201764日 山田和樹・日本フィルハーモニー マーラーツィクルス第8回 一千人の交響曲 2日目

 

オーチャード・ホール

1

 

武満 徹 : 星・鳥(スター・アイル)

マーラー : 交響曲第8番「一千人の交響曲」

 

指揮 : 山田 和樹

 

ソプラノ1 罪深き女             : 林 正子

ソプラノ2 懺悔する女           : 田崎 尚美

ソプラノ 栄光の聖母            : 小林 沙羅

アルト1 サマリアの女          : 清水 華澄

アルト2 エジプトのマリア       : 高橋 華子

テノール マリア崇敬の博士      : 西村 悟

バリトン 法悦の教父            : 小森 輝彦

バス 瞑想する教父              : 妻屋 秀和

 

1コーラス    武蔵野合唱団

第2コーラス    栗友会合唱団

自動合唱        東京少年少女合唱隊

 

初日のブログでホールを酷評したきりで演奏についてまったく触れなかったのは、その日の演奏のあまりの “つまらなさ” をどう捉えてよいか困ってしまったから。残念ながら2日目を聴いてその “つまらなさ” を追体験してしまった。耳に聞こえてくる400人超による音の迫力に圧倒されながらも、3月の広上淳一、京都市交響楽団の演奏が如何に名演だったかを思い知らされてしまった。具体的にどうだったか…う〜ん、困った。決して凡演などではないけど、日フィルの決して精度の高いとは言えない演奏もあり、なんらインスピレーションも得られない、ただただ普通の演奏だったということか。

 

山田和樹の指揮はいまから5年ほど前に大阪フィルのシンフォニーホール定期で聴いている。前半にシュテファン・ドールをソリストに迎えた珍しいグリエールのホルン協奏曲と初演されたばかりの日本人作曲家の作品、そしてブザンソンコンクールの課題曲でもあった“幻想交響曲”をプログラムにしたもので、いつもの通り初日を1階の定期会員席で、そして2日目は彼の若々しくも自信に満ちた指揮ぶりを真正面のオルガン席W列から目の当たりした。ブザンソン優勝直後に大阪フィルがオファーしたのだろうか、もしかするとギャラは山田和樹よりもシュテファン・ドールの方が高かったのかも?(さすがにそれはないか・・・)。幻想交響曲での見事なオーケストラ掌握に感嘆するとともに若干33歳にして早くも感じされる“風格”に恐れ入った記憶がある。私が身をおくビジネスの世界でもファスト・トラックは当たり前のことであるけど、まさに山田和樹は指揮者の世界においてオン・ア・ファスト・トラックであることは間違いない。その後の昇竜の勢いを思えば、もう大阪フィルの定期には迎えることの出来ない存在になってしまった。曲のエンディング、3階バルコニーのバンダに向かって両手を振り上げる姿は、録画でみる若かりし頃の小澤 征爾にそっくりではないか。

 

“一千人の交響曲”は昨年のサントリーホールでのハーディング・新日フィル(第560回定期)演奏会が、学生時代に聴いた上野文化会館での日本フィル創立25周年記念演奏会から35年ぶりの実演だったけど、それからなんと一年足らずで都合4回も生演奏を聴くことができた。東京に居を移さない限りもう実演を聴く機会が無いだろう。

 

 日本フィル_山田和樹2_20170604