20151125日 ワレリー・ゲルギエフ指揮 ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団

 


フェスティバルホール

1階21列下手

 


ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」

      ベートーベン:ピアノソナタ「悲愴」2楽章         ― アンコール

        ショパン:エチュード作品10-12 「革命」         ― アンコール

 


チャイコフスキー:交響曲第6番 「悲愴」

 


 指 揮  : ワレリー・ゲルギエフ

ピアノ  : 辻井信行 

 


ゲルギエフさんの首席指揮者就任お披露目の日本ツアー初日公演。辻井信行さんのネームバリューもあり私のいた1階は満席状態。両壁のペアボックス席も含めて全席完売だったのではないでしょうか。間違いなく辻井信行さんは日本で最もチケットの売れるクラシックアーティストでしょう。

 


今回初めて辻井信行さんの演奏を聴いたのだけど、このピアニストに対する評価はどうやらお預けとする必要がありそう。長大なコンチェルトをほとんど完璧に(数回ほどのミスタッチに気付いた程度)こなした後、アンコールに悲愴ソナタ2楽章と革命のエチュードを弾いてしまう、テクニックとスタミナそして素晴らしい集中力をお持ちであることは間違いない。でも私にはアンコールも含め、どうにも一本調子というか練り上げられた深みに乏しく感じられる。ほんの一例だけど第1楽章第2主題が初めに短調で現れるところなど、もっとニュアンスと微細な強弱を持たせれば良いと思うのに、無機的とまでは言わないけど、期待に反して淡々と音楽が流れていく。演奏後は熱狂的なまでの拍手に包まれていたので、私の感性が少し他の方々と異なるのかもしれない。いずれにせよ、今後コンチェルトではなくソロ演奏を多く聴くことで確かめていきたい。

 


チャイコフスキーは、このオーケストラの非常に高い合奏力を見せつけられた。特に後半2楽章の見事なこと。例えば終楽章最強奏のVnトゥッティの頭音がギュゥィーンと鳴る(文字で表現することなどまったく不可能)のを聴いたときには鳥肌が立った。ところで第3楽章最終音の後、指揮者があまり間を置かず終楽章に突入しようするそのタイミングで1階上手側からブラボーとそれにつられた拍手で静寂が中断。さらに終曲でコンバス重低音の持続音とピチカートで曲が閉じられたあと、ゲルギエフさんがまだタクトを下していないなか、同じ方向からまたもブラボーの声とそれにつられた拍手が起こった。さすがにこちらは56秒ほどで静まったけど、せっかくの余韻が台無しになったのは残念なかぎり。