2019年6月8日 デュトワ指揮大阪フィルハーモニー リヒャルト・シュトラウス 『サロメ』
フェスティバルホール
2階3列29番
指揮 : シャルル・デュトワ
サロメ : リカルダ・メルベート(ソプラノ)
ヘロデ : 福井 敬(テノール)
ヘロディアス : 加納 悦子(メゾ・ソプラノ)
ヨナカーン : 友清 崇(バリトン)
デュトワがサロメを振る。こんな大イベント、聴き逃すわけにはいかない。
幸いにして〝サロメ”は登場人物が多い割に比較的単純なストーリー展開の作品。要所でステージ上部に表示された字幕に目をやる程度にして、極力、聞こえてくる音に集中してリヒャルト・シュトラウスの音楽を、そしてデュトアの指揮を堪能した。かつて幾度となくガッカリな演奏を聴かされてきた大阪フィルの、あまりにハイレベルな演奏に大変満足。聴き終わった直後〝あ~そうだった、これ大阪フィルだったんだ”とおもわず声に出してしまった。
場面転換の音楽や、全曲のなかでも異質な音楽〝7つのヴェールの踊り”の、ここぞとばかりにオケを操るデュトワに応えた大阪フィルが見事だったのは勿論のこと、全曲を通じてテキストにそって緻密に描かれた音楽を、時に艶めかしく妖艶に、また時に冷酷にと描き分けたデュトワの手腕は、まったく凄いとしか言いようがない。2週間前のフレンチ・プログラムの定期、そして今回のサロメの体験を通じて〝偉大な指揮者は、オーケストラの音を変えることができるのだ”と、改めて実感した。
4菅16型フル編成のオーケストラの大音量をものともせず長い最後のモノローグを歌ったタイトル・ロールのリカルダ・メルベートだけでなく、福井敬のヘデロ、加納悦子のヘロディアス、そして友清崇のヨナカーンと、日本人の主要役も負けず劣らずで、今回の公演の完成度・満足度を大いに押し上げた。でも天井に吊るされたスピーカーからのヨナカーン(地下牢)のエコーを効かせた声が舞台上の歌手の生声よりも大きいのは明らかにPA調整の失敗。
コメント
コメント一覧 (2)
福井敬さんの明るさと艶やかさを持った声は、はじめの頃はこういったヘロデもありだな、と思いながら聴いていたのですが、最後の語りはさすがの貫禄でした。来週のフェニックスホールでのリサイタルが楽しみです。