2019年7月5日 エリアフ・インバル ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 三重文化会館
三重文化会館大ホール
1階18列9番
エリアフ・インバル指揮
ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団
ピアノ : アリス=紗良・オット
モーツァルト : ピアノ協奏曲第21番 ハ長調
―― アンコール ショパン ワルツ 第19番イ短調
マーラー : 交響曲第5番 嬰ハ短調
指揮者とオーケストラの良好な関係はその演奏に現れるものらしい。先週のザンデルリンクとドレスデン・フィルに続いて、インバルとベルリン・コンツェルトハウス管の成熟した関係が導く成果物としてのマーラー演奏を聴いて、あらためてその思いを強くした。インバルの実演をさほど聴いてきたわけではないけど、それでも幾度となく録音で聴いてきた彼のマーラーとは、やはりだいぶ違う。ディテールに徹底的にこだわりながらも極度なディナーミクやこけおどしといった虚飾がない。全曲を通して、インバルの棒にオーケストラが見事に応えている。比較的普通に感じたのは第1楽章のみ。その後は、とにかく関心したり、おおっそうくるかとニヤッとしたり、ハッとさせられたり。実に聴きごたえがあった。
初めて訪れた三重文化会館大ホールはシューボックス型でありながら、キャパが1,900人と大きく、天井を高くしすぎたためか意外に響きが薄い。座った平土間1階のほぼ中央列の席では低域から高域までフラットにきこえるものの、ステージから音が飛んでこない。モーツァルトのPコンを聴くには器が大きすぎる。マーラーも、さすがに芸文コベルコホールにようにステージ上の空間で鳴っている音を求めて意識して聴きにいくようなことも、京都コンサートホールのように頭上から後方に音の塊りが消えていくようなことはないにしても、フルオーケストラの大音響に身を浸す快感は得られなかった。
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