20161126日 関西フィルハーモニー いずみホールシリーズ Vol.41

 

いずみホール

1B列中央 

 

ベートーベン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調

ベートーベン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調

―アンコール  ベートーベン ピアノソナタ第1番 第3楽章“メヌエット”  

ベートーベン:交響曲第1番 ハ長調

―アンコール  ビゼー:アルルの女第1組曲“アダージェット”

 

指揮:オーギュスタン・デュメイ

ピアノ: 小林 海都

 

ベートーベンのVnソナタ、Pコン、シンフォニーそれぞれ第1番を並べた上に、さらにピアノ奏者のアンコールもソナタ第1番から第3楽章が演奏された。その時点ですでに2時間を5分ほど過ぎていたけど、さらにアンコールでビゼーの“アダージェット”まで演奏する盛り沢山な内容。このアンコールはもともとデュメイが体調不良でカチェン・ウォンが代役指揮した前回Vol.40にデュメイ自身が予定していたものでしょうね。

 

最前列に人を入れていないので、B列は事実上の最前列。いずみホールはもともと中型ホールとしては最高に音響に優れているうえに最前列でもステージから少し距離があるので、ステージ前方のVnでも豊潤な間接音(所謂ホールトーン)を伴って聞えるので、B列中央は今日のような編成を聴くときには、迫力とバランスの両面が満たされる最良席。一曲目のソナタを弾くデュメイの深い息づかいがはっきりと聞きとれる。

 

ソナタの演奏は深い息づかいとともに、立ち上がり音のエッジをきかせた緊迫感さえ感じさせる大変に追い込んだような演奏。CDで聴くマリア・ピリシュとの演奏(2001年)では、モーツアルト弾きとして高く評価されているピリシュのピアノとの大変に調和のとれた演奏だけど、今夜は現在のデュメイの求める表現を若手の小林海都に求めたかのよう。実際、緊迫感をはらんだ追い込むような演奏は、次の小林海都がソロを弾くコンチェルトでも、そして第1交響曲でも一貫していた。交響曲終楽章のコーダに突入するところなど、出だしの2nd Vnがちょっとアタフタするくらいに前のめりにオーケストラをドライブさせた。

 

ところでデュメイが指揮をする時の呼吸は、ソロを弾くときの息づかいと大きくつながっている。デュメイって以前からあんなに大きな息づかいで演奏してたのだろうか?それとも指揮者としてキャリアを積み始めてから、変わってきたのだろうか? とにかく大満足な演奏会だった。

 

1年後の1123日のデュメイ指揮の第288回定期(場所はシンフォニーホール)は大変魅力的なプログラムが用意されている。

  フランク:Vnソナタ(伴奏:横山幸雄)

  サンサーンス:第2Pコン(ピアノソロ:横山幸雄)

  ベルリオーズ:序曲“ローマの謝肉祭”

  デュカス:序曲“魔法使いの弟子”

1曲目で、横山幸雄と共にフランクのソナタを弾く…きっと深い深い息づかいで....これは聞き逃せない!

 
関フィル_いずみVOL41_20161126