201627日 広島交響楽団 福山第22回定期演奏会

 


福山リーデンローズ

1階R2910

 


チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー: 交響曲第6番「悲愴」

-----アンコール----  チャイコフスキー: 歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ

 


指揮:小泉和裕

ヴァイオリン:木嶋真優

 


妻を誘って福山芸術文化ホールのリーデンローズで行われた広島交響楽団の福山定期演奏会を聴く。広響の演奏を聴いたのは今回が初めてだったけど、なかなかどうして実力は在阪の某プロオケに勝るとも劣らないのではないか。後ろのプルトまで全員が真剣勝負で弾いているし、中国地方唯一のプロオーケストラとしての気構えが音に乗って伝わってくる。

 


リーデンローズは中国地方最大のキャパ2003席を持ち事実上の多目的ホールでありながら、永田音響設計がホール設計を手掛けたことで残響2秒の豊かな響きでオーケストラ演奏に大変適している。 聴きに行こうと思い立ったのが演奏会の2週間前だったので、1階席のかなり後方(2階席が上にすこし被さる)を選択せざるを得なかったけど、音響的にはまったく不満がない。悲愴の終楽章半ばで金管が強奏しても12型の弦は掻き消されることなく響いているし、コンチェルトではヴァイオリンソロが特に低域から中域にかけて、豊かな音で聴こえてくる。

 


チャイコフスキーの協奏曲は時にソロヴァイオリンがシンフォニックなオケに負けてしまい(特に第1楽章)大変聴き心地の悪いつまらない曲になってしまうのだけど、木嶋真優さんは聴く前に勝手に想像していた“線の細い女流ヴァイオリニスト”などではなく、確かなテクニックのうえに見事に音を響かせて、バックのオーケストラを完全に従えていた。(昨年11月の大阪フィルのソアレコンサートを聴きそびれたのは誠に残念)。ただ超一級ヴァイオリニストの演奏でハイポジションの身悶えするようなメロディー扱いといった“凄み”を感じさせるほどではないけど。

 


ところでビジネスとしてのクラシック業界の東高西低(という表現があるか知らないけど)の象徴がコンサートマスターで、2012年に大植英次さんの音楽監督退任と同時に大阪フィルの長原幸太さんが読響のコンマスとして移ったあと、そのポストに当時広響のコンマスだった田野倉雅秋さんが着いて現在に至っている。そして、入れ替わるようにそれまで大阪フィル2nd Vnトップだった佐久間聡一さんが広響のコンマスのポジションを得ている。今回初めて広響を聴いたけど、東京から西に大きく離れた地方都市で今日のような熱演を聴かせてくれるこのオーケストラをこれからも応援したい。来年から音楽総監督に就任される下野竜也さんの捻りの効いた選曲を、福山のような地方定期でもプログラムに載せてもらえないかなあ。

 
広響福山22回