あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日記

2020914日 大阪クラシック2020 第5公演 ZeppNanba(Osaka) ≪特別企画 クラシック&能≫

 

Zepp Nanba (Osaka) 

H15

 

ヴァイオリン    : 岩谷 祐之

ヴィオラ        : 中島 悦子

チェロ          : 日野 俊介

能楽師          : 大槻 裕一

 

J.S.バッハ     

主よ、人ののぞみの喜びよ

        無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番 ラルゴ

        無伴奏チェロ組曲第1番 プレリュード

        無伴奏チェロ組曲第3番 ブーレ

        ゴルトベルク変奏曲より 

   ~ アンコール    不明
              チャップリン〝スマイル″

 

今年チケットを押さえたのは、この第5公演、そして翌日の第7、8公演、および翌々日の第11公演。残念ながら木曜日の大植英次監督といつものピアニスト2名による、3台のピアノによるベートーベン第九抜粋(第12公演)は、発売日にうっかり買い忘れてしまい、気づいた時にはすでに完売だった。

 

今年、昨年までの中央公会堂からZepp Nanba(Osaka)に会場を移しての恒例の能とのコラボレーション。着想は面白いけど、せっかく立派な舞台を設えたにもかかわらず、感想は昨年と全く同じで、企画倒れの感あり。若い能楽師の動きは、すべての所作に深い意味があるに違いないだろうけど、素人の私などはバッハの音楽に合わせて、どうやらシンクロしてことが見て判る程度。もし能の動きについて多少の説明があったら、感想も違っていたのかもしれない。実際に能楽師が舞台に上がったのは、ブーレとゴルトベルクの最終変奏と終曲アリアのみ。

 

Zepp Nanba(Osaka)って、とにかくすごく音響がライブで、前から三列目で演奏していても、PAからの音を耳にしているようで、まるで銭湯で聴いているかのよう。う~ん、心地よかった。

 
20200914_大阪クラシック第5公演_1

20200914_大阪クラシック第5公演


“あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会気まま日誌” にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。

 

拙ブログは、音楽コマーシャルの中でドマイナーなクラシック音楽の、しかも文化発信の中心である首都東京をメインとするわけでもなく、さらには一介の勤め人である私が実際に聞いた演奏会を備忘録としてブログにアップする(つまり、聴きにいかない限り更新されない)という、マイナー要素を3乗したようなもの。それでも、こうしてご訪問いただける方がいらっしゃることが励みとなっております。

 

もしコロナ禍に見舞われなければ、この春は、神々の黄昏(びわ湖ホール)、トリスタンとイゾルデ(東京音楽祭・春)、マイスタージンガー(上野、新国、芸文)とワーグナーの毒にどっぷりと浸り続けた毎日を送っていたはず~~でも、いま思うと、そういったことなど、仕事や生活環境に大きな影響を受けている多くの方々からすれば、申し訳ないくらいに些細なこと。公私ともに相変わらず、変化と刺激に満ちた生活を送ることができていることに感謝しないといけません。

 

さて、以下は毎度“ブログ〇年を迎えて…”にて書いております、このブログに関しての私なりの決め事です。

 

  • 演奏会は、プロ・アマ、ジャンルを問わず、ブログ対象とすること。

ただし実際に接した演奏会の記録に限定して、たとえばCDDVDBlu-ray等メディアの感想や、音楽に関係した諸事・意見は極力記さない。

 

  • 演奏者ならびに曲目の紹介・説明は記さない。

このIT社会、どんなに珍しい作品であってもその気になればインターネットを通じて誰でも入手できる。まして演奏者のプロフィールなら、ググればいつでも手に入る。

 

  • ホールのどのあたりで聴いたか、席位置についても可能な範囲で記録する。

以前、日本経済新聞日曜版にサントリーホール設計者、永田音響設計 豊田泰久氏の言葉 『ベストの席はありません、すばらしい席はあります。どんなレパートリーが、誰によって演奏されるか。さらには耳を傾ける人の好みが反映されて、その時々に最上の席が生まれる』が紹介されていました。まったくの同感です。私にとって、どの席でその演奏を聴いたのかを記録しておくことは、大変意味のあることです。

 

  • 作曲者・演奏者の名前は省略しないで記す。

ショスタコーヴィチなど、さすがに言いづらいので、会話で“ショスタコ” と略すのは致し方なしとして、ブルックナーを“ブル”、ドヴォルザークを “ドボ” となると、さすがに度が過ぎるというか、学生オケのメンバーが仲間内でクラオタ談義をしているみたいで、どうにも好きにはなれない。世間一般の感覚からみると、そもそもクラオタの会話なんてスノッブ臭プンプンだろうし、ましてや電車の中で『マラ6が好きで』なんて会話を耳にしたら、普通の人なら変態オヤジのエロ話と勘違いされそう。文学ファンが太宰治を “ダザイ” と言うことはあれ、ドストエフスキーを“ドスト” などと言わないだろうし、美大の学生がミケランジェロを “ミケラ” などと言ったりはしないでしょう(きっと)。

 

 

今後とも、“あーと屋のほぼ大阪クラシック気まま日誌”を、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

あーと屋

 
20200908_ブログ6年目

2020831日 白井圭 & 伊藤恵のシューベルト&シューマン

 

ザ・フェニックスホール

1階B15

 

ヴァイオリン           :白井 圭

ピアノ                 :伊藤 恵

 

