2017426日 大阪フィルハーモニー第507回定期演奏会 2日目

 

フェスティバルホール

21列目

 

ベートーベン: 交響曲第7番 イ長調

オルフ:世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』

 

指揮:   大植 英次

ソプラノ: 森 麻季

テノール: 藤木 大地

バリトン: 与那城 敬

大阪フィルハーモニー合唱団

大阪すみよし少年少女合唱団

 

演奏会日記のアップをかなりサボっていました。414日の広響から429日の関フィル定期まで、7つの演奏会を一気にアップします。

 

24曲、オーケストラと合唱による『運命の女神を讃える音楽』が歓喜の頂点に達した瞬間、ティンパニの一撃と共に曲冒頭『おお、運命の女神よ』のニ短調が再帰するところは、“さあ、くるぞ”と身構えていても、脳天を突かれたような衝撃をうける。いったい古今東西の音楽において、長調による音楽が次第に高揚していった果てに、一転最強奏による短調が鳴り渡る、こんな音楽があるのだろうか。(ハイドン天地創造で短調のカオスから突然、長和音が鳴り響く“光あれ”の劇的な音楽展開とは真逆)。しかも天国的快楽から悲劇のどん底に突き落とされるのではなく、なんだか原始的で人間の本能に訴えかけるような響きとリズムに時空をこえてわが身を瞬間移動させられたような錯覚すら覚える。特にこの日(2日目)の演奏は、終演と同時に体の芯が火照ったような不思議な感覚にとらわれた。こんな体験のできる作品は、これ以外に思いつかない。

 

どうやら大植英次は昨日のカルミナ・ブラーナの演奏で“ここまで踏み込める”といった確信のようなものを懐いたのだろうか。さすがに全曲70分あまりの大曲なので具体的にどこそことは覚えきれないけど、明らかに昨日よりかなりの箇所でテンポの変化をかけていた。それは単に部分的な躍動感をもたらすのではなく、全体の進行に緩急とスリリングな興奮をもたらす知的なものだった。合唱もピッチが昨日に比べてさらに安定していたこともあり、2日続けて聴いても、まったく退屈することなく楽しめた。

 

なお前半のベートーベンは、昨日は取り憑かれたかのような演奏姿を見せていたオーケストラが、今日は一転して指揮者に距離を置いたように感じたのはなぜだろう。少なくとも終楽章での大植英次は、的確に各パートにキューを出していた(ように見えた)昨日と異なり、とにかく音楽の進行にあわせて右に左に腕を振り回したり突き出したりしているだけで、まるで踊っているようにしか見えない(オーケストラは指揮を無視して突っ走っているようだ)。

 
大阪フィル_第507回定期