20191031日 ケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団 サントリーホール

 

サントリーホール

2C611

 

指揮            :ケント・ナガノ

ピアノ          :辻井 伸行

 

ベートーベン    :『エグモント』序曲

リスト          :ピアノ協奏曲第1

―アンコール    リスト  :ラ・カンパネラ

  休憩

マーラー        :交響曲第5番 

      ―アンコール    リゲティ:コンチェルト・ロマネスク第4楽章

 
金曜日の東京オフィスでの会議に合わせて、今夜のケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団と翌日のラザレフ・日フィルのサントリー定期を聴くことに。

ズンッとくるような音圧を想像して身構えるようにして聴き始めた “エグモント” の冒頭、特段に暗くも重厚でもない響きに一瞬とまどった。ケント・ナガノの指示、解釈によるものなのか最大でもフルパワーの8割程度までに抑制したなかでの演奏に収まっている感じ。

 

後半のマーラー5番でも弦はさほど厚みと音量を伴わないし、トランペットの耳をつんざくような閃光やホルンの咆哮、ティンパニの激しい打ち込みといった5番の聴かせどころも、特段に際立たせることが無い。終楽章など、もっと煽るくらいでないとこの曲は面白くないのだけどな。それでも、やはり(というか、当たり前に)肝である冒頭トランペットと第3楽章ホルンのソロは上手い。

 

辻井伸行のピアノを聴くのは2015年のゲルギエフ・ミュンヘンフィルの来日公演(大阪フェスティバルホール)での皇帝協奏曲以来、二度目。最もチケットが売れる日本人ピアニストとして、関西では彼が協奏曲を弾く演奏会のチラシ広告ばかりがやたらと目にとまるけど、大概、集客のより期待できる週末の土・日曜日で、私としてはなかなか聴く機会が得られない。隙のない完璧なテクニックと、音楽の自然な流れは4年前の記憶と同じ。ヴィルトゥオーソな作品よりも、ショパンやモーツァルトをたっぷりと聴いてみたいものだ。

 

アンコールにリゲティのコンチェルト・ロマネスク第4楽章を、そして辻井伸行のピアノソロでラ・カンパネラが聴けて満足の一夜。マーラーの5番がかなり時間をかけた演奏だったこともあり、終演は930分過ぎ。

 
20191031_ケントナガノ_ハンブルク響