シューベルト           :ソナティネ 第1番 ニ長調

シューマン             :ヴァイオリンソナタ 第2番 ニ短調

  ~休憩~

シューマン             :ヴァイオリンソナタ 第1番 イ短調

シューベルト           :幻想曲 ハ長調

 

いや~、よかったなあ。こんなにも幸福な気持ちに浸らせてくれるなんて、ほんと久方ぶり。シューマンとシューベルトの歌に満ちた4曲を通して、すべての音符に、そして音の鳴っていない休止符までも血の通った、心地よい緊張の連続。

 

白井圭の濁りのない、そして一音も緩むことなく一貫して完璧にコントロールされたヴァイオリンの音は、N響ゲストコンサートマスターの実力通り。そして繊細なタッチで統一された伊藤恵のピアノがまた、素晴らしいの一言。ほんと、このザ・フェニックスホールで室内楽伴奏のピアノを聴くと、ピアニストの実力が(残酷なまでに)はっきり判ってしまうのだけど、う~ん、唸るほどに上手がった。

 

20200831_白井圭

2020827日 松浦奈々 ブラームス ヴァイオリンソナタ全曲演奏会

 

ザ・フェニックスホール

1階B9

 

ヴァイオリン           :松浦 奈々

ピアノ                 :須関 裕子

 

ブラームス            ヴァイオリンソナタ第1番 ト長調 『雨の歌』

                       ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調

                       ヴァイオリンソナタ第3番 ニ短調             

  ―  アンコール            曲名不明

 

昨年2月から6月にかけて行われたベートーベンソナタ全曲演奏会の時と同じピアニスト。たしかツィクルスの何回目かの時に、『お互い桐朋の同窓生で…』と紹介していたのを思い出した。日本センチュリーのコンサートミストレス、松浦奈々の安定感はいつもの通り ----- と、ここまで書いたことろでブログ原稿書きを中断して、白井圭&伊藤恵のシューベルトとシューマンの演奏会(同じフェニックホールでの〝ヴァイオリンによるドイツ・ロマンティシズム”と題された2公演セットのコンサート)を聴きに行った(9/1

 

いや~、ヴァイオリニストもピアニストも格が違うわ。この二人でブラームスを聴きたい、って正直思った。ということで、この日の演奏会“楽しみました”と感想一言だけにとどめておきます。

 
20200827_松浦奈々

2020819日 読売日本交響楽団 ≪三大交響曲≫ 読響サマーフェスティバル 

サントリー・ホール

2RB1列15番 

 

指揮                    : 角田 鋼亮

 

シューベルト    :交響曲第7番『未完成』

ベートーベン   :交響曲第5番『運命』

ドヴォルザーク  :交響曲第9番『新世界より』

 

さてさて、出張にかこつけての東京コンサート・ホール通いもじんわりと再開…です。席は、なんと2RBブロックの最前列。ステージ上の各パートが団子にならず、低域から高域まで濁りのないクリアな音像が目の前いっぱいに広がる。ホール後方からのエコーなどもまったく無く、最強奏でも決してうるさくならない、理想的な音響空間に身を置くことができる。木管も金管も音像がはっきりしており、ベースは眞下から湧き上がるように聴こえてくるし、真正面のVn群は音圧十分。たぶん今回でこのホールのすべてのブロック・エリアを経験したことになるはず。席位置で大きくそのサウンドが異なるのは、聞こえ良く言えばホールの個性、でも同じSカテゴリーの場所によって響きの質が大きく変わってしまうのは、いただけない。ヴィンヤード形式の宿命とはいえ、基本的には好きなホールとは言い難い(首都東京のクラシック音楽愛好家の皆さんには申し訳ないけどね)

 

角田鋼亮の指揮は2年前の大阪フィル定期デビューでマーラー“巨人”を聴いて以来かな。指揮ぶりは、とにかく型に忠実で真面目そのもの。特段に思い入れや、ここだけは譲れない、といったところもなく、オーケストラに立派に演奏してもらった…なんて書いたら失礼すぎるだろうか。木管も金管も(特にトランペット)、そしてティンパニも抑制することなく奏者の裁量で好きなように鳴らしている、そんな感じがしてならなかったのだけど。

 

20200819_読響_サマーフェス

202087日 日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン第20 

ザ・シンフォニーホール

F22番  定期会員席からの振り替え

 

指揮                    : 飯森 範親

ファゴット             : 安井 悠陽

 

ハイドン               :交響曲第33番 ハ長調

ジョリヴェ              :ファゴット協奏曲

ハイドン               :交響曲第36番 変ホ長調

ハイドン               :交響曲第48番 ハ長調『マリア・テレージア』

 

前回6月の第19回演奏会を見送ったので、今回が会場をザ・シンフォニーホールに移しての初めてのハイドンマラソン。コロナ禍が収まりをみせないなか、こうして週一度のペースでオーケストラの生演奏を聴けることはとてもありがたいこと。

 

う~ん、でも正直なところちょっと…ガッカリかな。4年間、いずみホールで磨き上げてきたはずの演奏バランスが、この日はなぜか聴けなかった。洒脱なハイドンの音楽を全身で発散させるかのような一貫したアプローチが、1st Vnに限って、まったく感じられない。席は平土間前方のほぼ中央で、この編成での演奏を聴くにはベストな場所のはずなのに。どうにも座りが悪いというか、ハイドンの音楽をいままでのように楽しめない。昨年までの、いずみホールでのハイドンはもう聴けないのだろうか。このまま、あと2回続くようだと、来期の定期会員継続、考えちゃうなぁ。

 

ジョリヴェのファゴット協奏曲は面白い曲ではあったけど、同時に独奏楽器としての限界を感じずにはいられなかった、不遜にも ‟素材や構成はよくできているのだから、もし独奏楽器をチェロに変えたら、ダイナミズムと音色の変化が加わって、より聴き映えのする作品になるんじゃないの" などと思いながら聴いておりました。

 

 20200809_日本センチュリー_ハイドンマラソン!

