2016年10月28日 日本センチュリー交響楽団 第212定期 1日目
大阪ザ・シンフォニーホール
2階LLD席
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
―アンコール スカルラッティ ピアノソナタヘ短調 L118
プロコフィエフ:アレクサンドル・ネフスキー 作品78
指揮:アラン・ビリバエフ
ピアノ:エフゲニー・スドビン
メゾ・ソプラノ: 小山由美
合唱:大阪センチュリー合唱団・大阪音楽大学合唱団
エフゲニー・スドビンをネットで検索すると、“21世紀の最も才能あるピアニストの一人”とか“巨匠への道を歩む運命の無名演奏家(意味不明ですね)”とかいろいろと評されているけど、本当のそうなのだろうか、と言うのが率直な印象。ピアノから近距離の3階バルコニーの自席からは、音がとにかくとても濁って聴こえる。どのような理由かは皆目わからないけど、常々“濁りの無いタッチで・・・”などといったピアノ演奏評を見て、音の濁りってなんぞや?と思っていたのだけど、今夜逆説的にその表現が腑に落ちた次第。演奏自体はミスタッチをものともしない前がかりなピアニストにオケが合わせるのに苦慮しっぱなしといった感じで、序奏部のピアノとオーケストラの掛け合いの箇所では“これからどうなることか”と思うほど危うかったけど、とにかく巧みなビリバエフの指揮で最後まで乗り切った感じ。
プロコフィエフのカンタータは、もちろん初耳だけど、大変聴きごたえのある面白い曲だった。音大の学生が2/3近くを占めた合唱もしっかりしていたけど、なによりビリバエフの指揮が上手い。いい指揮者ですね。首都圏のオーケストラにも呼ばれても良いのに、と思います。
それにしても客席のさみしいこと。ホール全体を俯瞰できる自席から数えたところ精々550人程度で1704人定員の1/3程度の入り。これがハイシーズン10月の定期演奏会というのでは、マネジメントとしては大いに問題ありということでしょう。たとえば昨年のフェスティバルホールでの4大オーケストラの響演で、“今、一番やりたい曲”としてプログラムにサンサーンスのオルガン交響曲をもってくる頓珍漢さ(中型オケがパイプオルガンの無い巨大ホールでやる曲ではないでしょう)を思っても、このオーケストラはなんだか自らの“あるべき姿”を誤って思い描いているように思えてならない。やはりこの団体は、高度なアンサンブルを目指した12型2菅に徹してこそ存在意義があると思うのだけど・・・。
コメント
コメント一覧 (2)
プロコフィエフは、とても良かったです。小山さんが出てこられてからはさらに曲が締まりました。力量をこちらに置きすぎ。センチュリーは最近、良い演奏会がつづいていただけに、本当に残念至極でした。
音楽の感じ方は人それぞれだとしても、いつも辛口のブログを記すときは少々の“おもいっきり”がいるものです。なにせコンチェルト終了後、二階席からブラボー(いつもの“ブラボー屋さん”かもしれませんが。。。)が飛んでおりましたし、多くの方が盛んに拍手をおくっていらっしゃいましたので、コメントを拝読して私と同じようなご感想を持たれた方がいらっしゃったんだと思うと、なんだか“そうだよなぁ、そうだったよなぁ・・・”とちょっと得心しながら、その日の演奏を改めて振り返ってしまいます。
実は、アンコールで演奏された曲がスカルラッティのソナタだったとは、終演後に出口で貼りだされた紙を見るまで気が付きませんでした。日頃チェンバロ演奏のCDを聴きなれていることもありますが、あのような様式美も上品さも感じさせない演奏は私の感性には合いません。その二日後に同じホールで内田光子がアンコールで演奏したスカルラッティの素晴らしかったことを思うとなおさらです。