201667日 ギドン・クレーメル ルカ・ドゥバルグ デュオ・リサイタル

 


サントリーホール

P

 


ラベル: ヴァイオリン・ソナタ ト長調

ラベル: 夜のガスパール 

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5

フランク:ヴァイオリン・ソナタイ長調

  ――アンコール  イザイ:子供の夢

 


ヴァイオリン:ギドン・クレーメル

ピアノ: ルカ・ドゥバルグ

 


地下鉄乗継を誤り マタイ受難曲の開演に間に合わなかった今年3月の経験を踏まえ、早々にサントリーホールに到着し自席についてホールを見渡してみると、精々半分程度の席が埋まっている程度です。バッハの“無伴奏ソナタとパルティータ”(Philipsの旧録音盤)やら、アルゲリッチ・マイスキーとの世紀の共演と話題になったチャイコフスキーのPトリオやら、シュニトケ版カデンツァ付のベートーベンの協奏曲などなど、新録音がリリースされるたびに欠かさず買い求めていた地方在住の私にとって、クレーメルの演奏はジャケット写真の神経質そうな風貌とともに当代一流のヴァイオリニストの一人として鮮烈にイメージされており、当然のごとく今夜の演奏会は満席に違いないと思い込んでいただけに大いに拍子抜けです。クレーメルはクラシック音楽マーケットではすでに過去の人になりつつあるのか、と妙にさみしさを感じてしまいます。

 


ステージ背面のP席最上段で聴くアンサンブルは、間接音中心のふくよかなホールトーンで、かつて盛んに買い集めたERATO盤を聴いているような感じがして、それはそれで心地良かったのですが、いつしか“ダイナミズムや技巧に満ちた”などという表現からは離れた、それこそ無伴奏ソナタとパルティータのジャケット写真そのままの神経質そうな風貌そのままの演奏であることに気付かされます。とくにフランクのソナタの、決して朗々と旋律を歌い上げるようなことの無い、無慈悲さを漂わせた演奏は、まさに私が今までレコードで聴いてきたクレーメルのヴァイオリンでした。

 


しかしなによりも新進気鋭の天才ピアニスト、ルカ・ドゥバルグの演奏を聴くことができたことが今夜の一番の収穫かもしれません。プログラムに記されたプロフィールには驚かされます。世の中には彼のようにgiftetnessを得た人物がいるのですね。


クレーメル_ドゥバルグ