2020722日 大阪フィルハーモニー第540回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

定期会員席 振替席

 

指揮            : 飯守 泰次郎

 

モーツァルト    : 交響曲第35番 K385 『ハフナー』

ブルックナー    : 交響曲第6番 

 

さすがに演奏会から一カ月近く、しかもお盆休みを兼ねた夏季休暇を挟んでしまうと、演奏の印象もかなり薄らいでしまった。演奏を聴いていた時には、いろいろと思ったことがあったはずだけど、もうほとんど忘れちゃった。

 

演奏者の距離をたっぷり確保しながら16型の弦セクションが余裕で乗ってしまうなんて、フェスティバルホールって、ほんとデカい。ブラスセクションの左右なんか、まだまだスペース十分。これならマーラーの巨大編成でも問題なしだろう。今後もし自粛期間が長引いても、大阪フィル定期だけは今まで通りのフルオーケストラサウンドを楽しませてくれること、嬉しい限りです。

2020717日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第312回定期 

ザ・シンフォニーホール

3LLD1

 

指揮                    : 藤岡 幸夫

ヴァイオリン           : 岩谷 祐之 

 

チャイコフスキー       : 弦楽セレナーデ

シベリウス             : ヴァイオリン協奏曲

 

当初予定の貴志康一の交響曲が取りやめ(開演前のプレトークで、‟いつか必ずやります”と指揮者の藤岡幸夫が語ったので、期間未定の順延…ですね)になり、シベリウスの‟レンミンカイネンの帰郷”がチャイコフスキーの弦楽セレナーデに差し替え。弦楽セレナーデの後に20分間休憩を置いて、シベリウスのヴァイオリン協奏曲をメイン扱いとしたフルコンサート。終演は840分。

 

ゲンダイオンガク作品は“お金を払って聴きたいと思わない”というか、まったく興味の対象外ながら、いつもの廉価席ならば…ということでコロナ禍の前にWEBサイトを通じて買っていたチケット。オーケストラ事務局から曲目変更の知らせとともに ‟来ていただけるなら、座席変更したチケットを郵送する”旨の丁寧な電話をいただいたことで、先週の日本センチュリーの時のように、曲目変更も知らずに会場入りするといったドジなことは無し。

 

10 + 8 + 6 + 6 + 4で演奏された弦楽セレナーデが、胸を熱くするような演奏。3ヵ月あまり生演奏ご無沙汰だったことによる新鮮さもあったかもしれないけど、ステージ真横の3階バルコニーで聴いていると、この編成でよくぞ!と唸ってしまうほどの音圧とともに、熱気に満ちた音楽が眼下のステージから湧き上がってくるようで、なんだか胸が熱くなった。なお、休憩の後のコンチェルトは開始早々に完全寝落ち。さすがにこの数日の寝不足がきいた。

 

《閑話休題》

前日になんばバークスシネマで、メットライブビューイングのゲルギエフ指揮『さまよえるオランダ人』を鑑賞。本来の収録予定日公演がキャンセルになったため、数日前の公演を収録したものらしく、いつものメットライブビューイングのクオリティではない。演奏内容はあえて横においても、全体に引きで撮った画像が多いし(特に第2幕)、PAの音もFM放送クオリティ。ただし、これはいつものエグゼクティブシートのシアターでなかったからかも。

 

ライブビューイングお馴染みの歌手のインタビューシーンも無し。本来だったら藤村美穂子が、インタビュー最後に『日本でご覧の皆さ~ん・・・』って日本語での呼びかけがきけただろうのに、残念。

 
20200717_関西フィル_312_1

20200717_関西フィル_312

20200718_メット_さまよえるオランダ人


2020
79日 日本センチュリー交響楽団 第247回定期 

ザ・シンフォニーホール

1L列 (定期会員席からの振り替え)

 

指揮                    : 秋山和慶

チェロ                 : 佐藤晴真

 

ウェーバー                     :歌劇『オベロン』序曲

ショスタコーヴィチ             :チェロ協奏曲 第2番 ト長調

―― アンコール                 カタロニア民謡《鳥の歌》

メンデルスゾーン               :交響曲第3番 『スコットランド』

 

4か月ぶりのコンサートは、日本センチュリーの魅力を堪能できるプログラム。金管群のコントロールされた音量、柔らかな木管群と弦とのバランスの見事なこと。やはり日本センチュリーは抜群に上手い! バルコニー席にお座りの耳の肥えた友人のブログ記事によると、ウェーバーでブラスが大きくて弦をかき消してしまってた、とのこと。私の席(1L列)では完璧に聴こえたのだとすれば、やはりホールの持つ特性を認識したうえで、ホール中央位置で最良の響きとなるように調整された演奏だったということか。日本センチュリーの高機能オケの本領発揮、というところなのだろう。

 

