホールの大阪フィル来期ラインナップをみると、シンフォニーホールの日本センチュリーと今年もまた4月定期の開催日が重なっている。大阪フィルと限られたパイを取り合うことの無いよう、来シーズンの定期は事前に事務局間で日程調整を図ってくれないかなあ。大阪フィル定期と別の日であれば、パートトップも含めて半数近くをエキストラに頼ったマーラー9番でも“怖いもの見たさ”半分で聴きにいくのに。


日本センチュリー いずみ29


20151113日 日本センチュリー交響楽団 第205回定期 1日目

 


大阪ザ・シンフォニーホール

1階中央右ブロック

 


シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 『グレート』 =後半のみ

 


指揮:レオン・フライシャー

 


堺オフィスで午後から仕事が予定されていたのでチケットを事前購入せずにいたけれど、うまく仕事が切りあがったので、今期から始まった“あと割1,500円”を利用してプログラム後半を聴きにザ・シンフォニーホールへ向かう。いつものこと6割程度の入りなので、前回204回定期とほぼ同じ1階中央右ブロックの席を購入することができた。

 


シューベルトの交響曲第8番は学生時代にベーム・ベルリンフィルのLPで出会って以来、才能の乏しい指揮者・下手な演奏のために“天国的な長さ”がとても退屈なだけだったり、近年(流行?)のノリントンのようなハイテンポで幸福感をどこかに置き去りにしたような演奏など、なかなか自分にとって満足のいく演奏に出会うことの少ない曲なのだけれど、今日は期待通りの(期待以上の、かな)演奏でした。ソステヌートの1楽章の序奏を聴いたときから“そう、私は今日この音楽を聴きに来たのだ”と思ったのだけれど、その思いは60分間、一時も途切れることははなった。レオン・フライシャーさんは終始、旋律をゆったりとしたテンポでオーケストラをゆたやかに歌わせた。金管の好演により特に後半2楽章が素晴らしい。

 


今夜は前204回定期のようにエキストラをかき集めて演奏の質を落とすようなことなく、正団員中心の82管編成でアンサンブルも大変安定・充実。1st Fl不在故にN響首席の甲斐雅之さんをエキストラに迎えていた。私の席からは見えなかったけど、帰宅後パンフレットをみると昨年までこのオケに在籍し、今はN響メンバ―の木川博史さんも吹いていたようですね。

 


“あと割”の私はブースでチケット購入後、前半の演奏が終わるのを待ってから会場入り。前半の演奏時間が長くシューベルトの演奏が始まったのが815分、そして終演は915分。指揮者とオーケストラにそのまま拍手を送り続けたかったけど、フライシャーさんが最初に下手に下がったタイミングで会場を後にし、速足で福島駅から梅田経由で新大阪に向かう。いつもの2142分発のぞみにギリギリで間に合った。


センチュリー205


201511月4日 メットライブビューイング 

ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』

 


なんばパークスシネマ

 


ヴェルディ: イル・トロヴァトーレ 上演日2015103

                            指揮:マルコ・アルミリアート

                            演出:デイヴィット・アクヴィガー

                           

全国主要都市に限られたライブビューイングの会場の中でも、勤務先オフィスから10分で駆け付けられる難波の“なんばパークスシネマ”は上映開始が18:30なので大変ありがたい。仕事の調整をつけネットで事前購入したチケットをもって会場に入ったときは、ちょうどホヴォロストフスキーのルーナ伯爵が回り舞台に乗って下手から登場するところ。脳腫瘍からカムバックを祝福する客席からの歓声を受けて、演奏が一度中断し舞台もまた回転を一瞬止めるシーンだった。

 


イタリアオペラ、とくにヴェルディはどうにも“自分の感性にあまりそぐわない”音楽なのだけれど、それでも舞台が進むにつれ引き込まれてしまう。ネトレプコの特に第4幕での歌と演技は、まさに当代一流のソプラノ歌手面目躍如だったし、マンリーコ役のヨンフン・リーは東洋人(韓国)なのだけれど、なぜか役どころにぴったりの顔つきで声の張りも申し分なし。

 


いつもメットライブビューイングを見ると思うのだけれど、会場で生の演奏を見ている観客が本当にうらやましくなる。いつか本場メトロポリタンオペラをニューヨークで見てみたい。

 


ところで入場の際にいつものタイムスケジュールと一緒にネトレプコ来日ソロ公演(愛知芸術劇場)のチラシを手渡された。東京フィルがバックを務め、テノール歌手が協演するにしても、S席の金額 38,000円はすごいなあ。


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