2017111日 オーケストラ・アンサンブル金沢 ニューイヤーコンサート2017 いずみホール

 

いずみホール

2階 RA

 

ヴィヴァルディ: セレナータ「祝福されたセータ」よりシンフォニア RV693

ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲 ト短調 Op3-3 RV310

ヘンデル: オラトリオ「時そして覚醒の勝利」より“神によって選ばれた天の使者よ”

ヘンデル: 王宮の花火の音楽 HMV351

モーツァルト: モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」 K165

―― アンコール  ヘンデル :オペラ「リナルド」から“私を泣かせてください” 

モーツアルト: 交響曲 第35番 ニ長調 K385 「ハフナー」 

 

指揮とVnエンリコ・オノフリ

ソプラノ: 森 麻季

 

この団体のコンサートプログラミングへの真摯な取り組みが満ち溢れた内容と、期待通りのすばらしい演奏の連続で、これぞ新年聴き始めにふさわしいコンサート。確かにチケット代はちょっと高めだけど、指揮者のオノフリや森麻季を思えば“ウィーン”を冠にした(だけの?)演奏会やら、毎年のルーチンワーク“新世界交響曲を聴きにいくよりずっと価値がある。自席の2階バルコニーから眺めると、わずか300人ほどの入りで定員821人のホールにしては大変寂しい入り。関西の音楽愛好家の皆さん、もったいない限りですよ。

 

じつは入場してプログラムを見るまで、指揮者であり最初2曲のソリストも勤めたエンリコ・オノフリがイル・ジャルディーノ・アルモニコのソロ・ヴァイオリニストだったことを知らなかった。森麻季がソプラノソロを歌った2曲以外は、CDで聴くイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏を思い出させる鮮烈なサウンド・アプローチで、それは最終曲のモーツアルトのハフナー交響曲まで首尾一貫していて抜群に面白い。交響曲のメヌエット楽章など、もはや“舞曲”だし、開始楽章と終楽章はチェンバロを華やかに加えていて、いままで聞いてきたどのモーツアルトのシンフォニーとも違った演奏スタイルで、とにかく新鮮に聴かせてくれた。 

 

―― イル・ジャルディーノ・アルモニコといえば・・・・

『四季』は“フェリックス・アーヨのイ・ムジチ”とカラヤン旧盤(林檎が四つ並んだジャケットのLP)ばかりだった30年近くも昔に、ビオンディのCDと前後してイル・ジャルディーノ・アルモニコの新譜CDを聴いたとき衝撃は忘れられない。彼らの演奏を聴いて“バロック音楽とは、既存の枠からどれだけ自由でいるか”なのだと教えられた。―ー

 

麻季のソプラノソロは、プログラム・プロフィールに“コロラトゥーラの類稀なる技術、透明感のある美声と深い音楽性”と紹介されているけど、今日の演奏は、まさのそのとおり。後半の技巧を聴かせたモテットもすばらしかったけど、美声を完璧にコントロールさせた“神によって選ばれた天の使者よ”には、心震わされた。

 

ヘンデルの“王宮の花火の音楽”は、元NHKトランペット主席の関山幸弘による輝かしい音色のピッコロトランペットと、こちらもエキストラ奏者によるバロックティンパニをうまくフィーチャーした、いさかか狂ったかのように騒々しいまでのテンポとダイナミズムに満ちた演奏。 ピッコロトランペットは“さすが、N響主席だなあ” と思っていたのだけど、週末にNHKホールで聴いたN響定期で配布されたパンフレットのメンバーリストに氏の名前が無い (この日記は、N響定期の翌日14日に東京の宿泊先ホテルで書いている)。“個性的な髪型をしたこんなにうまいラッパ吹きはそうそう他にはいないでしょ?と首をかしげたけど、どうやら先日N響を定年退職されフリーランスになられたようでした。

 

昨日13日のN響定期をブログに書きとめなきゃいけないけど、これからホテルを出て、午後2時からすみだトリフォニー・ホールの日フィル、夕方6時からサントリー・ホールで東響の定期と“演奏会のはしご”をしたあと、明日(15日)のシンフォニー・ホールでチェ・ソンジンのピアノリサイタルを聴きに最終の新幹線で大阪に戻らないといけない。16日(月)の朝から東京で会議があるので、明日は夜のうちに再度、東京入りしないといけないのだけど、この週末は今年最大の寒波到来中で、はたして無事に新幹線で移動できるか心配。

 
オーケストラアンサンブル金沢_2017