演奏会開始にあたり事務局から “曲目変更のお詫び” のアナウンスがあってもピンとこなかったけど、あとでその友人からメールで教えてもらったところでは、後プロがチャイコフスキーの4番から変更された、とのこと。お金払ってまで聴きに行きたいとは思わない最右翼からスコットランドへの変更とは、まったくラッキーの一言、知らないまま演奏会に臨んで良かったぁ。それにしても、パンフレットの曲目紹介も差し替えされていたし、ホール入り口では新しいチラシのカラーコピーが配布されていたりと、事務局も大変な手間を要した御様子。パンフレット記載の定期会員一覧からなぜか自分の名前が消えていたのはご愛敬。

 

ただし(最後に辛口…ですよ)、そのスコットランドの演奏は特段に刺激的でもロマン派としての魅力を垣間見せることもなく、淡々として凡庸で退屈だった。ソロ・アンコールの鳥の歌、よかったなあ。冒頭のピアノ伴奏での右手のトリルのところ、ぞくっときました。

《閑話休題》

本ブログをご覧の皆様へー

コンサート中止・延期となった4ヶ月もの間、勤務先の社員全員にリモートワークを命じた上で、オフィスで1人、仕事をしながら朝から夜遅くまでアクティブスピーカー音量マックスでクラシック音楽(ほぼ、ワーグナーの楽劇ばかり)を聴き続けていましたが《笑》、いよいよコンサート鑑賞の再開です。

3月27日以降、ブログ記事を全くアップしないにもかかわらず、時に100を超えるページ閲覧をいただく日もあり、大変恐縮です。ブログタイトル通り、気ままに (でも、聴いた演奏会は漏れなく) やってまいりますので、どうかご贔屓にお願いいたします。 

 
20200709_日本センチュリー_247回_ 1

20200709_日本センチュリー_247回

2020327日 片桐仁美・堅田京子ジョイントリサイタル ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階B7

 

アルト                  :片桐 仁美

ピアノ                  :堅田 京子

ギター                  :増井 一友

 

リスト                  :楽に寄す D547

                              死と乙女 D531

                              夜 WoO

                              さすらい人の夜の歌 D768

 

リスト                  :ピアノ・ソナタ第18番 ト長調『幻想』 D894

 

       ~ 休憩

ブラームス              :ピアノのための4つの小品集

 

ヨーゼフ・マルクス     :風車

                                         窓辺にて

                                         煙

                                        雨

フーゴ・ヴォルフ       :ミニヨンの4つの歌

  ――アンコール

        ピチカート・ポルカ J・シュトラウスⅡ  ※ 堅田京子

        ウィーン・我が夢の街  ※ 片桐仁美、堅田京子、増井一友

 

今年は日本国内のワーグナー楽劇上演の当たり年だと思っていたら、主要公演は“神々の黄昏”(びわ湖ホール)に続いて“トリスタンとイゾルデ”(東京音楽祭・春)も中止となり、6月の“マイスターマイスタージンガー”だけとなってしまった。こうなってくるとワーグナーというワードに飢えてくる。この日の演奏会はクブファー演出バレンボイム指揮のバイロイト公演でジークルーネを歌った実績を持つ片桐仁美が、音大同級生の堅田京子とのジョイント・リサイタル。

 

都度に書いているとおり、このブログは作品説明は一切しないことをルールとしているけど、最初にシューベルトの有名リート3曲とともに歌われた“夜”(WoO:作品番号なし)については、ネット検索しても情報が得られなかったので、プログラム記事を以下に抜粋。

 

==QUOTE

今回取り上げる曲は、~略~、そして全く無名な「夜」です。この「夜」は長い間プライベートに所属されていたもので、初演は1989年です。ギター伴奏で書かれていて、ピアノ伴奏の楽譜は1990年に作らえて出版されています。今日は増井さん(今日の伴奏者:アート屋)所有の、19世紀前半の三大ギター名工の一人、ルイ・パノルモが1839年に作ったギターで演奏いたします。

==UNQUOTE

 

最初のシューベルトのリート4曲は、もともとピッチの曖昧さが魅力のギター伴奏ということもあったのだろうか、なんだか歌いにくそうで、また中域音程が時に喉に引っかかるようなころとがあって、少々不調気味。それでも後半は持ち直して、最後のヴォルフ“ミニヨンの4つの歌”は、感情をたっぷりとのせた貫禄の歌唱だった。

 

シューマンが形式的にも精神的にも完璧と絶賛したとされるシューベルトの幻想ソナタは、私には冗長に過ぎて、あまりに長すぎる。ワーグナー楽劇の5時間を全く長いなんて感じないのに、幻想ソナタの40分を聴きとおすのは結構キツイ。これを暗譜で弾くなんてプロは凄い。ブラームスのラプソディー“ピアノのための4つの小品集の4曲目”が一番聴いていて面白かった。やはり、ピアノ独奏曲は全般に聴きなれていない。

 
20200328_ジョイントリサイタル_フェニックスホール

 

2020316日 "東京・春・音楽祭2020" ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽  ~ピアノ四重奏の夕べ ザ・フェニックスホール

 

ザ・フェニックスホール

1階B18

 

ヴァイオリン    : ガイ・ブラウンシュタイン

ヴィオラ        : アミハイ・グロス

チェロ          : オラフ・マニンガー

ピアノ          : オハッド・ベン=アリ

 

モーツァルト    :ピアノ四重奏曲 第1番ト短調K478

フォーレ        :ピアノ四重奏曲 第1番ハ短調

ドボルジャーク  :ピアノ四重奏曲 第2番変ホ長調

 

