20151030日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第269回定期演奏会

 


大阪ザ・シンフォニーホール

P(オルガン)席

 


シベリウス:交響曲第6番 ニ短調

吉松 隆:ドーリアン 作品9

吉松 隆:サクソフォン協奏曲「サイバーバード」作品59

アンコール曲 ―不明

 


素晴らしい演奏会でした。ハイシーズンの10月定期演奏会に、有名曲で観客に媚びることなく定期演奏会でこそ聴かれる価値のある選曲をした事務局と藤岡幸夫さんに感謝するとともに、ドーリアンのような超難曲も含め全3曲を演奏しきった関西フィルに改めて拍手を送りたい。大阪フィルがフェスティバルホールでマーラー3番、7番やショスタコーヴィチ7番などを定期演目に置いているなか、他在阪オケは本日のような演奏会を聴かせてくれてこそ存在意義を示せるはず。

 


前半のシベリウスは弦の数を減らしてアンサンブルの精度を高め、透明感を求めたほうがよかったかもしれない。でもそんな不満げたことは、後半2曲で吹っ飛んじゃった。いつもはパンフレットの曲目解説に目を通すとこはないけど、ドーリアンについては、事前に作曲者ご本人記述の次の一文が聴くうえで大変役立った。

「曲は、変拍子現代音楽の元祖ストラビンスキーの〈春の祭典〉に始まり、プログレッシブ・ロック(EL&Pやイエス)やビックバンド・ジャズに進化変貌したあと、後半は能登の御陣乗太鼓からバリ島のケチャまでが絡むリズムの饗宴になり、それに前衛音楽風のランダムなサウンドが重なり、最後はシベリウス風〈ドーリア旋法の〉大コーラルで終わる」=パンフレットより転記= 

20分ほどの曲はまさのこの解説の通り展開していくのだけど、オルガン席からまじかに見た藤岡幸夫さんの指揮の巧みさと事故なく演奏しきったオーケストラに心の中でブラボーと叫んだ。

 


吉松隆さんは山下和仁さんソロのギター協奏曲『天馬効果』を通じて、“いろいろな楽器の協奏曲を書いている現代作曲家”程度の認識だったけど、昨夜の『鳥たちの時代』につづき、改めてこの方の偉大さを知った次第。さっそく氏の交響曲CDを購入することにしましょう。

 


ところで終演後にホール出口にアンコール曲目を伝える紙の貼り出しが無い。来期演奏会パンフを配布していたスーツ姿の男性に尋ねたところ『それがぁ、ソリストが勝手に演奏を始めちゃってぇ、我々もわからないんです~っ』との返事が返ってきた。おいおい、本当かなぁ?藤岡さんがソリスト3名の背中を押してアンコールを促していたし、パーカッションの山口多嘉子さんはハンドベルを手に握って袖からでてきていたから、アンコールは事前に予定されていたと思うのだけど。。。

関西フィル269