20181128日 大阪フィルハーモニー第523回定期演奏会 2日目

 

フェスティバルホール

26

 

指揮            : 小泉 和裕

 

モーツァルト            : 歌劇『魔笛』序曲

ヒンデミット            : 交響曲『画家マティス』

シューマン              : 交響曲第2番 ハ長調

 

指揮台上のパフォーマンスも含め、溜めたり煽ったりといった外面的な華々しさで面白く聴かせる指揮者が人気を得がちなのに対して、小泉和裕の指揮姿はとにかく地味。『東海林太郎のような・・・』との終演後にホワイエで耳にした形容も、失礼ながらも思わず “言いえて妙” と苦笑してしまった。たしかに見た目は祝祭的な作品には向かないし、直立不動の指揮姿から引き出される音楽も抑制的で地味に感じてしまいかねない。でも『画家マティス』を過度な圧迫感を避けて雑な音楽に陥ることなく整然とまとめたのも、シューマンの交響曲をフレーズ単位で各セクションの音量バランスをコントロールすることで、音の団子状態に陥ることなく全曲を通したのも、まちがいなく小泉和裕の実力によるものだと思う。交響曲第2番の終楽章フィナーレに至ってもトロンボーンに強奏を求めなかったところなどは、まさに小泉和裕美学の象徴ではないか。演奏後のオケメンバーから指揮者への賛辞も、儀礼的なパフォーマンスではなく、小泉和裕を心から讃えていたようだった。

 

序曲を次曲ヒンデミットと同じ弦16型であえて演奏したのも、交響曲『画家マティス』に向けた合奏イメージを継続させたかったから? まさかね。初日よりも強奏箇所での濁りは薄れたものの、歌劇『魔笛』序曲は半分の編成で良い。

 
大阪フィル_523回定期