"東京・春・音楽祭2020"HP上で、この“いずみホール公演”は実施予定と継続してアナウンスされてはいたものの、直前まで中止発表を覚悟していた。演奏会当日の夜(ちょうど演奏会が行われている頃)、ついにEUの欧州委員会がシェンゲン協定加盟国に対してEU域外から域内への不要不急の移動制限案を提示しており、この公演の決行はメンバー帰国手配を進めながらのギリギリの判断のなかでのことだったのでは、と思う。よくぞ実施してくれたものだ。いちクラシックファンとして感謝の言葉しかない。

 

昨年と同様、演奏に大変感銘を受けた。おそらく大阪で聴くことのできる最も優れた室内楽演奏ではないだろうか。完全な調和の上で、ダイナミックに個を主張していく弦楽器とピアノ。演奏に対する感想は昨年と全く同じ。あれこれ字面をならべるより、昨年のブログ記事を一部再掲。なお、昨年の同団体のいずみホール公演メンバーからヴァイオリンが、ノア・ベンディックス=バルグリーからガイ・ブラウンシュタインに変更となっている。

 

昨年の同団体の演奏会のブログ記事の一部を再掲

~~ 
ピアニストのオハッド・ベン=アリがまた素晴らしかった。同じフェニックスホールのスタンウェイが、過去に聴いてきた室内楽演奏のピアノの音と全く違う。あのような固すぎず音の芯のしっかりした音は、いったいどうやったら出せるのだろう。ピアノの左手がオラフ・マニンガーの弾くチェロと同じ旋律線を奏でるとき、発音の仕組みが全く異なる二つの楽器がどうしてこんなにも調和するのだろうか。ピアノのタッチ、チェロのピッチ、そして奏者の息が完全に一致している。
~~

 

欧州委員会による渡航禁止が発表された時点である程度覚悟はしていたものの、今週半ばに、ついにトリスタンとイゾルデの公演も中止となってしまった。指揮者や歌手が来日できなのではどうにもならない。2日と5日の両方のチケットを押さえていたのに…。

 

 

 

 
20200316_ベルリンフィルのメンバーによる室内楽

20200316_ベルリンフィルのメンバーによる室内楽_1

2020313日 日本・リヒテンシュタイン公国友好101周年記念コンサート 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

 

京都コンサートホール

アンサンブルホールムラタ

 

ピアノ        津田理子

マティス・べロイター

 

ベートーヴェン  :ピアノソナタ 第14番 ハ短調『月光』 マティス・ベロイター

                 ピアノソナタ  30  ホ長調                -同上―

休憩

                 ピアノソナタ第3番 ハ長調            津田 理子

                 ピアノソナタ第18番 変ホ長調           -同上―

 

スイス在住の日本人篤志家を中心に若手音楽家育成と国際文化交流の促進支援活動を続けている“若手音楽家育成アヤメ基金”が主催し、日本企業3社とともに日本リヒテンシュタイン友好協会が友好101周年記念として協賛、そして在日スイス大使館と関西日本・スイス協会が2020年第17回SWISS WEEKの一環として後援された演奏会。開演に先立って、主催者(アヤメ基金理事長)が舞台に立ち“京都コンサートホールの理解を得て、仮に無観客になっても実施する覚悟で今日を迎えた。どうか演奏を聴いて、コロナに打ち勝ちましょう!皆さん、音楽を楽しんでください!”との挨拶があった。

 

500名収容のホールの中にまばらに散った観客は、私を含めてざっと40人ほど。それに対して京都コンサートホール側は、まったくの通常オペレーションで対応しており、ホール案内からクローク、さらにはビュッフェも通常メニューで営業された。せめての貢献を…と、夕食を兼ねてサンドイッチとアイスコーヒーを途中休憩でいただいた。サンドイッチは2パックがカウンターに置かれていたけど、もう一つは売れ残ったのだろうか。もし廃棄となったのなら、そちらも買って食べちゃえばよかった。

 

前半プロで、ハイドンの7番ソナタとスクリャービンの4番ソナタがベートーヴェンの30番ソナタの前後に予定されていたものを、直前に(当日に?)月光ソナタに変更。結果的にコンサート・サブタイトル“L.V.ベートーヴェン生誕250周年”に沿ったオールベートーヴェンプロとなった。音響の良いホールの同じ席位置で、作品こそ違えど同じベートーヴェンのソナタを、二人の達者なピアニストで聴くことができるという、なんとも贅沢な時間だった。

特に津田理子さんの、一音一音完璧に統一された音と響き、そして隅々にまでコントロールされた音楽に驚いた。やはり、いい響きのホールで上手いピアノストの演奏を聴くのはとても良いものだ。
どちらのピアニストもプログラム曲の後、アンコールを演奏。津田理子さんが演奏したショパンのエチュード2曲が、とても知的で端正な演奏だった。

終演後、主催者が演奏者二人とともに再度ステージ上がり、次回9月18日に世界でわずか2台、オランダとバーゼルにしかない貴重なチェンバロをもってきての演奏会を実施する、とアナウンスした後“コロナに勝ったぞ”と声をあてげてコンサートがお開きとなった。


 20200313_マティス ベロイター

20200313_マティス ベロイター_1

2020228日 関西フィルハーモニー管弦楽団 第307回定期 

ザ・シンフォニーホール

2LLC6

 

指揮                    : ゴロー・ベルク

ピアノ                 : ダナエ・デルケン

 

