2017714日 バーンスタイン 『ミサ』

 

フェスティバルホール

21

 

総監督・指揮・演出: 井上 道義

 

バリトン        : 大山大輔

ボーイソプラノ  : 込山直樹

 

小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣、野田千恵子、幣真千子、森山京子、後藤万有美、藤木大地、古橋郷平、鈴木俊介、又吉秀樹、村上公太、加耒徹、久保和範、与那城 敬、ジョン・ハオ

管弦楽          :大阪フィルハーモニー交響楽団

合唱            :大阪フィルハーモニー合唱団

児童合唱        :キッズコールOSAKA
バレエ          :堀内充バレエプロジェクト/大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース

助演            :孫高宏、三坂賢二郎(兵庫県立ピッコロ劇団)

 

連続休暇を取り、この演奏会の翌日から8日間ほど妻を連れ立って美瑛・富良野を中心に北の大地・北海道の夏を満喫してきた。さわやかな好天に恵まれた北海道から一転、大阪の夏は暑い。しかもここ数日、気温30度を軽く超えているにも関わらず、勤務先のオフィス窓越しからみる大阪の空は霞がかかったようで、不快な蒸し暑さが窓越しにも伝わってくる。旅の基点となった札幌市内ではちょうどPMFの期間中で、JR札幌駅前からススキノにかけて街を散策するといたるところにPMFのポスターが貼られてる。う~ん、シマッタ。もっと早くに気づけば日程を調整してキタラ・コンサートホールでPMFコンサートが聴けたのに。

 

さて、毎度のように演奏会からまたも日数を置いてしまった。とにかく、自身の記憶のためにもとにかく日記として書き留めないといけない。席は販売開始早々に購入した2階最前列ど真中、想定どおりこの作品を鑑賞するにはベストの選択だったはず。舞台全体を俯瞰できるうえに、十字架を利用した字幕表示との目線移動も少なくストレスが無い。そうはいってもピットを使用してのステージは、いつものオーケストラコンサートよりは少々遠め。

 

9月のレ・ミゼラブル観劇の際にも使うだろうからとロビーで購入したオペラグラスから覗くと、歌手が左頬にマイクをつけて歌っているし、下手花道からマーチングしながら入場してきた木管パートの編成やピット内の弦楽器群を見ると、どうにもクラシック音楽の通常編成とはかなり異なっていかにもミュージカルの生オケの体だったりで、実際のところ1時間経過した前半までは、この“作品”を如何とらえてよいか困惑してしまった。

 

かなり長く続いた“戸惑い”が一掃されたのは、大山大輔演じる司祭が狂乱の後に舞台から去り、もう一人の主役、ボーイソプラノの込山直樹が長い滑り台から登場してからのこと。それまで和訳歌詞を目で追っていた字幕表示板がステージの上に静かに引き上げられてから終幕までの、純然たる音楽による魂の昇華と見事なステージ演出は衝撃的な感動を受けた。字幕表示板の引き上げは“さあ、ここから先は言葉は不要なり、この純粋無垢な調べに耳を傾けよ!”との総監督井上道義の無言のメッセージだったに違いない。

 

全員暗譜で歌った大阪フィル合唱団と児童合唱、練りに練ったステージ進行、PAと生音との見事なバランス、そして奇跡的な(とあえて表現する)ボーイソプラノ。。。フェスティバルホールという最適な器も含めて、この歴史的な上演が首都東京ではなく大阪で行われたことに感謝したい。

 
バーンスタイン_ミサ_20170714


以前の大フィル定期会場で掲示されていた“井上道義直筆、舞台イメージ図”
実演もほぼ、これと同じ。
大きな違いは、下手の木管群の編成がずっと軽減さえていたことくらいか。

バーンスタイン_ミサ