2017217日 大阪フィルハーモニー第505回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

1階 定期会員席

 

ショスタコーヴィチ: 交響曲第11番 ト短調『1905年』

ショスタコーヴィチ: 交響曲第12番 ニ短調『1917年』

 

指揮:井上 道義

 

まったくなんて挑戦的なプログラムなことか。重量級の11番と12番を連続して(たとえ20分の休憩を挟んだにしても)演奏するなんて普通の指揮者では思いつかないだろうし、きっとオケか事務局からダメだしが出そう。おそらく一年前に年間定期プログラムを構成する時点では今期末退任は想定外だったにせよ、首席指揮者を3年勤め上げた井上道義の強烈な思いが十分に伝わった迫真の演奏だった。12番エンディングの後、いつものようにタクトを下ろしたあとすぐに客席に向かって振り返り やったぞ~と叫んだようだったけど(口元をみてそう思った)、聴いているほうも おう、やりきったなぁ!” と心の中で叫び返してしまった。

 

11番は弦アンサンブルがすばらしい。曲冒頭、宮廷前広場のテーマがヴァイオリンに続いて中低音パートをほんの一瞬の間をおいて重ねていくことで生まれる空虚な響きの見事なこと。先日の “Enjoyオーケストラを振った角田鋼亮との指揮者としての格の違いをまざまざと気づかされる。ただし第3楽章練習番号99からヴィオラがトゥッティで革命歌 同士は倒れぬを歌うところでは、このオケの限界を露呈してしまった感もある。前後のプルトで意識が統一されきっていないので、旋律の扱いが一致しておらず一本の線にならない。ビブラートの強さとタイミングのズレはかなり問題で、日ごろから撫でるように弾く後ろの奏者は拍の頭からビブラートをかけているのに対してトップ2名が拍の後半で思いっきりビブラートをかけて揺らすと音が一気に濁ってしまう。明日の2日目はこの箇所がどの程度修正されてくるのだろうか?

 

後半の12番は大フィルサウンドの魅力全開。チェロとベースに支えられた分厚く重い弦。前半で降りていた実力ある首席がトップを担ったブラスセクションも非常に充実。最終楽章のコーダ、連続した3/44/5が挟まったリズム進行は、やはり実演で聴くと歓喜などではない不思議な高揚感に見舞われる。両曲ともCDの廉価販売が始まった15年ほど前に複数の交響曲全集を買い集めて一気聴きして以来だけど、11番2楽章の銃乱射の惨劇の描写の箇所など、たとえばロジェストヴェンスキーのような演奏を聴かされたとしたら、とてもじゃないけど立て続けに12番を聴くことなど出来ないだろう。やはり11番と12番を一夜で演奏するなんて今の井上道義と大阪フィルでしか出来ない。

 

7月のバーンスタイン“ミサ曲”の井上道義直筆の舞台イメージ図がロビーに展示してあった。オーケストラの大部分がピットに入るみたいだ。どうやら2階最前列の席を購入して正解だったみたい。



大阪フィル_定期505回

大阪フィル_バーンスタイン_ミサ曲