シューマン             :序曲、スケルツォとフィナーレ 作品52

クララ・シューマン     :ピアノ協奏曲 イ短調 作品7

―― アンコール  ブラームス :間奏曲 変ロ長調 作品764

ブラームス             :交響曲第4番 ホ短調

 

たった今しがた(37日 午後1時)神々の黄昏(びわ湖ホール)のライブストリーミング放送(YOUTUBE)が始まった。無観客公演・ライブストリーミング実施という英断にいちワグネリアンとして感謝の限り。今日、そして明日の両日、視聴します。

 

なんだか、神々の黄昏の公演中止を知ってから、まったくブログ記事アップに気がいかなかった大阪フィルと関西フィルの2演奏会について備忘として、簡単にアップします。

 

 

実際の演奏が始まるまで、てっきりローベルト・シューマンのイ短調が演奏されるものだと思い込んでいた。耳に聞こえる曲がまったく異なるので、慌てて足元に投げ置いていたプログラムをこっそり拾い上げて確認してビックリ。なんとクララ・シューマンのピアノ協奏曲だった。こりゃまた大変珍しい作品が聴けたものだ。ソリストアンコールでブラームスの間奏曲が演奏されたので、ローベルト・シューマン=クララ・シューマン=ブラームスと見事にプログラムがつながったことになる。ただ珍しい作品であっても、歴史に埋もれているのも致し方なし、かな。

 

ブラームスのシンフォニーでの指揮にはちょっと首を傾げるところあり。各フレーズの終わりを点で止めず、そのまま流すように音を残すので、音楽が弛緩してしまったし、弦が不揃いで音が濁る。

 

さてと、大阪フィルと関西フィルの定期演奏会のブロブ記事をアップしたので、神々の黄昏(びわ湖ホール)のライブストリーミングをじっくり鑑賞します。。。

―― 今、ジークフリートとグンターが血の誓いの盃を交わしてる・・・いよいよ、ハーゲンの見張りの歌が始まる。。。これからワーグナーの毒に浸ります。

 

 
20200228_関西フィル定期

20200228_関西フィル定期_1


2020221日 大阪フィルハーモニー第535回定期演奏会 1日目

 

フェスティバルホール

定期会員席

 

指揮                    : 秋山 和慶

ヴァイオリン            : 辻 彩奈

 

ハチャトゥリアン       : 組曲『仮面舞踏会』

プロコフィエフ         : ヴァイオリン協奏曲 第2

チャイコフスキー       : 交響曲第1番ト短調 〝冬の日の幻想"

 

たった今しがた(37日 午後1時)神々の黄昏(びわ湖ホール)のライブストリーミング放送(YOUTUBE)が始まった。無観客公演・ライブストリーミング実施という英断にいちワグネリアンとして感謝の限り。今日、そして明日の両日、視聴します。

 

なんだか、神々の黄昏の公演中止を知ってから、まったくブログ記事アップに気がいかなかった大阪フィルと関西フィルの2演奏会について備忘として、簡単にアップします。

―― 今、第三のノルンが神々の未来を歌ってる。。。

 

いつもブログに書いている通り、ラベルとプロコフィエフはどうにも苦手でつい敬遠してしまう。そんな意識が先に立ってしまったこともあり、協奏曲は開始早々から寝落ち。まったく記憶なし。

 

チャイコフスキーはお行儀が良すぎ。ロシアの土臭い演奏でないと、曲構成の弱さが目立ってしまう。

 

―― 今、ステファニー・ミュター(ブリュンヒルデ)とクリスティアン・フランツ(ジークフリート)がジークフリート終幕と同じ岩場で抱擁している・・・沼尻さんの指揮、過去3作品と違ってかなり落ち着いたテンポ運び、京響もネット回線で聴く限りだけど、とても調子が良さそうだぁ(会場で観たかったぁ!)

 

 

2020216  新国立劇場 『セビリアの理髪師』

 

新国立劇場オペラパレス

1523

 

指揮            :アントネッロ・アッレマンディ

演出            :ヨーゼフ・E・ケップリンガー

オーケストラ    :東京交響楽団

チェンバロ      :小埜寺 美樹

 

アルマヴィーヴァ伯爵   :ルネ・バルベラ

ロジーナ               :脇園 彩

バルトロ               :パオロ・ボルドーニャ

フィガロ               :フローリアン・センペイ

ドン・バジリオ         :マルコ・スポッティ

ベルタ                  :加納 悦子

フィオレッロ           :吉川 健一

 

“セビリアの理髪師” は大好きで、いつも観終わった後、幸せな気分になる。今回のように歌手全員のバランスが取れていて、しかも演出を楽しめる公演では、終わったあとに“もう一度通して観たい”とすら思ってしまう。

 

ポップなデザインで統一された立体的な舞台装置とそれを生かし切った演出は秀逸の一言で、吊りと照明でお茶を濁す、ありがちなオペラ公演とは違う。オペラハウスはこうでなきゃね。5列目中央の席なので、計算された廻り盆と舞台上の人物の動きを、理想的な位置から鑑賞できたのは何よりだった。チェンバロは柔らかく温かい音で魅力的だったし、小型編成のオーケストラは弦が薄くならず、管楽器もふくよかな音色で良く弦とバランスして、満足のひとこと。やはりオペラは良い席で観るに限る。

 

序曲演奏の時、主要人物6人が順次パントマイムで登場しながら舞台前方の紗幕手前に整列すると、奥舞台の廻り盆の上に組まれたバルトロ邸が前にスライドしてきて、フィガロの合図とともに全員がバルトロ邸の中外に散っていくといく、という洒落た演出で、早々から虜にされてしまった。

