2019年9月27日 大阪フィルハーモニー第531回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

定期会員席

 

指揮            : ハインツ・ホリガー

 

ラヴェル        :組曲『マ・メール・ロワ』

ホリガー        :エリス(ピアノ独奏版)

                 エリス(管弦楽版:日本初演)

ラヴェル        :ラ・ヴァルス

 

シューベルト    :アンダンテ ロ短調D936A R・モーゼル編

シューベルト    :交響曲第7番 ロ短調 D759 『未完成』

 

ハインツ・ホリガーに接するのは、4年前のいずみホールでの室内楽コンサート以来。今回はオーボエ奏者としてではなく指揮者、作曲者、そしてピアニストと多才ぶりを実感させる演奏会。八十路ともなれば、歳を重ねるごとに老いを感じさせようものなのに、舞台の最下手(2台のハープのさらに奥)に置かれた“エリス”のピアノ独奏のあと、一部客席からの拍手を制しながら指揮台に小走りにむかっていったのだから、なんとも矍鑠としたもの。

 

ラ・ヴァルスは指揮者の技量とオケの実力によって、魅力的な名演にも味気ない凡演にもなってしまう、大変難儀な作品なのだろうと思う。今の大阪フィルは、かつてのとっ散らしたような雑な演奏が茶飯だった時代から大きく進化していて、今夜も色彩にとんだラヴェルを聴かせてくれた。ほんと尾高忠明就任以降、“定期初日はゲネプロだから…" とあきらめるようなことが全く無い。一大阪フィルファンとして嬉しい限り。

 

後プロのシューベルトは編成を12型に縮小。第1楽章第二主題提示の後に置かれた、深く息を止めるパウゼ、そして直後の激しい追い込みの息詰まるような緊迫感が素晴らしい。特に再現部3度目のパウゼの際、前半2回よりもさらに深く溜めを作るホリガーを受けて、崔文洙(この9月からソロ・コンサートマスターに就任)が彼独特の大きなモーションとともに弾きだすのをオケ全員が一瞬待ってテュッティの頭を合わせる様は、まさにオーケストラ実演を聴く醍醐味。昨日のベートーベン7番で熱狂的なブラボーではなく、静かな余韻とともに終わる演奏会もいいものだ。

 
20190927_大阪フィル_531回定期