2019年7月4日 アンドレイ・ガヴリーロフ ピアノリサイタル ザ・フェニックスホール
ザ・フェニックスホール
2階AA列15番
ピアノ : アンドレイ・ガヴリーロフ
シューマン :蝶々 OP.2
シューマン :交響的練習曲 OP.13
ムソルグスキー :組曲『展覧会の絵』
―アンコール ショパン :ノクターン第4番 OP15-1
プロコフィエフ :四つの小品 OP4 より“悪魔的暗示”
アンドレイ・ガヴリーロフは半世紀も前にチャイコフスキー国際コンクールを若干18歳で優勝したらしい。それ以降のキャリアは詳しくは知らないし、まったくもって興味もわかない。少なくともフェニックスホールで聴いた演奏は、あまりにも粗暴で品のない暴演(爆演ではない)。このピアニストの演奏をもう二度と聴きたいとは思わない。
第一曲目“蝶々”を聴いていて感じた強烈な違和感(変わった節回しや、一部の声部を強調させた不思議な響き)も、このピアノストの持つ個性だろうと肯定的に捉えていた。ところが交響的練習曲での“ピアノをぶっ壊そうとしているのではないか”とすら思えてしまうような破壊的な打鍵(エチュード第10番の最後など、信じられないことにスタンウェイを数センチも前に突き押してしまう)に唖然としながらも、演奏自体は荒っぽくむちゃくちゃだし、ペタルを踏みっぱなしのために音は濁りまくりで、大いに首を傾げてしまった。
ジャズアレンジでもしだしたのかと思わせるようなプロムナードで始まった“展覧会の絵"に至っては、ただ見世物として面白いだけで音楽的には完全に破綻してしまっている。“このピアニスト(かつては知らず)恐らく楽譜に忠実な演奏は(もはや)できないにちがいない…。”“彼の弾くバッハもショパンも、絶対に聴きたくはない。”と思いながら、悲しく不愉快な気分にさせられた演奏をどうにか聴き終えたところで、アンコールはなんとショパン、それもよりによって大好きなノクターン4番を弾きだした。あのショパン演奏は私の美学には全くそぐわない。
それでも終演後は多くのスタンディングオベーションが送られ、本人もご満悦でピースサインをしてステージを降りて行ったのだから、私の感性が他とは少し違うのだろう。
コメント
コメント一覧 (1)
全てがロックなんですよねえ。ギトリスと通じるものがある。全力で生きてる表現がすごい。既成概念をぶち壊したピカソ、岡本太郎みたいな感じ。