 

1幕フィナーレで登場人物を徐々に増やしていきながら早口でセリフをまくしたて、フィガロを加えた主要登場人物6人がユニゾンとオクターブで同じ旋律を歌うまでの所謂ロッシーニ・クレッシェンドに対して、案外に第2幕の終わりがあっけなく感じるのも、また毎度のこと。兵士達がバルトロ邸内で洗濯物やら書類やらを引っ掻き回したり、空中に放り上げたりの大騒動が視覚として加わって、アドレナリンが放出されっぱなしの興奮状態を脳が覚えているため、なおさら。“あっ、終わっちゃった。もっと(この音楽に)もっと浸っていたいのに…(残念)”と思いながらの終幕。

 

いずれ再演されたら、また是非観たい。


※ オペラのタグを作りました。


20200206_新国_セヴィリアの理髪師
 

 

2020215日 イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノリサイタル ザ・シンフォニーホール 

 

ザ・シンフォニーホール

1G21

 

ピアノ: イーヴォ・ポゴレリッチ

 

J.S.バッハ      :イギリス組曲 第3

ベートーベン    :ピアノソナタ第11

ショパン        :舟歌 嬰へ長調 OP60

                    :前奏曲 嬰ハ短調 OP45

ラヴェル        :夜のガスパール

 

バッハの組曲、ベートーベンのソナタ、ショパンの後期作品、そして超絶技巧のラヴェルと、ピアノ音楽史を一串にしたような魅力的なプログラム。ほんの五日ほど前、この日の大阪滞在が決まったことで半ばあきらめ気味にチケットサイトを覗いたら、なんとG21列目というピアノを聴くには最高の席がポッコリと空いているではないか! こりゃラッキー。ちなみに明日の東京新国オペラパレス “セビリアの理髪師” も、これまた平土間前方ど真ん中のチケットが偶然にも買えた。こりゃついているぞ。この調子でロトも当たんないかな。

 

クラシック音楽ファンといってもオーケストラ作品中心で、マーラーだのリヒャルトシュトラウスだの、さらにはワーグナーの楽劇だのを日ごろ好き好んで聴きまくっている一方で、ピアニストにもピアノソロ作品にもめっぽう疎い。膨大なピアノ作品群、そして大家と称されるピアニストから新進気鋭まで、それらを隈なく追っかけていたら、それだけで人生が終わってしまいそうなくらい。それでもショパンコンクールでの逸話、そして精神面での苦境からの復活といったストーリーとともに記憶されるポゴレリッチは、是非とも聴いておきたい。

 

そのポゴレリッチ、やはり聴いてよかった。他の著名なピアニストとは明らかに違う、とても突き抜けた存在ではないだろうか。ピアノ(一つの躯体)から、こんなにも多様な音が鳴らせるものなのだと、実のところ初めて知った。そしてその単音一つひとつがここまで研ぎ澄まされているなんて、ほんと奇跡のよう。かつてはとてもスローテンポな演奏スタイルだったらしいけど、今日の演奏はバッハもベートーベンも実直で真っ向勝負で、特異さ、異様さは一切なし。ショパンは、櫂でゆっくりと小舟を漕ぐというより、腕っ節に自信のある船頭によりグイグイ進んでいくような演奏で、また次の前奏曲も全く病んだショパンじゃなかった。そしてショパン2曲演奏の後、袖に一度引っ込むことなく演奏を始めた夜のガスパールも圧巻の一言。いや~、凄かった。すべてが記憶に残る演奏だった。

 

 
20200215_ポゴレリッチ_1


ザ・シンフォニーホールの男性トイレにある、いつもの手書きボード ~スタッフさん、日付が間違ってますよ~
20200215_ポゴレリッチ

 

202029日 長崎 出島 カピタン部屋 コンサート 長崎県オペラ協会 

 

長崎 出島 カピタン部屋 2

 

冬のメドレー

長崎の歌メドレー

ドゥ-ニ:音楽劇『二人の猟師とミルク売り娘』より“ペレットの歌”

マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲“アヴェマリア”

J・シュトラウスⅡ:『こうもり』よりアデーレの笑いのアリア“私の侯爵様”

見上げてごらん夜の星を

J・シュトラウスⅡ:『こうもり』より“シャンパンの歌”

 

妻との長崎市内観光で訪れた長崎出島で、たまたま聴くことができたカピタン部屋の2階での30分ほどのミニ・コンサート。“カピタン部屋”といっても、鎖国時代にオランダから日本の出島に赴任してきた商館長の住居兼事務所で、出島で最も大きく、日本側の役人との接待・社交の場としての役割を担っていた、2階建ての大きな建物。その2階にある豪華なダイニングスペースに続く、南側に面した20畳(?)ほどの大広間に電子ピアノを置き、畳のうえに赤い毛氈を敷いてコンサートスペースとしたもの。

 

観光中にこのコンサートのチラシや案内を見かけたわけでもなく、たまたまボランティアによる約一時間の出島紹介ツアーの後、ダイニングスペースをじっくり鑑賞したい、という妻の求めでカピタン部屋に立ち寄ったことで出会えたコンサート。観客は私たち夫婦の他にあと10名ほど。歌い手は、長崎県オペラ協会の女性歌手3名。歌手名のアナウンスもプログラム配布もない、とてもささやかなコンサート。それでも観光で訪れた地で、こうした暖かく優しい雰囲気の演奏会に出会えることは本当にうれしいものだ。


演奏された作品やその作曲者については、一切書かないことをこのブログ上でのルールにしているけど、『二人の猟師とミルク売り娘』に限っては備忘として記しておきます。

曲名だけは携帯メモに控えたものの、後で調べてみると江戸時代文政の1820年に出島で初めて、つまり日本で初めて、当時の商館長の愉しみとして、ここカピタン部屋の広間で上演されたオペレッタなのだそうだ。イタリア人 エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニによるフランス語オペラ・コミックが、オランダ人によって上演されたらしい。それが大変うけて長崎奉行を迎えて再演されたとのことなど、クラシック音楽ファンとしては、なんとも興味深い歴史が垣間見えてきた。こうした珍しくも貴重な作品を歌って聴かせてくれた、長崎県オペラ協会の歌手の皆さんに感謝!

ちなみに、イタリア人によるフランス語オペラ・コミックがオランダ人により日本で上演…ということなのだけど、今、知人に紹介されて読んでいる石井宏著“クラシック音楽意外史”でのクラシック音楽におけるイタリアオペラの位置づけに重ねると大変興味深い。

演奏会の終了後に、ブログ掲載の許可を頂いて撮った写真がこちら。ピアニスト(左)と長崎県オペラ協会所属の歌手の方々。
20200209_出島コンサート


202024日 読売日本交響楽団 第25回大阪定期演奏会 

 

フェスティバルホール

2階 定期会員席

 

マーラー               :花の章

ハチャトゥリアン       :ヴァイオリン協奏曲

  ―― アンコール     J.S. バッハ:パルティータ第2番 サラバンド

マーラー               :交響曲第1番 『巨人』

  ―- アンコール      J.S.バッハ:アリア (マーラー編)

 

指揮            :山田和樹

ピアノ          : ネマニャ・ラドゥロヴィチ

 

日本人若手指揮者のなかでもFAST TRACKを突き進むかのように着実に実績を積み上げている山田和樹。指揮台での身のこなしは、もうすでに貫禄十分で、ハチャトゥリアン独特のリズム変化に満ちたコンチェルトでの一心不乱に弾きとおすラドゥロヴィチにオーケストラをぴたりと添わせるバトンテクニック、そしてマーラー『巨人』での、颯爽と進めていく全体の構成力とオーケストラの統率力はさすが。

 

“花の章”でのホルン4本に対し、“巨人”交響曲では楽譜指定通りの4菅編成でホルン7本(さらに終楽章コーダー時のTrTb各1本)。1楽章、2楽章での反復は無し。“あれっ、こんなんだっけかぁ?”といった耳慣れない(聴きなじみのない)響きのする箇所が幾つもあったのだけど、私の気のせい?それとも指揮者による指示? マーレリアンの友人がお聴きであれば、是非尋ねたいところ。

 

中学生1年にお年玉で最初に買ったクラシック音楽のLPがオーマンディ・フィラデルフィア管のマーラー“巨人”花の章付き(CBSソニー盤)。還暦の誕生日をあと数日で迎えようとしているこのタイミングで、おそらく数十年ぶりに“花の章”を聴くとは、中学生時代がフラッシュバックして、なんとも感慨深い。

 

20200204_読響_大阪定期
 

2020130日 日本センチュリー交響楽団 第242回定期

 

大阪ザ・シンフォニーホール

1階定期会員席

 

指揮            :小泉 和裕

 

シューマン      :交響曲第1番 変ロ長調 作品38『春』

フランク        :交響曲 ニ短調 

 

小泉和裕の指揮するシューマンと言えば、一昨年11月の大阪フィル第523回定期の第2での各パートの音量・音色に神経をいきわたらせた全体に抑制のきいた演奏だったと記憶している。それ故に今回の“春”も同様な音楽を想像し期待していたものの、あに図らんや、オーケストラを開放的に鳴らした演奏。日ごろ、この210型のオーケストラが後期ロマン派のオーケストラ作品を演奏するときのようなパワー全開のいつものサウンドで、私が期待していたシューマン像とちょっと違うな、と思いながら聴いていいた。

 

一方で後プロのフランクは、そうしたアプローチが見事にハマった、快演。このオーケストラの特徴である明るめの音で、いつもながら思いっきり鳴りながらもしっかりと均整が保たれていてうるさくならない。フランクのニ短調交響曲って、ほんと何時ぶりだろう。こんな魅力的な曲だったっけ。

 

 
20200130_日本センチュリー定期

20200130_日本センチュリー定期_1

2020126日 関西シティー・フィルハーモニー交響楽団 第68回定期演奏会 

 

ザ・シンフォニーホール

1階J列目12

 

指揮: ギオルギ・バブアゼ

関西シティ・フィルハーモニー管弦楽団

 

ワーグナー             :歌劇『リエンツィ』序曲

エルガー               :エニグマ変奏曲

ブラームス             :交響曲第3

  ――   アンコール      ブラームス :セレナード第1番よりメヌエット

                               ブラームス :ハンガリー舞曲第21

 

一年前2月の、ラスボスめがけて全員が一心不乱に立ち向かっていくかのような“レニングラード交響曲”の熱演で大いに楽しませてくれた関西シティー・フィルハーモニー管弦楽団の今回の定期演目は、オケの実力がダイレクトに問われる作品ばかり。ブラームスをブラームらしく聴かせることは、なかなかに難しいもののようだ。

20200126_関西シティフィル

20200126_関西シティフィル_ 1


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